臨床現場の言語聴覚士(ST)

臨床現場の言語聴覚士(ST)のブログ、です。
摂食・嚥下障害や高次脳機能障害などについて考察します。

嚥下について つづき

2009年01月04日 | Weblog
STで循環を診るのは、やりすぎだろうか?

個人的には、全くそうは思わない。

嚥下のときには、一時的に呼吸が停止する。

嚥下反射の惹起遅延があれば、当然呼吸停止時間も延長する。循環器にも負荷がかかる。そうなれば、いざという時に咳が出来ない。その前に、心停止していることもありえるだろう。STとして、嚥下障害で、窒息・誤嚥のリスクを考え、ここまでやっておきたい。訴訟が多くなっているので。

一口量にかかる時間×摂食動作に必要な時間(回数)で、食事(介助)時間が分かる。

健常人のように1秒未満で嚥下が正常に終了すれば、話ながら楽しく食べられるが、1回の嚥下に例えば5秒かかるとすれば、その間ずっと、呼吸できていない可能性がある。

当然、咽頭や喉頭に食物などがあるときに、吸気が開始すれば顕性もしくは不顕性誤嚥へつながるだろう。

直接訓練であれば、逆説的では有るが、呼吸や循環の指標を補助的に使うべきだろう。

口頭指示に従命出来る場合は、ある程度のリスクを伴うかもしれないが、食事中に話しかけて、湿性嗄声の有無を診る。認知症の程度も合わせて確認できる。

咽頭反射の有無も、診ておかなくてはならない。

いざ窒息、誤嚥したときに、誤嚥物を出すためには、普通、咳を行わなくてはならないからだ。

咽頭反射で、嘔吐反射の鋭敏さを確認しておく。

高齢者は、大抵低下していたりするので、義歯の調子とも合わせて評価し、食形態をどうするか、を判断したりしている。

咽頭反射減弱≒咽頭知覚低下≒嚥下反射惹起減弱≒誤嚥時の咳、嘔吐反射減弱≒窒息、誤嚥時のリスク↑↑、と最大限のリスク評価を行い、周知徹底を図らなくてはならない。

咳については、次回述べる。