アニメ『モジャ公』を振り返る【補遺編】

 前回、「アニメ『モジャ公』を振り返る」というエントリを書いたが、そのときに書き切れなかった事が結構あるので、今回はそれらの書き残したネタについて、触れておきたい。


 まずは、テレビ愛知における放映形態について。
 『モジャ公』は、テレビ東京系のネットで放映されたが、そのうち同時ネットだったのはテレビ愛知を除く5局であり、テレビ愛知のみ平日18時30分の時間帯にアニメ再放送枠「まんがのくに」を設置していた関係で、遅れネットとなっていた。
 その、遅れネットの時間帯は土曜19時。ゴールデンタイムであり、テレビ朝日系の『美少女戦士セーラームーンSuperS』の裏だ。テレビ愛知は、視聴者層が被らないと判断したのだろうか。とにかく、遅れネットの割にはいい枠での放送だったのだ。ただし、他局から18日遅れだったが。

 これだけなら、ただ単にテレビ愛知だけが違う時間帯で放映していたに過ぎないのだが、実際にはそれだけではない。
 テレビ愛知の土曜19時枠というのは、たびたび特番でつぶれる時間帯だったのだ。つぶれた場合はどうなったか。昔『桃太郎伝説』や『機甲警察メタルジャック』を放映していた頃は、春休みなどの平日午前中の時間帯に休止分をまとめてやっていたのだが、なにしろ『モジャ公』は、最初から18日遅れなのだ。これ以上、さらに遅れを広げる訳にはいかないと判断されたのか、休止時は同日6時30分の枠に振り替え放映という事になったのだ。
 念のため言っておくと、18時30分ではない。朝の6時30分だ。おそらく、同じ土曜日に他に適当な枠がなかったのだろうが、これはなかなかにひどい。「今日『モジャ公』はないのかな」と昼間に気がついた時には、もう手遅れなのだ。一応、前週の本編最後に「時間を変更してお送りします」とテロップは出るが、それだけなので観逃す可能性は高かっただろう。今数えてみたら、6時30分の枠で放映されたのは、6回もあった。
 さらに、冬休みには朝7時30分からの特別枠で2話連続放送も行われており、最初の2クール25話のうち、土曜19時で放映されたのは17回と言う事になる。

 3クール目に入ったところでテレビ愛知は「まんがのくに」枠を廃止したため、第26話からはテレビ愛知も同時ネットされる事になったが、その半年後にはまたもや月曜19時に移動になるのだから、テレビ愛知で『モジャ公』を観ていた人にとっては、「よく時間帯の変わるアニメ」という印象がある事だろう。われながら、これでよく全話録画できたものだと感心せざるを得ない。


 もう一つは、作品内容に関わる重要な事だ。シリーズ構成・寺田憲史氏の加入に伴って作品の路線変更が行われた件について、その証拠と言えるものがあるので、取り上げておきたい。
 それはすなわち、モナシスさんの扱いだ。原作読者には説明の要はないと思うが、モナ=モナシスさんと言えば、原作(加筆版)ラストで空夫たちを導く役目のある、重要なキャラクター。アニメ版の初代オープニングでも、大きな扱い(モジャ公を抱きしめてキスする)で登場しており、原作同様に重要キャラになると思われた。

 そのモナシスさんのアニメでの最初の出番は、第21話「ちょっとポッドでお買いもの」。これは、原作「さよなら411ボル」のアニメ化であり、モナさんの出番も原作に準じるものとなっている。つまり、この時点では、そんなに大した役どころではない。なお、声は林原めぐみが務めている。林原さんの藤子ヒロインと言えば、『チンプイ』の春日エリ以来であり、スタッフの力の入れようがうかがえる。モジャ公の弟、モジャルと二役ではあったが。
 さらには、前回も触れたキャラクターソング・アルバムに、モナシスさんのテーマ「セントエルモの火」も収録されているのだ。モナさん以外のキャラソンは、レギュラー・キャラクターのものばかりであり、この点でも重要なキャラクターであった事をうかがわせる。
 ちなみに、他のキャラソンはキャラの声優本人が歌っているのだが、モナさんのテーマだけはコロムビアの歌手である石田よう子(当時)さんの歌唱。林原さんはキングレコードに所属しているから、コロムビアのアルバムで歌う事はできなかったのだろう。

 そんなモナさんに、再度の登場が期待されたが、結論から言うと第21話がアニメ版では最初で最後の出番であり、その後アニメ版にモナさんが登場する事はなかった。3・4クールの2代目オープニングにもモナさんは出ていたが、他の宇宙人と一緒にその他大勢という感じに格下げされており、露骨に路線変更が行われた事がわかるものだった。

 もし、開始当初のように監督のえんどうてつや氏が3クール目以降もシリーズ構成を務めていれば、宇宙での冒険が続いてモナさんの出番ももっとあったのではないだろうか。「月刊アニメージュ」1996年12月号の藤子・F・不二雄先生追悼特集に掲載されたえんどう監督のコメントでも、原作の話を1本しかやれなかった事を残念がっていたので、大いにあり得る事だと思う。
 徹底的に子ども向けに設定が変更されたアニメ版『モジャ公』では、スタッフにその気があってもどれだけ原作の話をやれたか怪しいものだが、それでも『21エモン』ですでにやってしまっている「アステロイド・ラリー」「ナイナイ星のかたきうち」を別にしても、「うまそうな三人」「天国よいとこ」「不死身のダンボコ」あたりは、何とかなりそうな気もする。「さよなら411ボル」は結末が改悪されていたので、他に原作ものがあったとしても同様になった可能性も高いが。
 それでも、路線変更は残念な事であった。


 と言った具合に、二題ほどアニメ版『モジャ公』について、前回書き残した事を書いた。
 今になって振り返ってみれば、頻繁な放映時間帯の移動で、観るのに苦労はさせられたが、それだけに忘れられない作品になっているのは確かだ。作品の出来は、別にして。
 よくも悪くも、アニメ版『モジャ公』には、振り回されたと言える。
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