中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

ストレスチェック制度Q&A①

2016年10月12日 | 情報

久々のQ&Aです。締め切りが近づいてきました。

Q:個人情報の秘匿を、「しつこく」問われています。
例えば、面接指導に対象者を呼び出す場合、イントラネットを使用しても、手紙を利用しても、
対象者の呼び出しは秘匿できますが、対象者が面談のため離席するには上司の許可が必要ですから、
ここで、個人情報が少なくとも上司には必然的に漏れてしまいます。
面談対象者から個人情報が漏えいしたと言われれば、反論の余地はありません。
どのように対処すればよいのでしょうか?

A:これは、以前にもお答えしたと記憶していますが、制度の信頼性に関わる重要な問題ですので再度、確認しましょう。
ストレスチェック制度のキーワードは「信頼性」です。
これは、ストレスチェック制度の検討会において、委員のお一人である近畿大学法学部の三柴教授の提案でした。
そして、検討会において委員全員に了承されました。小生も全面的に賛同します。
なぜなら、労働者の信頼なくしては、ストレスチェック制度は成り立たないからです。
しかも、ストレスチェックは毎年、実施しなければならないからです。
労働者から信頼されない、ストレスチェックを毎年実施しても、なんら意味がありません。
大切な経費をどぶにタダで捨てているようなものでしょう。

さて、今回のストレスチェック制度では、衛生委員会を重要な機関として位置づけています。
ですから、悩ましい問題、処理の困った問題などは、全てこの衛生委員会に稟議して、機関決定しておけば
全従業員が納得できる規則になります。
すなわち、「面談指導の呼び出しで職場を一時的に離席する場合は、上司の了承を取らなければならない。
上司は、この事実を他に口外してはならない。」と規程すればよいでしょう。

(参考)SC(ストレスチェック)制度の準備情報・質問編⑱
2016年04月06日

Q:ストレスチェックマニュアル65頁では、従業員が医師の面接指導を受ける際に、
職場を離れることになりますが、その際には、上司にその理由を伝える必要がないと記されています。
「〇面接指導は原則的には就業時間内に設定しましょう。
日時の設定に関しては、曜日や時間帯を柔軟にして、対象者が面接指導を受けやすい環境を整える配慮が必要です。
また、就業時間内に面接指導を受ける際には、必ずしもその理由を伝える必要はありませんが、
労働者の上司等の理解を得ておくことも重要です。」
しかし、弊社の就業規則では、離席する場合は上司の許可が必要としています。
無断で離席できるのは、生理的現象のみであり、もし無断で離席すれば、懲戒の対象になります。
どのように対処したら良いのでしょうか?

A:前回の質問編⑰と似た質問です。しかし、多くの疑問、質問が寄せられていますので、詳しく解説します。
それに、個人情報保護の観点、労務管理上の問題等、制度運営上、とても重要な問題と認識しています。
ご質問の通り、民間の事業場では、通常の場合、上司あるいは管理職の許可なしには、職場から離れることはできません。
それでは、どのようにすれば良いのか。
まず、ストレスチェック制度の具体的な実施要領を調査審議する、御社の衛生委員会において、
具体的な面接指導のプロセスを、ステップごとに確認します。
すなわち、当事者が医師の面接指導を、就労時間内に受けるわけですから、
どうしても職場を一時的に離席することになります。
これは、面接指導の対象になるすべての従業員が、同様の状況に直面することになるのですから、
面接指導を受ける場合は、上司の了承・許可を受けなければならないと、原則を取り決めます。
そして、上司には守秘義務を課します。そして、個人情報の漏えいには該当しないこととする、
例外規程を、御社のストレスチェック制度の実施要領に規定します。
このようにすれば、個人情報保護法のしばりを回避することができますし、
上司・管理職と当該従業員との人間関係も壊れる心配もなくなります。
ちなみに、重複しますが、「氏名」は個人情報の対象として、個人情報保護法の第2条に、記載されています。
もうひとつ、大切なことを。
部下から、面接指導の希望者が出たら、上司の心境はどうでしょうか?
事前に、管理者教育も必要になるでしょう。
準備が不十分だと、社内、事業所内に「気まずい」雰囲気が充満することになります。
職場環境改善どころではなくなる危惧もあります。
ストレスチェック制度が引き起こす影響の大きさを理解しましょう。

なお、小生の推測ですが、ストレスチェックマニュアル65頁に記載されている文章は、
行政が個人情報保護法に抵触することを危惧した証左に他なりません。
ストレスチェックマニュアルには、いくら法的拘束力がないといっても、
稚拙な説明であると言われても致し方がない箇所が散見されますね。

 

ジャンル:
その他
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 第二の電通事件 | トップ | サービス残業でうつに »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 30日以上前の記事に対するトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • このブログへのリンクがない記事からのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。