はなバルーンblog

藤子不二雄や、好きな漫画・アニメの話がメイン(ネタバレもあるので要注意)

2009年映画ドラは「新 のび太の宇宙開拓史」

2008-07-15 23:48:29 | 藤子不二雄
 来年の映画ドラえもん公式サイトが登場した。「7・18 19:30分オープン!!」となっているので、おそらく今週のアニメ「ドラえもん」放送の最後に「この後、公式サイトを見てね」と告知が行われるのだろう。


 タイトルは、「ドラえもん 新 のび太の宇宙開拓史」。今年の「緑の巨人伝」最後のおまけ映像にチャミーが出てきたので、あの時点で来年は「宇宙開拓史」リメイクだと予告していたようなものだが、ついに公式にタイトルが発表された。
 以前から何度も書いているが、私にとっては数あるドラえもん映画の中でも「のび太の宇宙開拓史」は、原作大長編・劇場版映画ともに最も好きな作品なので、はっきり言って来年の映画に対しては期待より不安な気持ちの方が大きい。
 ただ、メインスタッフは

 ・監督:腰 繁男
 ・脚本:真保裕一

が決まっているので、この二人の手腕には期待したい。

 「新魔界大冒険」の真保脚本は、満月一家に比重を置きすぎた点は気になったが、全体的に好印象だったので、今回もどのように新たな「宇宙開拓史」の物語を作るか、楽しみだ。まさか、今度は死んだはずのロップルくんのパパが姿を変えて敵になっている、なんて事はないだろう。ただ、しずか・スネ夫・ジャイアンの出番が増えるくらいはありそうだ。

 監督の腰 繁男氏は、わさドラのテレビシリーズにも参加しているが、これまでは主に「世界名作劇場」を中心に、日本アニメーション作品に多く携わっている。それは楠葉総監督も同様なので、その縁でわさドラに参加する事になったのだろうか。
 腰氏が監督として手がけた「名劇」の中では、「ペリーヌ物語」が一番好きだ。どちらかというと地味な作品だが、登場人物一人一人の描写が丁寧だし、実質的な最終回とも言うべき第49話「幸せの涙が流れる時」は、それまでの話が落ち着いて描かれていただけに、一層盛り上がって印象的だった。
 今回の「新 宇宙開拓史」も、無意味に奇抜な作画などは無くていいので、ドラ・のび太とゲストキャラクター達の交流を丁寧に描いて欲しい。それがあってこそ、別れのシーンが心に残る物になるのだから。


 メインスタッフには実績のある人が就くとわかったので、ある程度は期待できるようになったが、問題はゲスト出演者だ(あえて「ゲスト声優」とは書かない)。
 個人的に「恐竜2006」は気にならなかったが、「新魔界」「緑の巨人伝」と観てきて、どんなにいい話でも、綺麗な作画であっても、声の演技が駄目ならぶち壊しになる事はよくわかった。何が何でも専業声優でなければ駄目だと言う気はない。最低限の条件として、声だけでの演技がまともに出来て、かつ声質がそのキャラクターに合った人を選んで欲しい。その点で「恐竜2006」の黒マスクは、悪役としての凄みが出ていて実によかった。


 さて、「宇宙開拓史」と言えば、原作と映画の一番の違いは「のび太とギラーミンの決闘」の有無だ。
 のび太の数少ない取り柄である射撃を武器に活躍した場面だけに、元祖劇場版で映像化されていないのは残念だった。この場面はF先生も思い入れがあるようで、初出ではギラーミンが出てきてから3ページほどで決着が付くのに対して、てんコミでは5ページに増えている。
 特筆すべき点として、ギラーミンが「ニヤリ」と笑う場面も描き足しであり、これは間違いなく「まんが道」で触れられた映画「ヴェラクルス」の演出を取り入れたものだろう。つまり「宇宙開拓史」は、藤子両先生が影響を受けた映画をF先生流に作品に取り入れた結果であり、宇宙物である以上に西部劇として意識して描かれた作品だとわかる、重要な場面なのだ。
 それだけ力を入れて描かれた決闘場面なのだから、ぜひきちんと映像化して欲しい。多分最後のチャンスだろうし。

 とは言え、決闘がないのは残念だったが、劇場版の展開も嫌いではない。ゲストのロップルくんに話を絞った結果として、あの展開になったのだろう。原作はのび太、映画はロップルくんの物語と思って観れば、コア破壊装置にタイムふろしきを使う機転も含めて、映画は映画できちんと芯の通った物語になっていた。
 同じ事は、続けて翌年に西牧秀雄監督が手がけた「のび太の大魔境」でも観られる。原作では「電光丸」でのび太がサベールと戦ってくい止める場面があったが、映画ではペコ=クンタック王子の見せ場に変更されている。剣は射撃と違って、特にのび太の取り柄という訳ではない。電光丸に「戦ってもらっていた」だけなので、この役をペコに変えたのは正解だっただろう。
 ともかく、この2作品の原作との相違点を見ると、西牧監督のゲストキャラ重視の姿勢が伺えて、非常に興味深い。


 映画の第一報に対して、軽く予想と希望を書くつもりだったのに、旧作映画に触れてしまったために、思ったより長くなってしまったが、私が本気で元祖「宇宙開拓史」を語り出すと、とてもこのくらいでは済まない。「老雄 大いに語る」の主人公並みに「言いたい事は山ほどある」ので、いつまでたってもきりがないだろう。いつか、「宇宙開拓史」については、思うところをまとめて文章にしてみたい。
 それはそれとして、来年の映画は期待3割・不安7割(これでも甘く見積もって期待値を上げたつもり)で公開を待ちたい。この作品の出来次第では、今度こそ劇場に足を運ぶ最後の映画ドラになるかも知れないが。

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (テオドーりゅー)
2008-07-20 02:08:29
家主さまがペリーヌが一番好きとは意外です。
あんなマイナーな作品好きは私ぐらいだと思ってました(笑)
ペリーヌ好きの私としては来年も見に行かなくてはいけない理由ができて「わたし、しあわせよ~」と叫びたい気持ちで一杯です:-p


でもスパゲッティウエスタン好きとしてはカタルシスを感じられるか心配です。
返信する
こんにちは (haschiken)
2008-07-22 23:15:51

>まさか、今度は死んだはずのロップルくんのパパが姿を変えて敵になっている、なんて事はないだろう。

ここで大笑いしてしまいましたw
さすがに、今回はギラーミンが! ということになると、起こる気も失せてしまいますね。

僕としては、新版の宇宙開拓史ではやはり決闘シーン、とくにギラーミンを悪役としてどれだけ格好良く描けるかに期待したいところです。
返信する
Unknown (haschiken)
2008-07-22 23:21:30

すみません、

起こる → 怒る

デシタ…

返信する
お返事 (おおはた)
2008-07-27 23:23:46
テオドーりゅーさん:
>家主さまがペリーヌが一番好きとは意外です。
>あんなマイナーな作品好きは私ぐらいだと思ってました(笑)

 個人的には、根強いファンの多い作品という印象です。ただ、腰監督の手がけた作品としては、前年の「あらいぐまラスカル」の方が知名度は高いんでしょうね。
 実は、まともに全話観たのは2000年頃なので、大人になってから観た作品なのですが、それだけにじっくりとあの作品世界を堪能する事が出来ました。どちらかというと地味な作品である事は否めないので、子供の頃なら前半の旅の所で観るのを止めていたかも知れません。
 前半の旅もよかったのですが、ペリーヌとビルフランを中心に描かれた後半が特に好きです。単に孫と判明するだけでなく、手術が成功してビルフランの目が見えるようになるまできちんと描かれていたのも好印象でした。

 腰監督が手がけるのであれば、少なくとも渡辺歩監督作品と違うテイストになるのは間違いないでしょう。
 まさか、演出で関わっていた日本テレビ版「ドラえもん」の路線を復活させる、なんてことは無いと思いますが。とにかく、私にとっては来年の映画に期待がもてる人選になりました。



haschikenさん:
>さすがに、今回はギラーミンが! ということになると、怒る気も失せてしまいますね。

 ギラーミンならまだいいのですが、実はボーガントがロップル父だった、なんて展開だったら本当にイヤですね(笑)。
 元祖劇場版ではギラーミンはロップルくんの空気砲が額に直撃でTHE ENDと言う、ちょっと情けない最期(死んではいないでしょうけど)でしたから、今回はきっちりと悪役らしく描いた上で、最後は「おまえの勝ちだ…」で締めてくれる事を期待しています。
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