瘋癲北欧日記

第二の人生 つれづれなるままに

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平尾圭吾さん

2014年01月26日 | 人々の暮らし

1月26日 晴れ


ミステリーを読み終わったら、平尾圭吾さんの名前が飛び込んできた。
もう鬼籍に入ってしまわれた方だが、現役時代にはコメントをいただくなど親し
くさせていただいた。


野球ファン、とくに阪神ファンなら知っているかもしれない。平尾さんはバースと
親しくなって、バースの野球日記という本を上梓した。

「あいつはケチでねえ。メシ代だって、こっちに払わせるんだぜ。洋服買うって
いやあ問屋街に連れて行って、競馬場にも入れてやって、情報もおしえたんだ
けどねえ。オマエはおれのこと書いて稼いでいるだろ、なんて言うんだぜ」
伝法な口調で、しかし笑みを崩さず、こんな風に言うのが常だった。


もとは映画会社・大映の米国ニューヨーク駐在支配人。帰国して本業の映画評
論や翻訳のかたわら競馬ギャンブル、プロ野球の世界にも筆を伸ばした。
わたしは「摩天楼の身代金」だったかを読んで、のちに「ジョーズ」の翻訳も手が
けたと知った。
野球場で面識を得て意気投合し、外国人選手の情報やメジャー関連のコメント
をいただくようになった。




165センチくらいで小太り。やや薄くなった頭にソフトをちょこんと乗せ、ひょうひ
ょうと歩くさまは日本人離れした雰囲気を漂わせて都会風だった。
「日本人をバカにしたり、こっちが小さいと思ってなめたら承知しませんよ。これで
もマーシャルアーツの心得があるんでね、スパッとぶん投げちゃいますよ」
ちょっと古いが谷譲次の「めりけんじゃっぷ」を連想させて楽しかった。


試写の帰りなど、ふらりと私のところへ寄ることがあった。
会えば、「アメリカ、一緒に行きましょうよ。おもしろいところへ案内しますよ。ラス
ベガスならマフィアのボスだって紹介しますよ、知り合いですから」と、半端でない
米国通。たしかにニューヨーク辺りが似合うような方だった。


最後に話したのは、米映画の字幕を担当したと報せを受けたときだった。
スパイダーマンを演じた男優が主役で、競馬のジョッキー役を演じる。これはヒュ
ーマンないい映画ですよ、競馬をやらない人が見てもいい映画ですから、ぜひご
覧になるといいとすすめられたが、つい見逃した。


その平尾さんの名前が、昨夜というか今日の早朝、読み終わったミステリーのあ
とがきに出てきた。

「秘密の顔を持つ女」(ウィリアム・ベイヤー 扶桑社ミステリー)
この本は現役時代、会社に寄せられた献本を譲り受けたもので、 進んで求めたも
のではなかった。しかし案外面白かったので、ほかの作品が気になった。
巻末に掲載された長編作品リストを見ると、そこに平尾圭吾さんの名前が出てき
たのである。




「キラーバード 急襲」(1984 平尾圭吾訳 早川書房)
しかも、この作品は、ベイヤーの本邦初の翻訳本であった。 


というわけで、しばらくベッドの中で平尾さんのことを思い出した。
息子さんがクイーンメリー号で挙式する、来ませんかと誘われたこともあった。サン
ディエゴに係留された豪華船で、ついでに西海岸を回りましょう、と。にこやかな顔
があらわれた。
ボクはこれが好きでね、電車の中ではずっとやってるんですよと、クロスワードパ
ズルを嬉しそうに見せた、少年のような面影も浮かんできた。
キラーバードか。読まなきゃいけないかな、と思った。


「いまスウェーデンなんですよ。よかったらきませんか」
「スウェーデンか。寒そうですな。ボクぁ寒いの苦手でねえ」


生きておられたら、こんな話になっていたかもしれない。


この間はマダムXの画家が、テートに出品しているのを知り、きょうは、親しくさせ
ていただいた翻訳者の方が、読後のミステリー巻末に現れた。人間長くやってい
ればこういう"因縁”に出会うことがある。


そういえばマダムXの中で、ミケランジェロの天井画を間違えた。あれは「最後の審
判」だった。長男が読んでなければよいのだが。

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