中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

数字は語る①

2017年09月08日 | 情報

意味深長なタイトルですね。
小職、第二の人生で、社労士業務に携わっていますが、
この領域では、数字に対する、誤解、曲解、または「鵜呑み」の現象に直面することが多いのが、特長です。
ここで、まとめて紹介したいと思います。

第1回は、精神疾患に関わる労災認定問題です。

まず、事実の紹介です。
メンタル不調による労災認定件数は、以下のように年々増加しています。
28年度:498件、27年度:472件、26年度:497件、25年度:436件、24年度:475件、

この情報は、当ブログでも当然に紹介していますが、毎年公表されるたびに、各マスコミが大々的に取り上げています。
しかしながら、「・16年度「心の病」労災認定最多  17.6.30 共同」に代表されるように、
各マスコミは、「労災認定件数は、年々増加しています」とし、その背景については、「毎年」何らの言及もありません。

(再掲)16年度「心の病」労災認定最多 2017年07月04日
今年も昨年の実績が発表されました。
マスコミのみなさんは、なぜ、こんなに労災認定件数がすくないのか、疑問を持たないのでしょうか?
これなら、ストレスチェックなんて、いらないじゃないですか。
・<過労の労災>「心の病から」過去最悪 理由はパワハラ   6/30(金) 毎日
・精神疾患の労災最多 16年度498人認定、長時間労働など   2017/7/1 日経
・16年度「心の病」労災認定最多   過労死、自殺も高止まり  17.6.30 共同
・精神疾患の労災、最多498人…20代が増加   2017年07月01日 読売
・過労で心の病、最多498人=昨年度、自殺・未遂は84人―若い世代増加・厚労省    6/30(金) 時事
・過労など「心の病」労災請求過去最多 28年度認定も最多、電通新入社員含む  6/30(金) 産経

一方で、論じることのみに限定しますが、このような事実もあります。
・気分障害(躁うつ病を含む)の患者数 約111.6万人(28年厚労省調査)

そもそも、精神障がいの発病要因は、
①業務による心理的負荷
②業務以外の心理的負荷
③個体側要因(既往症、アルコール等依存症、性格傾向等)
とされています。
そこで、再度、上述したふたつの事実を比較してみましょう。
〇メンタル不調による労災認定件数は、28年度:498件(厚労省発表)
〇気分障害のうち、うつ病の患者数 約111.6万人 (28年厚労省調査)

即ち、精神障がいの発病要因は、3種ですから、
111.6万人-498人=約111.595万人は、②業務以外の心理的負荷、または、
③個体側要因(既往症、アルコール等依存症、性格傾向等)が原因と推定できます。

まず、ここで「おかしい」と思い当たります。
②業務以外の心理的負荷、に相当するのは、
・配偶者の死亡
・家族(まれに、ペット)の死亡
・被災(地震、台風、火災、津波等)
・破産
等々でしょうが、1年間にこれだけの案件、事故が起きて、気分障害にり患すると想像できますか?
しかも、111.6万人は、診療施設を受診した実績ですから、この数字の背景には、
沢山の未受診者がいることを想像してください。しかも毎年ですから。

ところで、ストレスチェック制度が導入された背景を考えてください。
「精神障がいの発病要因は、①業務による心理的負荷」であるから、当制度が導入されたのではないでしょうか。
もし、そうでないのならば、ストレスチェック制度を導入する理由がないのではないでしょうか。

(再掲)法改正の背景(ストレスチェック制度の導入、安衛法第66条の10)
・職業生活で強いストレスを感じている労働者の割合は高い状況で推移
・精神障害の労災認定件数が3年連続で過去最多を更新 等

すなわち、多くの労災事案、敢えて申し上げれば数十万件の労災事案が、労災申請すらされていないと、推定できます。
いや、そうではないとお考えなのなら、なぜストレスチェック制度が導入されたのでしょうか。
しかも、ストレスチェックに要する費用は、全額当該企業負担です。

 

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