口笛吹いても独り

~チンパンジーの地平線~

連想ゲーム

2016年10月16日 | 日記
鼻の奥で匂いがする
何処かの家で、それも良く通っていた家か、それなりの年月は自分が住んでいた家かで嗅いだ匂い
例えば少年時代に友達の家に遊びに行くと感じる、その家の独特の匂い
そういう人の住む家に付く独特の個性的な生活臭が鼻の奥でずっとする
そしてそれは何処かで良く匂いだもの
今まで移り住んだ数か所の家のうちのどれかの匂いか
それか誰か友人の家の匂いか
どこかの仕事場や、その休憩室や更衣室の匂いか

だがどうしても思い出せない

こういうのをプルースト効果というらしい
あのマルセルプルーストのアホみたいに長い話「失われた時を求めて」の入りで、主人公がマドレーヌの香りで過去を思い出すことから、そう名付けられたらしい
当然私は原作を読んだことは無い
「マンガで見るまとめ」みたいなものは読んだが細かい内容どころか大まかなあらすじさえ忘れてしまった

そういえば村上春樹がまたノーベル文学賞で騒がれるだけ騒がれた挙句に選外になった
芥川賞と言い今回と言い、全く大きな賞には縁の薄い人だが、まあボブディランに負けたのなら本人も苦笑いするしかないだろう

なんでそんな事を突然書いたかというと、確か村上春樹の小説で登場人物が相手の発した言葉を「マルセルプルースト」としか聞き取れなかったみたいな場面があったのを、思い出したからだ
相手はよく太った、だがとても魅力的な女性でピンクの服が似合うような記憶がある

そんなことは思い出すのに、まだこの匂いを嗅いだ昔のの場所が何処なのか思い出せない
時間が経つにつれて匂いの輪郭みたいな部分もぼやけてきた
何処か古い家の匂いのような気がするんだが
関西か福岡で引っ越した時に住んでいた家は古かったが

関西で思い出したが自分は久松史奈の曲を聴くと、夕暮れの阪急電車から見る十三のツインタワーを思い出す
阪急電車の木目調の壁、緑のフェルトの座席、窓の外には鉄橋の真ん中あたりで見える夕暮れのオレンジに照らされた淀川とツインビルの梅田のスカイタワー
あの頃の自分は若く、とても若く、一人で生きていけるし独りで平気だと思っていた
今になって思えば随分と周りの大人たちの助けがあったのだが
知り合いなんて誰もいない場所でも平気だといきがって生活して、特定の人以外に殆ど誰ともしゃべらずに毎日を過ごして、いつだって何処に行くときも独りぼっちで動いて、自分勝手な速足でバカみたいに長い距離を歩いた
一人でギュウギュウの電車に乗って帰って、大事に使いなさいよと餞別に貰った少額だがその頃の自分には十分まとまった金額の金で独りでも良いようにと買った大切なウォークマンで、電車の中でいつも音楽を聴いてた
そうやって独りで暗い部屋に戻って明かりをつけて夜を過ごした
寝る前には忘れずにウォークマンの電池を充電した、明日も電車の中で聴けるように
そんな生活を毎日続けた

今でも久松史奈を聴くと、あの頃の景色や周りの明るさや都会の街の雰囲気、そして若い頃の独特の思いつめたような自分自身の空気を思い出す
若さというのは、どうしてああも思いつめた何かや、時に簡単に強い決意をさせてしまうような何かをはらんでいるのだろう
ただ鈍感で慣れてしまった今よりも余程変化に対しても敏感で、そしてとてもタフだった

一つの匂いで色々と思い出した
だが、この匂いを何処で嗅いだのかは、どうしても思い出せない

書きながら思い出すかと思ったが、もう思い出しそうにもないので日記も今日はここまで
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