超兵器磯辺2号

幻の超兵器2号。。。
磯辺氏の文才を惜しむ声に応えてコンパクトに再登場。
ウルトラな日々がまたここに綴られる。

うおゴコロ

2012-05-11 21:20:09 | 旅行お出かけ
今年の大型連休で申し分ない天気だったのは子供の日だけだった。甘辛もその日はたまたまサッカーがオフだったので、お友達も誘って釣りに行くことにした。息子はそれほど釣りにハマッているわけではないが、元々海は好きだし、クラブチームだから学校のお友達と遊びに行く機会が極端に少ない。海岸線のドライブと思えば行き帰りの車で色々と話し込むだけでも楽しいらしい。目指す場所は熱海港フェリー乗り場横である。何てことのない、ただのファミリーフィッシングのポイントに見えるのだが、腰越のイタリアンマスターによるとマリンスパ熱海の温泉から暖かい水が流れ出し、水温が高いのであらゆる魚の宝庫だというのである。(ホントかよ)

「休みさえあればずーっと釣りをしていたい」というほどの釣り大好きのマスターはお店でランチを食べながら妻と先日お友達の引越しの際にいただいた高級磯竿の話をしていたら突然「どこのメーカーですか?」と背後から食いついてきた。小さな店でお客さんが4組入るといっぱいなのだが、一人で調理しているので彼は中々忙しいはずなのに、ちょっと手が空いた時間に厨房から出てきて、「伊豆で釣った大物」の写真や真鶴半島の隠れポイントなどを熱く語ってくれた。釣り雑誌も開いて色々な技を紹介してくれた。よく見ると店内にはたくさんのワインのボトルやスイーツの本に混じってマニア向け?の釣り雑誌がどっさり並んでいた。いかにもイタリアンのトラットリアには場違いだが、マスターは毎日片瀬漁港の産直の先頭付近に並び、その日のよい魚をメニューにするし時には自分で釣ってきた魚を特別料理として出すこともあるそうだ。実際、あの店の魚はホーントに美味い。刺身以外は肉食志向の私でもかの店でだけは魚のグリルなどを好んで注文する。魚に関してはの入れ込みはかなり信頼できると思ってよい。

むろん私がよく行くポイントもよく知っていたが、推奨されたポイントでそこそこ近くて子供が行っても安全なところ、と言うことで熱海港を選んだ。お友達のSYO君は最初こそ「この時期は何も釣れないよ」と苦笑いしていたようだが、前日には甘辛とキャスティングにエサや道具を買出しに行くほどやる気十分だった。私はと言うと前日、今年になって初めて海に入ったのだったが、前述のように突如の大雨と雷鳴により逃げ帰ってきたとこだった。2時間ほどで強い雨や雷は止み、また青空が見えてきた。(GWはこんな天気ばっかだったなー)ウェットスーツをもう一度来て出動する気にもなれなかったので、私は超兵器を携えて年間パスポートで入館し放題の新江ノ島水族館にチャリで向かった。

翌日、釣物となり得る魚の生態を観察するためである。この水族館の好きなのは、「世界での珍しい魚」「美しい魚」などではなく、すぐそこの相模湾にいる魚がそのまま泳いでいるところである。まるでその先の片瀬新漁港の産地直売に並ぶ魚介類そのものだ。
岸壁からチョイ投げや浮きフカセ、サビキなどで狙う魚は本命が黒鯛、メジナ、たまたまだろうが釣れるとうれしいのがスズキ、メバル、カワハギ、キスあたり、釣れると思うがあまりうれしくないのがボラ、ベラ、そして「やめてくれ」というのがフグ、キタマクラ、ヒトデなどである。
ズバリ相模湾大水槽にはこれらの魚が全部泳いでいるのである。それぞれの生態やどの層(水深)にいるかなどは概ね知っているのだが、やはり実物をこの目で確かめるのが一番だ。

        

入館したのは午後5時近く、普通はすぐ閉館してしまうのだがGW期間中は午後7時まで延長して営業している。人々でごった返している「ウルトラマンホヤ」やその他生まれたばかりの魚の小さな水槽などをスルーし、一直線に大水槽に向かったがさすが大型連休、夕方近くになっても館内はかなり混んでいて中々目指すいくつかのポイントには辿り着けなかった。
まず入り組んだ岩場に海水の流れが出入りして空気が混ざり白濁しているところを再現しているゾーン、磯釣用語では「サラシ」に近い環境だと思うが、その下で魚はどんな動きをしているか・・・実によくできている仕組みで、見事に強い流れと海水の泡立ちを作り出している。たまたまそこに居合わせた(って言うかな)口太メジナは流れも海面の泡立ちも全く関係なく優雅に泳いでいた。なるほどここはポイントになり得るな。

ちなみに水族館で魚の写真を撮るのは実に難しい。動きが結構速いからシャッター速度を早くすると暗くてうまく写らないし、フラッシュを使うと水槽のガラス面に反射してしまうのだ。私はガラスのまん前だかぶりつくようにカメラを構え、ひたすらチャンスを待ったが魚自体は何度も姿を現すもののろくな画像が得られなかった。。。(なので以前たまたま撮った画像もパクることにする)
メジナに黒鯛・・・これらは主に中層(水深5mくらい)のところを泳いでいる。泳ぐ範囲はそんなに広くはなく、のんびり泳いでいて軌道も定かでなく「気まま」な感じがする。ボラは水面近く1mくらい、かなりあちこち忙しなく泳ぎ回っている。スズキも同じくらいの水深だが、あまりうろうろと泳ぎ回ることはなく、同じようなところに佇んでいるようだ。

  

別の窓から見るとカワハギ、フグなどが見られた。彼らは水中でホバリング、後進することができあまりあちこち泳ぎ回らない。メバルは岩場の陰、障害物のあるところから出入りしているように見える。元々そういう習性だと物の本には書いてあるがやはり実際に見てみると様子がよくわかる。キスは底が砂場であるところで釣れるが、海底を這うように泳いでいるわけではなく結構上下にも泳いでいる。。。
大水槽の一番底当たりで優雅に泳いでいるのが真鯛(または桜鯛)である。普段は水深何十メートルのところで舟でしか釣れないので今回は対象外だが、あの大きさのものがかかったらそれはすごい引きだろな。ちなみにメジナや黒鯛はあまり泳ぎ回らない白身魚である。身が白いということは白い筋肉で動くということであり、速筋主体だから針にかかったときに引きがものすごい(瞬発力)代わりに長く持たないからしばらくバトルしているとぐったり浮いてくる。「あんなヤツが明日釣れねえかなー」なんて思いながら観察していた。。。

    

しばらくして大水槽の周りにたくさんの人が集まってきた。何か特別なイベントが始まるらしい。たまたま水槽の目の前にいたし、せっかくだから見物して行くことにした。何でもダイバーが実際に大水槽に潜って魚達と戯れるショーらしい。これは面白そうだ。。。スクーバはできないけど、有料で体験させてくれるなら、真っ先に手を挙げるところなんだがなー。実際に潜って見せる女性ダイバーが前に出てきて、色々とお友達の魚を紹介した。それぞれ名前がついてるんだが・・・
コバンザメのキューちゃん、ホシエイのオセロ、ミノカサゴのトロン、イシガキダイのモノドン、そして(ホントかよ?)ウツボのラックス・・・彼らはちゃんとトリーターの彼女を識別して手招きすると寄ってくるという。

        

「コバンザメのキューちゃんは以前、私を見るとすぐに近寄ってきてくれたんですが、最近スギという大型魚のお腹が快適らしくいつもそこにいるので探すのが大変なんです。オセロは気分屋でその日によって仲良くできたり知らん振りされたり・・・ウツボのラックスは大人しくて一番懐いてくれます。」
お姉さんは手を降ると一旦我々の前から消え、左上から大水槽の中を潜ってきた。よみうりランドの水中バレエを少しだけ思い出したが・・・
おーっ、ホントにお出でお出ですると魚が寄ってきているぞ!あれがキューちゃんか・・・しばらくするとホシエイのオセロもやってきて真正面でエサを吸い込んで見せた。そして底の方に潜って何やら抱きかかえてきたらなんとウツボのラックス?!ホントに大人しいぞ。。。ガブってやられないのかな。こりゃー面白い、今度皆を誘ってやろう。

            

ショーが終わって大水槽を中段から見られる窓に行き、そこでよく見かけるメジナに私は「クロ」と名付けた。考えてみれば当たり前なんだが、鯛などを代表に陸上に上がって並んでいる魚は皆背びれがピンと立っている(特に黒鯛など)が、泳いでいるときは寝ているんだな。どの魚も皆、長細く見えるのが面白い発見だった。ハリを付けずにオキアミを海中に落としていったときにどのようにして「クロ」が食いつくのかをぜひ見てみたい。
どうやって見つけるのか?(かなり遠くでも目ざとく見つけるのか、ど近眼で触れるくらいに近くになければ気が付かないのか)
どのように食いつくのか?(躊躇せずに一直線に真横か下からか、それとも迷いに迷ってか。しばらくつっついて様子を見るとか)
食った後どう動くのか?(すぐにその場をエスケープか、もぐもぐゆっくり食事か)
そんなことが分かれば実際にイトを垂らしながら色々シミュレーションすることができる。

  

ショーのタイトルは「うおゴコロ」という。年間パスポートで適当に館内を歩き回るだけだから、どんなショータイムがあるのか全然知らなかったが、先日見たイルカショーのほかにも大水槽にカメラを入れて「魚の目」で泳ぐパフォーマンスや私の愛してやまないペンギンのストーリーもあるようだ。さらに特別イベントとして女性限定の「くらげヒーリングナイト(お泊りツアー)」なんてのもあるから驚いた。中々奥の深い施設だなー。
とにもかくにもターゲットとする魚の「うおゴコロ」を頭に叩き込み、釣り場でそれらが「パクっ」とエサに食いついて豪快に竿を引き込む様をイメージトレーニング(って言うのかなー)して翌朝に備えたのだった。



最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (小夏)
2012-05-15 02:52:35
磯辺さん、こんばんはー!
面白いレポート、こちらも楽しくなってきてしまいましたよー
師匠のおっしゃっていたことがようやく理解できました。実際竿を垂らしているときに生態がわかっていたら何倍にも楽しいでしょうねー

お魚、海の中では背びれを立てていないのですね@@!?
眼からウロコです~(お魚だけに? 笑)

水族館、写真撮影のレクチャーもあるといいのにね~

腰越のイタリアンマスターのお魚へののめり込み、そんなお店スバラシ~イ
私の人生での三大マズカッタお料理はすべてお魚でした。お皿の上はそれなりに綺麗だったのに・・・。
その後、外食じになるべく外さないように家庭でお魚に取り組むようになったのかもしれません・・。

Unknown (磯辺太郎)
2012-05-15 07:44:31
小夏様

目的によって水族館って色々な見方ができるもんですね。新江ノ島水族館の年間パスポート大正解でしたー。
そーなんです。竿を出しているときに海中の様子は全くわからない(「見える魚は釣れない」と言いますねので、想像できるだけでもだいぶ違うと思うんですよ。何せエサが盗られたかどうかも上げてみないとわからないのですから。。。

最初、皆ずいぶん長っ細くなってるなー、と思ったんですが、背びれをたたんでたんですね。お魚だけに「目からウロコ・・・」とは、さすが師匠、ここのところ冴えわたっていらっしゃる。(吉幾三編見ました!)

マスターが大の釣り好きの店は魚が美味しいという法則がありそうですね。何せ魚のことを知り尽くしてますから・・・あの店はグリル(ロースト?)ものが一段と美味しいです。
刺身は魚の鮮度でどうにかなりますが、おっしゃるとおり調理したもので美味しい魚というのは中々めぐり会えないかもしれませんね。
マズカッタわけではありませんが、一番のコマッタお料理は「コイの丸揚げ」・・・かな。
Unknown (小夏)
2012-05-15 10:34:48
うっわーコイ
こりゃ、すごいカードきられた気分です
コイのお料理って案外大ぶりな量で提供されますよね~。。特に海から遠いエリアで。。
「丸揚げ」だなんて、あの大きなウロコ並んだのが目の前にきたら凝視できないかも~。お髭が伸びていたり、、キャー(想像し過ぎ)ごめんなさぁ~い
コイのウロコはこいのぼりだけで充分ですわん

そうそう、過去に「おぉっこれならイケル」っと思ったコイ料理は、湯布院御三家高級旅館の亀乃井別荘のランチ(宿泊じゃないでーす)の「コイのあらい」でした~
Unknown (磯辺太郎)
2012-05-15 13:04:51
小夏様

昔、中華街で食べたもので名前はよく知りません。結構見た目で楽しむもので、出てきたインパクトでターンテーブルを囲む仲間が歓声を上げた記憶があります。竜田揚げに甘酢餡かけのような感じでした。
でもナイフでざくっと輪切り取り分けて食べるようなんですが、太い骨だらけであちこち口の中にささってしまい、餡かけ以外はほとんど食べられませんでした・・・ウロコはとってありましたがねー。

湯布院御三家・・・うーむ。決して行くことはなかろう高級感満天なランチですねえ。

先日、雷除け祈願にいった県東部の神社では、昨年「なまず尽くし定食」を試しました。その中に「なまずのあらい」ってありましたけど、特に印象が残っていません。。。
コイ料理なら佐久が有名ですかねー。
どじょう (小夏)
2012-05-15 23:01:32
「なまず尽くし定食」、、「なまずのあらい」わぁお
私もフロリダのディズニー内でキャットフィッシュフライ(?)をいただきましたが、お味は悪くはないってくらいにしか覚えていません。

連想でどじょうを思い出しました。
あれはいただくまでは躊躇するけれど美味しいものでしたねぇ。
当時でも珍しかったけれど今ではめっきり聞かなくなりました。
農薬とかのせいじゃないかとハニ丸がさっき言っていましたが、なるほどねん、でした。
水族館にどじょうはいるのかな^^
うなぎがいたらうな吉の親戚ですね!
Unknown (磯辺太郎)
2012-05-16 05:38:40
小夏様

おーっ、フロリダで・・・なまずもインターナショナルな食べ物なんですねえ。私も今年は「なまずのてんぷら」のみにしました。
スティーブと言った感想は「こんなもんだったよねえ」

どじょうは柳川鍋でだけ食べたことありますが
中々の美味でした。(有名ですもんね)
確かに水田などからも減っているようですよ。
それから向かいの川で今年はうなぎの稚魚がほとんど獲れないそうです。
だから昨年は1匹も釣れなかったのかなー。
水族館にどじょうはいなかったような気がします・・・ムツゴロウはいました。

コメントを投稿