中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

質問に回答します⑤

2017年06月27日 | 情報

Q:休職中の社員との、コミュニケーション方法、連絡の取り方についてアドバイスをお願いします。

A:休職中の社員と、定期的なコミュニケーションが必要なことは、云うまでもありません。
なぜなら、休職中であっても、従業員としての身分に変わりはありませんので。
従って、会社としては、当該社員に対して、当然に安全配慮義務の履行が求められるからです。
「せいせいした、ほっとした」などと、不謹慎な思いを持ってはいけません。
音信不通だ、行方不明になった、などとなっては、問題がますます大きくなってしまいます。

そこで、当該社員が休職する前(やむを得ず、突然休職する場合もあります)に、
休職中における、会社とのコミュニケーションの在り方を打合せしておくことが必要です。
なお、その他に、会社の諸規程、休職中の待遇、収入、過ごし方及び、復職のやり方なども
打ち合わせておくことも必要ですが、別稿に譲ることとします。

さて、まずコミュニケーションの方法ですが、電話、手紙、メール、直接の面談等が考えれます。
しかし、それぞれに長所、短所があります。
会社側にとって、
・電話
メリット:いつでも、任意に連絡できる。
     音声なので、ある程度の意思が伝わる。
     手っ取り早い。
デメリット:相手が在宅かどうか分からない。
      相手の都合を全く考慮しない。
      相手の声は聞こえ、類推はできるが、直接に会っていないので、細部の様子が分からない。
・手紙
メリット:いつでも、任意に連絡できる。
     相手に、迷惑がかからない。
     多くの情報(モノを含む)を伝えることができる。
デメリット:最近の若手社員にとっては、苦手な連絡ツール。
      確実な返信が期待できない。
      一方通行で、問題あれば、数次にわたる往信が必要。
      相手の様子が、窺い知れない。
・メール
メリット:いつでも、任意に連絡できる。
     いつでも開封ができ、相手に迷惑がかからない。
デメリット:相手の様子が、窺い知れない。
      一方通行で、問題あれば、数次にわたる往信が必要。
      伝えることができるのは、文章のみ。
・直接の面談
メリット:直接に会うので、相手の様子がすべて分かる。
     いろいろなモノを持参できる。
デメリット:遠隔地だと、時間、費用等が負担になる。
      日程調整に手間取る。

結論としては、それぞれのメリットを生かした、数通りの手段による組み合わせが必要でしょう。
次に、頻度ですが、休職初期は、病気の急性期でもありますので、1か月に1回程度が、ベターでしょう。
もちろん、病気の種類や病状等によって、頻度を打合せしておくことも大切です。
また、緊急の連絡や面談も必要であり、柔軟に対応することが必要でしょう。
急性期を乗り越えれば、双方で頻度を決めることができますが、これにもある程度の柔軟性も必要でしょう。

次に、会社側のコミュニケーションを誰が担当するかです。
理想は、産業保健スタッフ、人事労務担当のうちから、休職者が了承した従業員が担うことになります。
そして、特定個人にすることが重要です。
事案によって、入れ替わり立ち代わりに、連絡してしまうのでは、休職者が混乱してしまいます。


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