中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

質問に回答します①

2017年06月20日 | 情報

Q: 精神疾患で休職中の社員に、リワーク訓練を受けることを勧めたが、
1年6ヵ月の傷病手当金の受給が終了していることもあって、リワーク訓練を受けることを
拒否した。どのように対応したらよいのか?

A:これは、色々な問題を含んだ質問ですね。ほんとに。
まず、精神疾患で休職中とありますので、労災ではなく、私傷病なのでしょうね。取扱いに間違いはないでしょうか?
もし、労災であれば、東芝うつ病事件(最二小判平26.3.24)の再来になりますよね。
御社には、当事案をあくまでも私傷病として押し切る自信はありますか。

さて、御社の就業規則では、休職期間の上限が1年6ヵ月以上であるということですね。
休職期間ですから当然に給与の支払いはありません。
傷病手当金のみが当面の生活資金ということになりますが、休職期間が1年6ヵ月以上になれば、
傷病手当金の支給はなくなります。
御社に特別の規程があれば、判断は別になりますが、休職中ですから従業員としての身分が保証されています。
そうすると社会保険料の当人負担分は支払わなければなりませんね。
従って、リワークを受ける金銭的余裕はないはずです。ですから、拒否するのですね。
このようなことが度々起きますので、多くの企業では、休職期間の上限は1年6ヵ月とされているのですね。
なお、もし、このようなことを配慮して、御社の就業規則の休職期間を1年6ヵ月に短縮する場合は、
労働条件の不利益変更に該当しますので、過半数労働者(労組を含む)の賛成が必要になります。

次に、リワーク訓練を受けることを勧める理由が分かりません。理解できません。
多分、スムーズな復職が望める、再発のリスクが下がるだろう等々の理由で、会社側がリワ-クを受けるようにと、
「親切心」から、このような行動、言動を発したのでしょうね。
会社としては、「善かれ」と考えたのでしょうが、もし、リワークをした影響で症状が悪化した場合には、
会社側の責任を問われることも考えておきましょう。
従って、リワークは、あくまでも復職したい労働者の判断、要するに労働者の任意なのです。

当職のリワークに対する考えを整理します。正しいリワークは、復職を目指すステップとして、有力な手法と考えます。
ただし、リワークを受ける受けないは、当事者が主治医と納得のいくまで話し合い、決めることが大切です。

一般論として、企業には、安全配慮義務の履行が求められていますが、
一方、労働者には、健康保持義務があると考えられると、労働法の権威である安西愈先生が主張されています。
これからは、一般的な復職支援の話題になりますので、次の機会に譲りたいと考えます。

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