聖地・富山ツアー2005 一日目

 今年の9月3日は、「ドラちゃんのおへや」の更新はほとんど無く、このブログも新規記事は無し。なぜ、この日にほとんど何もしなかったかというと、実は、久しぶりに藤子不二雄聖地巡礼の旅に出かけており、9月3日・4日は富山県にいたからだったのだ。富山県を訪れたのは、2002年夏の「藤子不二雄Aまんが原画展」以来、3年ぶりだ。実は、2泊3日の企画なので、まだ現地に残っている方も多いのだが、私は都合で、4日までで失礼させていただいた。当ブログでは、2日に分けて今回の旅行の思い出を書いてみる。


★9月3日(土曜日)

 前日、9月2日のうちに、アニメドラの感想を書いて、更に「ドラちゃんのおへや」アニメリストを更新した上で、深夜1時30分頃、自宅の最寄り地下鉄駅付近で「藤子不二雄ファンはここにいる」のkoikesanさんなど、藤子ファン仲間3人の方と合流して、車で富山に向けて出発。名神→北陸自動車道のルートで、朝7時過ぎには富山市内に入った。この間、ほとんどずっと藤子話を喋りっぱなし。途中、高速道路のPAで1時間ほど仮眠をとった以外は、ほとんど徹夜での富山入りとなった。もう眠ろうと思っても、ついつい藤子話を続けてしまう。困ったものだ(私自身が)。

 その後、地元のファミレスで朝食&休憩をとった後、現地で待ち合わせていたKさんと富山駅前で合流して、富山大学入り。この日は、富山大学の横山泰行教授が、我々富山に集まった藤子ファンのために、わざわざ休日に大学に来られて「ドラえもん学」の特別講義を行ってくださったのだ。
 今回、集まったのは約30人。もうとっくに大学を卒業しているような年齢の人間が集まって、大学の教室で教授より講義を受ける光景は、外から見たら珍妙な風景だったことだろう。新聞・テレビなどマスコミの取材もあり、テレビは確認できなかったが、新聞は毎日新聞・北日本新聞・富山新聞の地域欄で記事にされた。
(追記:ネット上でも毎日新聞の記事が読める。ただし、北日本新聞・富山新聞の記事の方が詳しい)

 はじめてお会いした横山教授は、非常に誠実な方という印象を受けた。「ドラえもん」と言う作品に対する態度は非常に真摯で、60歳を越えるご高齢にもかかわらず、ドラえもん学のデータベース入力をほとんど全て御自身でやられているなど、「ドラえもん学」をお一人で切り盛りしている姿には感動した。
 講義内容では、藤本先生の幼少時代の体験が「ドラえもん」の作品形成に大きく関わっているのではないかという考察が、印象的だった。実際、これまで藤本先生御自身からも、周辺の方からも、公式に幼少時代について語られたことはほぼ皆無で、今後調査研究していくべき部分であるという考えには、私も異論はない。ただ、それがストレートに作品に影響しているかどうかについては、ちょっと疑問点はあるが。
 13時から17頃まで質疑応答なども含め、4時間の長丁場。体調が良くないにもかかわらず、講義をしてくださった横山教授には、感謝するばかりだ。また、講義の休憩時間には、大学内に設置された「ドラえもん文庫」を見せていただいた。単行本が揃っているのはもちろんだが、「ドラえもん」雑誌初出版全作品のコピーがきれいに製本されて揃っている本棚には圧倒された。私も未収録作品はファイルに入れて保存しているが、全作品を揃えられると、圧巻だとしか言えない。

 特別講義の後は、藤本先生の出身地・高岡に移動して、「ドラえもん学ホームページ開設6周年記念日+ドラえもん誕生日パーティー」が行われた。実は、この日参加された方のお一人にも9月3日誕生日の方がおられ、その方の誕生日祝いも兼ねていた。ともかく、ネット上では誕生日お祝い企画は出来なかったが、こちらできちんとやっていたという訳だ。
 「ドラえもん学ホームページ開設6周年記念」なので、当然ながら横山教授も来られており、「ドラえもん学」について、講義より更に突っ込んだお話を聞くことが出来た。また、他に藤本先生に非常に近しいご親戚の方も参加されており、この方からは藤本先生に関する知られざるエピソードを、たくさんお聞きすることが出来て、非常に貴重な時間だった。スネ夫のように「○○さんと会って、藤本先生の△△まで××したんだぞ、いいだろう」と自慢したいところだが、プライベートな部分に大きく関わってくるため、あまりここで書わけにもいかず、実に残念だ。

 このような調子で9月3日は終わった。4日分については、また明日
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9/2 ドラえもん「ご先祖さまがんばれ」

「ご先祖さまがんばれ」(脚本/大野木寛、絵コンテ・演出/腰 繁男、作画監督/富永貞義)

 久々の、30分1話構成。今回の原作は、4年前の2001年10月に「のび太のご先祖さま」としてリメイクされており、この時も特番の中編だったので、今回はどのようにして、現体制ならではの味を出すかに注目していた。
 アニメスタッフによる個性の違いが一番わかりやすいのは、原作付き作品ではアニメオリジナルの要素だろう。原作は16ページなので、時間的に考えても何らかのオリジナル場面が入ることは間違いないと思っていたが、予想通り、戦国時代に、しずかに似た少女が登場した。元々原作でもスネ夫とジャイアンの祖先らしき人物が登場しているので不自然ではないのだが、「のび太のご先祖さま」でも、やはりしずかに似た少女が出てきており、二番煎じになってしまった感は否めない。ただし、「のび太のご先祖さま」では、のび作の友達であったのに対し、今回は特にのび作とは関係が無いという点で、違いは見られる。

 内容は、基本的に原作に忠実な展開で、「だめなひと」のオチもそのまま。今更言うまでもないが、ラストで「のび作は心が優しい人」と、フォローを入れていた「のび太のご先祖さま」とは、明らかに方向性が異なる。大山時代のアレンジも、スタッフの野比一族に対する優しいまなざしが伝わってきて、原作とは異なるものの、悪くはなかった。また、今回の方も、原作へのこだわりを見せるという点では、スタッフの原作への思い入れがわかって、嬉しかった。
 あまり間をおかずに、大山・水田両バージョンでアニメ化されると、このようにそれぞれのアニメ「ドラえもん」に対する考え方・制作の方向性がよく分かって、非常に興味深い。21世紀に入ってからの大山版は、アニメオリジナルエピソードが多かったのだが、そんな中でたまに放送された原作付きのリメイク版については、観直してみると、また新たな発見があるだろう。

 さて、大山版との比較に話がそれてしまったが、前述の通り、今回は原作通りの展開で、戦国時代の身分制度の厳しさや戦争のバカバカしさなどもきっちり描かれており、好感が持てた。旗を見て宿題を思い出す場面もちゃんと登場したのでよかった。最後に、タイムテレビで戦国時代の人物のその後を見る場面があったが、「調整が難しい」という設定は、いいアレンジだったと思う。
 また、個人的に、ドラえもんにのび作の矢が刺さる場面がどうなるかが気になっていた。なにしろ「のび太のご先祖さま」では、予告で原作通り刺さった場面が流れていたのにもかかわらず、実際の放送では刺さっていない表現に変更されていたのだ。結局、今回は刺さった部分が頭からお尻へと変更された。やはり、現在ではあの表現は難しいと言うことか。

 ところで、明日は9月3日、ドラえもんの誕生日なので、今日の放送では誕生日を祝うコーナーもあったが、普段の「ミニシアター」の時間を使ったものだったため、短くて拍子抜けだった。せっかく、このような企画をやるのなら、せめて3分くらいは時間を取って欲しいものだ。
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ぴかコミ「モッコロくん」「ビリ犬」発売

 ぴっかぴかコミックス「モッコロくん」(全1巻)、「ビリ犬」第1巻発売。

 今月は、何と言っても「モッコロくん」初単行本化が一番嬉しい。購入後は、せっかくの未読作品を早く読んでしまうともったいないと思いつつ、96ページしか無いせいもあって、一気に読んでしまった。
 今回ぴかコミで出た分は全て初読だったが、幼児向けにシンプルな作りでありながら、F作品の魅力は十分に込められており、非常に面白かった。「ドラえもん」のように毎回のように道具を出すのではなく、「虫」をテーマに話が作られている点もユニークだ。それに、キャラクターの表情も豊かで、「おもち大すき」8コマ目のモッコロくんや、「虫となかよくなろう」最終コマのママの顔などは、特に印象深い。この頃のF先生の絵は、一つの完成期を迎えたと言っていいと思う。

 内容に目を向けると、もちろん他の作品では描かれなかった話がほとんどだが、「アメンボのふしぎ」は、後にほぼ同じ内容で「ドラえもん」の「あめんぼう」としてリメイクされており、「春風せん風き」も、同じくドラの「はるかぜうちわ」に通じる作品だろう。また「地面のなき声」は「エスパー魔美」の「地底からの声」の原型と言える。このように、他に藤子作品との関係を見るのも、興味深い。今まで単行本化されていなかったのは、こういったネタの転用に配慮していたせいだったのだろうか。まあ、普通の単行本ではページ数が足りない事が一番の理由だろうが。

 今回、結局全1巻で発売されたために、全27話中5話が未収録となった。ただし、未収録のうち2本は「ネオ・ユートピア」会誌34号に再録されているので、問題は残り3話だ。これは、また図書館へ行くしかないだろう。
 ともかく、貴重な作品が、初出時と同じカラーで単行本化されたことは非常に嬉しいし、後に他の作品も続いて欲しい。おそらく、他の未単行本化作品の出版は「モッコロくん」の売れ行きで判断されるだろうから、ぜひ多くの人に買ってもらって、埋もれていた藤子・Fワールドを楽しんでいただきたいものだ。


 さて、初単行本化の「モッコロくん」の方を大きく取り上げてしまったが、A先生の「ビリ犬」1巻も、当然購入した。収録内容は「ぼくら」版5話+「なんでも商会」1話という微妙な構成。ページ数の都合かもしれないが、巻末の「パパと遊ぼうよ」だけが浮いている感は否めない。

 今回のポイントは、以前の「てんとう虫コミックススペシャル」版では2色だった「空とぶ冒険野郎」が、本来の4色カラーで収録されている点だろうか。単行本初収録作品はないので、他にはこれと言って挙げる点はない。「たのしい幼稚園」版の収録を期待していたのだが、2巻以降に入るのだろうか。また、「ぼくら」版メインで行くのならば、おそらく全2巻になるのだが、「なんでも商会」を含めたコロコロ版の扱いがどうなるのか、気になる。

 来月10月1日は土曜日のため、来月分ぴかコミは前倒しで9月30日発売。次回の目玉は「カラー版ドラえもん」。個人的にもまとまった単行本化を希望していた幼年向け作品メインと言うことで、これも楽しみだ。
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