中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

情報産業の復帰率に改善傾向

2017年03月20日 | 情報

当ブログの3月10日にも、「IT関連業界、それに公務員、教員」と述べたように、
IT関連業界は、民間企業の中でも、突出して精神疾患による休職者が多い(以前にも数回、紹介していますが、
民間企業全体では、0.4%であるのに対して、IT関連は、2.0%)ようです。
ところが、「一般に福利厚生などが遅れがちな従業員数100~299人の小規模事業場の復帰率は53.9%。
1000人以上の事業場の3倍良かった。」は、注目すべき結果です。理由を知りたいものです。
推測として、中小企業では、人材確保が厳しい現状から、採用・育成した貴重な人材を失うことが許されない状況に置かれており、
休職者の復職は、喫緊の課題なのではと考えます。
また、当職は、当ブログにおいて、労働組合の取り組み態勢が希薄であると主張してきましたが、
当記事や情報労連HPからは、労組ばかりか、経営側も頑張っている様子が窺えます。

情報産業の復帰率に改善傾向 
2017/3/13日本経済新聞

コンピューターを使うことによる精神的な失調「テクノストレス」が問題とされてきた情報産業で、
うつ病などで休職した後、職場に復帰した人の割合が増えている。
情報産業労働組合連合会が2016年5月に実施した「ソフトワーカーの労働実態調査」で分かった。
「過去3年に休職した人のほぼ全員が復職した」企業は45.3%。11年の33.5%から11.8ポイント改善した。
同労連政策局部長の宮原千枝さんは「メンタル面での異常発見と防止に早く対応をする企業が増えているようだ」とみる。
一般に福利厚生などが遅れがちな従業員数100~299人の小規模事業場の復帰率は53.9%。1000人以上の事業場の3倍良かった。
だが、派遣で働く「客先常駐者」のメンタル管理などが新たな課題として浮上している。
宮原さんは「実態を聞き、分析する必要がある」と話す。

「ソフトワーカーの労働実態調査」 情報労連HPより転載
http://ictj-report.joho.or.jp/topics/170131_01.html

情報労連は、情報サービス産業の健全な発展と、IT技術者に相応しい労働条件を実現するために、
1993年から「ソフトワーカー労働実態調査」を実施し、情報サービス産業の労働者の実態把握を行っている。
調査は、2016年で24回目を迎えた。2016年は、5~7月にかけて実施。309社から協力を得た(2015年319社)。調査の概要を紹介する。
「ソフトワーカー労働実態調査」は、賃金、一時金、労働時間、経営課題などの継続項目に加えて、各年で特集項目を設定している。
2016年は、「職場におけるコミュニケーション」「メンタルヘルスへの対応」を特集項目とした。
安全衛生法の改正に基づき、2015年12月から労働者が50名以上の全事業場でストレスチェックが義務化されることから、
職場におけるコミュニケーションの状況とメンタルヘルス対策を取り上げた。

調査結果の概要は以下の通り。
社内コミュニケーションの評価

コミュニケーションについて、全体的な状況をたずねたところ、「とれている」(「十分とれている」「大体とれている」の計)は
54.4%となり、現状を否定的に評価している企業(「あまりとれていない」「まったくとれていない」の計)は1割未満と多くなかった。
こうした中で、社内コミュニケーションが円滑にいかない原因をたずねたところ、最も比率が高いのは「業務多忙」(58.3%)であり、
「コミュニケーションスキルの不足」(46.0%)、「世代間での意識・価値観のギャップ」(35.3%)と続いた(図4)。

メンタルヘルス

過去1年間でメンタルヘルスの不調により1カ月以上欠勤・休職している従業員が「いる」と回答している企業は61.5%であり、
約3社に2社の割合に上った(図5)。「いる」と回答した企業は規模が大きいほど、比率が高くなることに留意する必要がある。
1000人以上規模では84.4%、100人未満規模では35.4%だった。
ここ数年におけるメンタルヘルスの不調を原因とする欠勤・休職者の増減傾向をたずねると、
「増加している」が15.2%、「横ばい」が37.5%、「減少している」が17.8%となっている。
「増加」と「減少」とが拮抗している。
ただし、2011年調査の時点では「増加している」(22.8%)が「減少している」(14.5%)を上回っていたことと比べると、
状況はやや改善してきたことがうかがえる。
メンタルヘルスの低下する原因を複数選択で選んでもらった。
結果は、「仕事上の人間関係」(61.5%)と「仕事の責任の増大や仕事内容の高度化」(56.0%)が
6割前後で上位に並び、以下「コミュニケーションの不足」(45.6%)、「本人の生活上の問題」(45.0%)が4割台で続いている。
仕事の量(「長時間労働」35.0%)も原因としてみられているが、
それ以上に、仕事の質(「仕事の責任の増大や仕事内容の高度化」など)を原因としてみている企業が多かった(図6)。
これを企業規模別でみると、規模の大きい企業ほど「長時間労働」を意識している企業が多く、
1000人以上規模の場合、50.0%が原因としてあげている。
他方、100人未満規模で「長時間労働」(24.6%)を原因と考えている企業は少なかった。

客先常駐

今回の調査では、客先常駐しているソフトワーカーのコミュニケーション、メンタルヘルスについてもたずねた。
客先常駐者のメンタルヘルス上の課題を複数選択で聞いたところ、具体的な課題としては、
「ストレスや悩みの把握が難しい」(52.8%)が最も多く、これに「労働時間が長くなりやすい」(35.3%)が続いた(図7)。
情報サービス産業において、客先常駐は多くみられるが、コミュニケーション不足などが要因となった
会社への帰属意識の低下などの問題が指摘されており、客先常駐者に対する社内情報の開示や、
よりきめの細かい対応が求められると言える。

メンタルヘルス不調の未然防止の取り組み

法律で義務化されたストレスチェックのためのアンケートへの対応方法をたずねた。
法律で義務化されたストレスチェックのためのアンケートについて、「義務化前からアンケートを実施しており、
そのまま継続している(する予定)」(15.2%)や「義務化前からアンケートを実施していたが、
内容を見直した(見直す予定)」(8.7%)といった企業は2割と少なく、
「義務化にあわせ、新たにアンケートを実施した(する予定)」(48.5%)とする企業が多い。
ストレスチェック実施に対する課題としては、「メンタル不全者への対応時の個人情報の取り扱いが難しい」(31.1%)が
最も多くあげられ、以下、2割台で「客先常駐など分散している従業員の取り扱いが難しい」(23.9%)、
「高ストレス者の選定基準があいまい」(23.3%)、「産業医、保健師など実施者の確保が難しい」(22.7%)が続いている

情報労連の取り組み

政府は「働き方改革」を主要な政策に掲げており、厚生労働省は「IT業界の長時間労働対策事業」を実施している。
この事業に基づいて検討委員会が設置されており、情報労連は委員を派遣し、労働組合の立場で発言している。
経済産業省の「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査」(2016年)では、IT人材不足は今後ますます深刻化すると予測されている。
人材不足に対応するためには、産業の魅力度向上を図る必要がある。
情報労連は、現状の課題解決に向けて、多段階契約などの適正な契約方式への転換や労働条件の改善、
ワーク・ライフ・バランスの一層の推進を展開していく。

 

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