中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

精神疾患と労災に関する一考察(5)

2016年12月02日 | 情報

最後に、識者やマスコミ、産業界の問題意識を紹介しましょう。

まず、マスコミの認識レベルを紹介します。
精神疾患を労災の問題は、多くのマスコミが何度も何度も取り上げてきましたが、
これまでで、小生の問題提起に近い記事は、唯一以下の日経の記事のみでした。

国、過労自殺の防止急ぐ 14年度の労災認定最多  2015/12/8 日経
「厚生労働省によると、過労やパワハラでうつ病などの精神疾患を発症したとして、
2014年度に労災認定された人は497人(前年度比61人増)。
このうち自殺者(未遂を含む)は99人(同36人増)で、いずれも過去最多を更新した。
内閣府の調査では14年の自殺者の約1割にあたる約2千人が、仕事疲れや職場の人間関係など「勤務問題」が原因だった。
労災申請していないケースも多くあるとされ、認定件数は「氷山の一角」との指摘は根強い。」

この記事は、今までにないレベル、問題認識です。
しかし、残念ながら疑問を呈しただけで終わっており、それ以上の突っ込みはありません。
それでも、後にも先にも、このような認識の記事に出会ったことがありません。
多くは、「労災認定件数が増えている」程度のレベルです。
これ以外のマスコミ、さらには、精神医学、労働問題等の学者、専門家、
労働問題に詳しい弁護士、社労士等の専門家からは、全く問題提起はありませんね。

最後に、企業内組合は、何をしているのでしょう?
どうひいき目に見ても、労働者の味方のはずなのに、組合費を強制徴収するだけで、
何も関与していないのでは?と受け取れます。
マスコミの取材力の問題でしょうか?組合のアピール力がないからでしょうか?
一方で、経営側の経団連は「15日、電通の女性新入社員が過労自殺した問題を受け、
会員企業約1300社に過重労働の防止を徹底するよう呼び掛けた。
経団連は2016年度を「働き方・休み方改革集中取り組み年」と位置付け、
企業向けセミナーなどを実施しており、電通の問題を重視する姿勢を示した格好だ。」(時事通信16/ 11/15)
経営側のほうが、真剣に取り組んでいる様子が窺えますね。

なぜ、精神疾患の労災認定が、少ないか、ご理解いただけたでしょうか?
以上が、小生の「精神疾患と労災に関する一考察」です。


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