たもとのあれこれ日記

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監督/コーエン兄弟   『ノーカントリー』

2008年04月13日 | 映画鑑賞記
観にいこうとは思っていたけれど、暴力的でスプラッターだったらどうしよう?という気持ちもありました。でも、行って良かったです!

怖いシーンが唐突に起こるので緊張の連続ですが、乾いたユーモアも混じってます。

以下ネタバレ含まれてます。
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確殺人の連続ではあるのですが、スプラッター映画ではありません。殺人のシーンは確かに暴力的で非道、残酷なのです。危険な殺人鬼であるシガー(バビエル・バルデム)は不思議で強力な武器で容赦なく人を殺していきますが、それは彼にとって仕事だからとも言えるし、でもそれだけでは説明できない「異常」な空気があります。

偶然大金を手に入れて逃げる羽目になるルウェリン・モス(ジョシュ・ブローリン)、私は今回いちばん男っぽくかっこよく感じました!この人は決して人に頼らず、自分で全て解決していこうとする人で、一見平凡な人のようだけど本当にその力を持っています。よく、「生きる力」とか言いますが、この人は確かに持っています。でも、それは学校とかではなく、銃を使った荒野での狩とか、果てはベトナムでの兵士としての経験とかから培われたのかもしれません。

保安官のエド・トム・ベルを演じたトミーリージョーンズもとても渋くて良かったです。彼は、現自分から見て異常な昨今の犯罪を理解できず、「昔はよかった」派ともいえます。しかし果たしてそうなのか?昔だっていつだって、残虐な事件は起きていたのじゃなかったのか?やはり保安官だった伯父さんが昔のひどい話をするシーン、いやーセットではなく本当に伯父さんがずっと住んでいた家のようでした。

殺人鬼のシガー(バビエル・バルデム)はアカデミー賞最優秀助演男優賞もとり、すごく評判みたいです。確かに異常な人間としか見えないすごい役でした。殺人に全く迷いのないシガーの前で、みんな恐怖に駆られます。その中でたった一人、モスの奥さんカーラ(ケリー・マクドナルド)だけは恐怖は持っていてもいちばんかっこよく対峙していました。

私は、たぶんこのときシガーはカーラの態度から良心や罪悪感ではないとしても「何か」を感じたのではないかなーと想像するのですが...。

ケリー・マクドナルドはとても可愛くて、また、夫であるルウェリンのことを深く理解し、愛している役です。彼女が「ルウェリン?」と呼びかける声がキュートでした。

ルウェリンがベトナムの帰還兵であることは映画の中で折々わかるのですが、ベトナム戦争が良くも悪くもアメリカ社会に与えた影響の大きさを物語っているのでしょう。

ルウェリンの仕事場を聞きに来たシガーに対し、住居人のプライバシーはいえない、と毅然とした態度を貫いたおばあさん、最後に自動車事故で大怪我をしたシガーにシャツを売ってくれといわれ、ただでいいですよ、と裸になる男の子も印象的でした。

というのも、ベル保安官が仲間の保安官と「敬語を使わなくなったからこんな世の中になった。」と話すシーンがあるのですが、この男の子はちゃんと敬語を使うんです。

ラストで、お金、麻薬を中心に暴力と殺人がはびこる世の中に絶望しかけるベル保安官(このときは既に退職している)が夢を見ます。そこにはかすかな希望がありました。
ジャンル:
映画(DVD)
キーワード
アカデミー賞 ベトナム戦争 自動車事故 トミーリージョーンズ ジョシュ・ブローリン ノーカントリー スプラッター スプラッター映画 コーエン兄弟
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