はずれの映画辞典

映画とは生きものの記録です、この世に生きる者が、こうして生きようじゃないかと訴えます。惚れた映画を毎日連載します。

レベッカ

2010-03-04 08:27:24 | Weblog

 「レベッカ」 1940年 A・ヒチコック監督作品 第13回 アカデミー賞

 解説

 1940年といえば昭和15年、よくもこんな時代にこんな映画が出来ていたもんだと驚く作品だ、日本で言えばこれから太平洋戦争が始まろうという時代に推理ものの映画が出来ていたなんて。物語だって64年後の今の時代だって、ロケーションが違っているだけで筋書きは立派なものだ、江戸川乱歩の探偵小説だって本が出たのは戦後だった、この映画が出来て何年も経ってからである、貴重なレア物の映画である。

 物語

 南フランス、ある崖の上で下の岩にきしむ波を見ている男が居る、自殺するんじゃないかと声をかける女。
 画面が変わりプリンセスホテルのロビーらしき所、ド・ウインターがいる、ブアン・ホッパー(老婦人)とステイールガ居る、ホッパーがウンターに声をかける、ウインターは先ほどの崖の上に居た男だ、マンダレーに住んでいる。ホテルのレストラン、ウインターとステイールはフトした事から同じテーブルで食事をする、会話がはずむどうやらウインターはステイールに一目惚れしたらしい、ウインターの似顔絵を描くステイール。

 ホッパーの泊まっている部屋、ステイールはその召使のような事をしている、ウインターは舟遊びをしていて、レベッカという奥さんを亡くしたと、ホッパーは先妻の事を話す。

 ステイールもウインターが忘れられない、次の日ウインターはステイールをドライブに誘う、「香水みたいに思い出をビンに詰められたらいいわ、色あせず開ければまた思い出がそのまま出てくるのよ」どんな思い出を入れるんだい?とウインター「この数日を」そしてそれをうんと集めるの」ビンにはよく悪魔が入っている、忘れようとしても飛び出して来るんだ、とウインター。

 ウインターは大金持ちだ、「どうして私なんかとデイトするの?」とステイール、「慈善だと思うけど」というと、怒るウインターそんなつもりなら直ぐ車を降りろ、君と居ると楽しいからだ、とウインター、僕を呼ぶ時には「マクシム」と呼んでくれという、深まる二人の仲。

 翌日、ホッパーは急にニューヨークへ帰るという、ステイールはウインターに別れを告げに行くが、それじゃ結婚しようとウインターは結婚を申し込む、急なので驚くステイール、それより驚いたのはホッパーだが、大富豪の夫人じゃ大変だぞとホッパーは心配する。役所で簡単な入籍手続きをする、いよいよマンダレーの生活が始まる。

 マンダレーの家はお城のような豪邸である、家事はダンバーズ夫人がやってくれる、家に着くと21人の召使達が迎える、家の切り盛りを全部やるというダンバーズ夫人というのは冷ややかな表情をしている、不気味な女だ、西側の部屋は海が見えるので使わないと説明がある、食事はテーブルの端と端に座り、並んだ蝕台、メイドがレストランのように食事を運んでくる。

 ある朝、ステイールは財産管理人のクローリーの部屋へ入る、そこでマクシムの姉夫婦がやって来る事を知る、姉夫婦と会う、披露パーテイーは仮装舞踏会にしようと姉は言う。

 ある日、二人は屋敷内の散歩に出る、ボート小屋へ行く、そこは何故かマクシムの触れてはならない場所らしい、しかしその秘密は話さない、どうやら死んだ前の奥さんのレベッカの思い出がそのままあるらしい、マクシムは時々フイに怒り出す習慣が有る。財産管理人のクローリーによれば、レベッカはヨットが沈んでそのまま流された、死体は2ヵ月後40マイル沖で見つかったという。ステイールはどうも召使達もみんな前の奥さんのことを知っていてそれを話してくれないので不安だ。

 マクシムが仕事でロンドンへ出かけている間にレベッカの従兄弟というファブエルがやってくる、そこで今夜あたり奥さんはさらわれるという変な事を言い、この男が来たことをマクシムには言わないでくれという、ますます不安になるステイール。マクシムが嫌う理由は妹がヨットで死んだのは他殺じゃないかとおもっているからだ。

 そんな時、使われていないはずの西館に人の気配がするので入ると、其処には死んだレベッカの物がすべてそのまま残っていた、説明するダンバーズ夫人。
彼女は先妻のレベッカの親愛なる召使だったらしい。
 ステイールは先妻の面影を全部かたずけてしまえとダンバーズ夫人に申し付ける、そして、結婚披露宴に仮装舞踏会を開くことをマクシムに言う、準備が始まりステイールは綺麗なドレスを着てパーテイー会場へ行くが、そこで、マキシムは卒倒するほど驚く、先妻の最も思い出の深い衣装だったからだ。どうやらダンバース夫人の策略だった。

 この夜、突然難破船が爆発した、そしてその下から先妻の死体が出てきた、やっぱりマキシムが殺したのか?不安が的中したかに見えたが、・・・。
 マクシムはいう、先妻のレベッカは二人の間に何時も居て邪魔していた、潜水夫が別の船を見つけた、それはレベッカのヨットだった、キャビンの中には彼女の遺品が入っていた、死体もあった、前に葬った死体は別人だったその事を私は知っていた。

 レベッカの死体はヨットのなかにある事を、でも嘘を付いたのだ。私が死体を其処に置いたから確かだ。それでも私を愛することが出来るか?とマキシム、しかし、ステイールは亡くなったレベッカの代わりに私を愛してくれて居たのでしょうと聞くがしかし、マキシムからは意外な言葉が聞こえて来た。

 私はレベッカなんかは全く愛しては居なかった、最初の内は愛していたが、その後離婚したいほどになったが、大富豪の家から離婚の話が出ては不味いと反対されて、家の名誉のために二重人格の生活を余儀なくされた、そこでそれを良い事にレベッカの生活は荒れ放題となり手がつけられなくなった。

 警察署長が来て調べるが、どう見てもマキシムが殺したように見える、レベッカの従兄弟のファブエルが死ぬ直前のレベッカの日記を証拠にマキシムをユスル。
しかし、結末は意外なところにあった、レベッカは病気で医者に通っていたがその医者の証言によれば、末期ガンの症状があり、手のつけようが無いことから、自殺したことがわかる。最後にダンバース夫人が家に火をつけてマンダレーは炎上した。
 
 感想

 実に良く出来た筋書きだ、ヒチコック独特の推理で、最後のFINが出る2分前までは結末がわからない、推理の持って行き方と言い、大富豪の悩みと言い、申し分なし。イギリスの王室でもこんなことがあったな。現代では離婚を公表して、エリザベス女王は殺されたが。

 感じた度 ★★★