中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

演習・模範解答例

2014年04月28日 | 情報
演習課題についての、解答例を以下に紹介します。
皆さまは、どのような分析をされたのでしょうか?

中小企業における、職場復帰支援プログラムの作成事例 ③
○○産業保健総合支援センター メンタルヘルス対策促進員 ○ ○○さん

1. はじめに
 
『筆者は昨年5月より、「職場復帰支援プログラム作成支援」について、事業場ごとに作成支援を行って参りましたので、
その内容について紹介させていただきます。
いずれも以前に管理監督者研修(ラインケア研修)を行ったことが支援動機となっております。』
⇒(○)活動事例を紹介いただいたことを評価します。

2. 支援内容
 『まず、当該事業場に対し、今までにメンタルヘルス不調者が存在したかどうかを質問し、存在した場合、どのように対処をされたか伺いました。
多くの事業場でメンタルヘルス不調者を抱えた経験がありましたが、対応にあたってのルールがなく、試行錯誤したとの回答でした。』
⇒(○)よくわかります。その通りでしょう。

『その中で、従業員50人以上のA事業場の事例を挙げてみます。
従業員がメンタルヘルス不調(抑うつ状態)により3カ月間休業した後、所属長に主治医の復職可能診断書を提出してきました。』
⇒(×)以下、当該事業所の対応について検証します。
    文脈から、当事例は「私傷病」扱いのようですが、本当に「私傷病」なのでしょうか。
    事実関係を検証した様子が窺えません。最初から「私傷病」として対処するのは、問題です。

『所属長は、人事労務担当者と衛生管理者で復職が可能かどうかの協議をしました。』
⇒(×)衛生管理者は、余計でした。
    『対応にあたってのルールがなく、試行錯誤したとの回答でした。』というレベルの事業所ですから、
    所属する衛生管理者には、基本的にメンタルヘルス問題の知識がないと考えられます。
    さらに、個人情報が拡散してしまう可能性があります。
    もし加えるのであれば、保健師、看護師等の健康管理スタッフでしょう。

    
『その結果、産業医(嘱託)に診断書を提示し、判断を仰ぐことになりました。』
⇒(×)所属長と人事労務担当者は、速やかに産業医の判断を仰がなければなりません。
 「その結果」ということは、産業医は、たぶん専属ではありませんので、
  診断書の提出から結論を得るまで、相当の日程が経過しているものと推定します。結論は、急がなければなりません。
  復職希望者には、復職の申請を放置しているように見えますし、結果、誠実な対応をしていないと誤解されてしまいます。
  保健師、看護師等の健康管理スタッフもいない、小規模な事業所であれば、
  所属長、人事労務担当者と産業医との三者で結論を出し、社長(事業所責任者)の決裁を仰ぐのが順当でした。

『産業医は、「仕事の内容は事業場の方がわかっているはずだから、休職者と面談してそちらで判断してくれ」とのことでした。』
⇒(×)結論から。産業医失格ですね。会社と産業医との契約内容が分りませんが、産業医として最低限の仕事もしていません。
    産業医は、診断書の「読み下し」をしなければなりません。
    診断書の内容に不明な点があれば、診断書を作成した主治医に問い合わせしなければなりません。
    会社として、主治医に問合せできるのは、産業医しかいないのです。
    その結果をもとに、産業医としての所見を述べなければなりません。
    それが、「仕事の内容は事業場の方がわかっているはずだから、休職者と面談してそちらで判断してくれ」とは、何をかいわんやです。
    その後、所属長と人事労務担当者が困惑するのは、目に見えていますし、対応に齟齬が生じるのは致し方ないことでしょう。

『そのため、所属長、人事労務担当者および衛生管理者が休職者と面談しました。』
⇒(×)再び、衛生管理者は余分です。専門家等が指摘するのですが、実務面では、基本的に衛生管理者は対応できる知識もありませんから、
    当然に何らの貢献も期待できません。もちろん、メンタルヘルス問題に習熟している衛生管理者ならよいのですが、
    当該事業所レベルなら、衛生管理者にメンタルヘルスに対する知識を求めるのは、難しいでしょう。
    参考までに、厚生労働省が策定した「労働者の心の健康の保持増進のための指針 」(平成18年3月公示)で、
    選任することを努力義務とされた「事業場内メンタルヘルス推進担当者」であれば、
    一通りの知識を習得していますので、適任でしょう。

『その結果、所属長は、休職者の今の状態では、安全上の責任が持てず、すぐに復職させることは困難との判断をしました。』
⇒(×)所属長には判断できません。気持ちは理解できますが、所属長には判断する知識・能力はありません。
    しかも、この判断は、最悪ですね。「片山組事件」(最一小判平10.4.9)を参照してください。
    休職者が復職を希望しているのですから、原則会社は復職を認めなければなりません。
    認めないのであれば、産業医の意見書に加えて、第三者の所見を得てはじめて、復職を先送りすることが可能になります。
    さらに、休職期間の問題が絡んできたら、どのように対処するおつもりでしたか?

『一方、人事労務担当者は、他の職場に適当な受入先がないか探しましたが、異動先がなく復職はかないませんでした。』
⇒(×)復職先は、原則原職です。しかし、原職に戻せない、戻すことが難しい場合もあります。
    「他の職場に適当な受入先がない」今回のような場合は、人事労務部門が受け入れるべきでしょう。
   「異動先がなく復職はかないませんでした。」などは、論外でしょう。

『それから2カ月後、休職者ならびにその家族から、復職に対する強い要望が事業場に持ち込まれました。』
⇒(○)主治医が復職可の診断書を出しているのですから、休職者ならびにその家族の要求は、当然です。

『所属長は、人事労務担当者等の関係者と集まり、復職する際の職場や職種について協議した結果、』
⇒(×)主体は、所属長ではなく、人事労務担当部門でしょう。所属長には、担当業務に専念いただくことが重要であり、
    必要に応じて対応いただくことにしたいものです。
⇒(○)協議することは、正しい作業です。

『当面は元の職場で作業補助員として復職させることに決まりました。』
⇒(○)詳細がわかりませんので、正しいとは言えないものの、間違ってはいません。
    「復職可」の診断書を提出しているものの、素人目に見ても復職は出来ないのではと、判断されたのでしょう。

『しかし、職場の同僚からは必ずしも好意的な理解と十分な支援が受けられず、1カ月後に再び症状が悪化し、再休職となりました。』
⇒(×)上述のように「対応にあたってのルールがなく」とはいえ、「作業補助員として復職」なのですから、
    所属長には、部下指導等、それなりの配慮があって然るべきでしょう。
    「職場の同僚からは必ずしも好意的な理解と十分な支援が受けられず」ということを推察すると、休職前の処遇で、
    復職させたのではないでしょうか。同僚からは「高い給与を貰いながら、大した仕事もしてないのでは」と思われたのでは。

『その後、経緯はありましたが、最終的にはその方は自主退職となりました。』
⇒(×)同僚は最大・最強の「職場環境」です。
    当該労働者の疾患が、再燃(あるいは再発)してしまうのは、無理もないことです。
    上述しましたとおり、事業所としてのスタンス、理念をまず合意していないので、
    その都度起きる現象に対しての対処療法になり、残念な結果となってしまいました。
    当事業所は、経験豊かな貴重な人材を、みすみす失うことになりました。
    うがった見方をすれば、当事業所は最初から当該従業員を復職させたいという、意思が希薄であったのではないでしょうか。
    再度、質問しますが、当該従業員は、本当に「私傷病」だったのでしょうか。
    「自主退職」というのが、微妙ですね。

『今回の件では、職場復帰支援プログラムのような制度設計がされていなかったことや、
これを運用できる体制が整備されていなかったことが休職者の職場復帰を困難にしたのではないかと考えられますが、』
⇒(×)本文中に「いずれも以前に管理監督者研修(ラインケア研修)を行ったことが支援動機となっております」とあります。
    職場復帰支援プログラムの前に、社内におけるメンタルヘルス対策、特に社員教育が全くできていなかったことが原因なのでしょう。
    訴訟に至らなかったことが、不幸中の幸いです。通常であれば相当なトラブルとなる事例です。
    以上、当該事業所の対応は、メンタルヘルス対策の知識がないので、やむを得ない結果でした。
    しかし、ここで大切なのは、当該事業所とアドバイザーは、筆者が指摘したような、会社対応の問題点を正しく理解し、
    今後取り組むべき課題を共有していたのでしょうか。
    現実を正しく認識していないのであれば、いくら対策を講じても、「砂上の楼閣」になってしまいます。

『さらに背景として、①事業主のメンタルヘルス対策への関心が必ずしも高くない、
②従業員に対するメンタルヘルス対策の教育・啓発が十分でない――などが原因として考えられます。』
⇒(○)その通りです。
⇒(×)ですから、「職場復帰支援プログラム」の前に、やらなければならないことが沢山あるはずです。

『そこでA事業場に対して、「メンタルヘルス不調者の職場復帰を成功させるためには、
体制整備の一環としてあらかじめ職場復帰支援プログラムを準備し、運用できるようにしておくことが大切である。
そのことが結果的に貴重な人材流出の防止や、人材資源の有効活用にもつながり、
さらには従業員のモラール(意欲)の向上、事業場の活性化・生産性の向上につながる」ことを申し上げました。』
⇒(○)その通りなのですが。
 (×)しかし、繰り返しますが、その前にやらなければならないことがたくさんあります。
    考え方は、理解頂けるでしょうが、具体的にどのようにして社内体制、さらには社風・企業文化を
    作り上げていくのか、まず社内基盤の構築に取り組まなければなりません。
    1回だけの、管理者教育、従業員教育くらいで、社内が劇的に変化するのであれば、多くの企業は苦労しません。

『上記の事例』
⇒(×)再度申し上げます、上記の事例についての問題点を当該事業所とアドバイザーとで共有できたのでしょうか。
    具体的な記述がないので分りませんが、以下の抽象的な説明より、当該事業所の対応について、具体的に問題点を指摘して、
    正しい対処方法を指導した経緯を、報告いただいた方が、読者にとってははるかに有用ではないかと推察します。

『および職場復帰支援プログラムの有用性について、A事業場に対して時間をかけて説明した結果、
担当者も職場復帰支援プログラム作成の必要性に理解を示して下さり、自主的かつ前向きに取り組んでいただくことができました。』
⇒(○)以下センターのアドバイスについて、検証します。

3. 職場復帰支援プログラムの作成にあたって
『 職場復帰支援プログラムの作成にあたり、説明資料として「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」
および「職場復帰支援プログラムとは」を使用しました。』
⇒(×)当手引き、及び指定のリーフレットは、取りあえずの入り口として、参考にはなりますが、
    筆者の理解では、具体的な作業には何ら参考になりません。
    メンタルヘルス対策に全くの経験がない、当該事業所にとっては、乗り越えなければならないハードルが高すぎます。

『また、事業場の就業規則、諸規定、組織図、安全衛生委員会関係資料、事業案内などを拝見し、
事業場の特性を活かすようなものを作成していただくようお願いしました。』
⇒(×)「事業場の特性を活かすようなものを作成していただく」のであれば、
    「事業場の就業規則、諸規定、組織図、安全衛生委員会関係資料、事業案内などを拝見し、」なくてもよいのでは。
    むしろ、「事業場の特性」とは、なんなのか、どのように理解されたのか、
    そして、拝見した結果、どのような「特性」があったのか、具体的にご教示いただきたいものです。

『特に、就業規則の対象従業員の適用範囲は極力広く、』
⇒(×)意味不明のアドバイスです。就業規則は、対象従業員を特定しなければなりません。
    通常であれば、就業規則の本則は、「正社員」、「期間従業員」「アルバイト」等、分割して規定するものです。
    「各規程ごとに、適用対象者が異なる」ようなことが起きたらと、想像してみてください。
    あえて、無理やり解釈すれば、「期間従業員」等も含めたい、という「願望」の意味なのでしょうか。

『休職期間については、極力柔軟な対応を心がけるなど、復職を成功させるために十分配慮していただくようお願いしました。』
⇒(×)就業規則は、適用対象の従業員に平等に適用されなければなりません。
    勤続年数によって、休職期間に差をつけることはできますが、「極力柔軟な」ということは、
    「恣意的」に対応せよということでしょうか。
    筆者からアドバイスするのであれば、まず「正社員」の職場復帰支援対策を構築し、運用すべきでしょう。
    「正社員」用が社内に定着したら、順次「期間従業員」「アルバイト」等に拡大していくことが順当な対応です。
    最初から「風呂敷を広げすぎて」しまい、規定した就業規則・制度を運用できないようでは、どうしようもありません。
    就業規則は、「不利益変更」が原則認められないことに留意してください。
    参考判例「秋北バス事件」(最大判昭43.12.25)

    
『また、時間的制約もあり、作成にあたって当方の職場復帰支援プログラムのモデルを参考にしていただきました。』
⇒(×)結局のところ、「当方の職場復帰支援プログラムのモデル」を当機関誌に掲載いただければ、
    それだけで当記事の目的は達成されるのであり、それで十分なのではないでしょうか。
    いくら脚色してあるとはいえ、上述したとおり沢山の問題点を抱えている事例ですから、
    取り上げられた事業所にとっては、「針のむしろ」状態でしょう。

『A事業場の担当者には、最初に職場復帰支援プログラムの第1次案(素案)を作成していただきました。
作成にあたって特に留意していただいたことは、就業規則の内容との関連性、諸規定との関連性、組織図との関連性、
本文と組織図との関連性、職場復帰プランの内容、面談・連絡内容の文書化、試し出勤制度の活用、復職判断基準・条件の明確化、
最終決定者の明確化、制定・施行時期の記載などでした。』
⇒(○)概ねよいでしょう
  (×)しかし、本当に作成できたのでしょうか。
     今までメンタルヘルス対策には全く取り組んでこなかった当該企業にとって、
     これだけの課題を与えられたら消化不良を起こすのは目に見えています。
     一言一句、課題の解釈レベルでダウンしてしまいます。
    また、「就業規則の内容との関連性」とありますね。「職場復帰支援プログラム」は、就業規則本則の附則として、
    規定されていることでしょう。ですから、繰り返しますが、対象者の範囲は、本則と附則とで「同じ」でなければなりません。
    「期間従業員」「アルバイト」等を、適用対象にしたいのであれば、それぞれの就業規則の附則として規定すべきでしょう。

『次に、第1次案の内容を筆者が検討しました。この際、問題になった点は、適用従業員の範囲でした。
A事業場は正規従業員のほか、親会社からの出向者、嘱託従業員、パート従業員、契約従業員がおり、
適用者の適否の確認に手間取ったことがありました。また、休職規定の適用される範囲について、精査する必要もありました。』
⇒(×)就業規則から独立した規程であればよいのですが、前述したとおりです。
    また、アドバイサーすら、「確認に手間取った」、「範囲について、精査する必要も」なのですから、
    繰り返しになりますが、まず「正社員」のみを対象にして制度設計すべきでしょう。
    欲張ってはいけません、メンタルヘルス対策に全くの経験がない、当該事業所にとっては、
    乗り越えなければならないハードルが高すぎます。
    「親会社からの出向者、嘱託従業員、パート従業員、契約従業員」は、それからの課題でよいのです。

『筆者が検討した内容を、当連絡事務所(現:産業保健総合支援センター)内で開催される検討会
(精神科医、相談員、促進員等で構成)にて多角的に検討し、
その検討結果についてA事業場にお知らせするとともに、修正案への助言を行いました。』
⇒(○)産業保健総合支援センター検討会で多角的に検討するのは、よいことです。
⇒(×)しかし、結論に問題が有りすぎます。気が付かなかったのでしょうか。

『担当者にはこれらを参考にしながら、プログラムの最終案を作成していただきました。次の訪問時に最終案を確認し、
その後、事業場の所定の手続きを経てプログラムの完成に至りました。』
⇒(×)産業保健総合支援センターは、何回にもわたり訪社して支援していただけるのでしょうか。
    確か、産業保健総合支援センターの支援は、原則として1事業所1回と承知しています。

4. おわりに
『職場復帰支援プログラムの作成にあたって、時間的制約を考慮するあまり、作成が当方主導にならないよう留意しました。
そして担当者の方には、多忙にもかかわらず、意欲的に取り組んでいただきました。
今回作成していただいた職場復帰支援プログラムが、事業場において職場復帰成功の一助になれば望外の幸せです。』
⇒(×)『また、時間的制約もあり、作成にあたって当方の職場復帰支援プログラムのモデルを参考にしていただきました。』と、
    『職場復帰支援プログラムの作成にあたって、時間的制約を考慮するあまり、作成が当方主導にならないよう留意しました。』とは、
     真逆の記述であり、どちらが実態なのでしょうか。
     

『プログラムを画餅に帰さないためには、今回作成していただいた職場復帰支援プログラムが今後も有効に活用され、
メンタルヘルス不調者の職場復帰に役立ってこそ作成の意味があります。』
⇒(○)その通りです。

 そのためには、次の3項目が大切ではないかと思います。
『①事業主に職場復帰支援プログラム作成の意義を十分認識していただき、経営の一環として捉えていただく。』
⇒(×)主客転倒でしょう。言葉遊びではありません。重要なことですが、事業主に渋々認めさせた制度ではなく、
  事業主の指揮により、「経営の一環」として、職場復帰支援プログラムを制定したことを、社内に知らしめることが大切です。
  また、そうでなければ、新制度に「魂を入れる」ことは、かないません。

『②職場復帰支援担当者が、職場復帰支援プログラムに従って、役割が果たせるような体制整備を行う。』
⇒(×)その通りなのですが、体制整備とは具体的にどのようなことをするのでしょうか。
    なお、「職場復帰支援担当者」とは何でしょう。新たな職務なのでしょうか。
    従業員50~100人規模の事業所に、職場復帰支援の専任者を配置するのは、現実的でしょうか。
    多分、職場復帰支援に携わる関係部門の従業員ということなのでしょうか。

③『従業員全体に職場復帰支援プログラムの意図するところを十分教育・周知し、
メンタルヘルス不調者を職場全体で支えるような職場風土を形成する。』
⇒(○)その通りです。
⇒(×)しかし、前述したとおり、その前にやることがたくさんあるのでは。

(総評)
①タイトルが「職場復帰支援プログラムの作成事例」ですから、職場復帰支援プログラムのない企業の実情を
  つまびらかに紹介することは、タイトルにそぐわないのではないでしょうか。
 「職場復帰支援プログラムがない事業所は、このようなことになりますよ」と、警鐘乱打をしたかったのでしょうか。
  それはともかく、事例を紹介するのであれば、小生の指摘のように、まず始めに、当事業所の対応のどこが悪くて、間違っていて、
  どのように修正すればよいのか、問題点・課題をアドバイスすることが重要でしょう。
  このことが出来ないようでは、次の段階に移行するのには無理があります。
②なお、読者にとっては、当該事業所の対応について、具体的に問題点を指摘して、
  正しい対処方法を指導した経緯を、報告いただいた方が、はるかに有用ではないかと推察します。
  2ページでは制約がありますか、いえ、そのようなことは決してありません。
③当該事業所はセンターに、「管理監督者研修(ラインケア研修)」を行ってもらったのですから、
 当事業所においては、ようやく、メンタルヘルス対策の重要性を認識しはじめた様子が窺えます。
 しかし、次の段階が、当事業所独自の「職場復帰支援プログラム」の制定では、余りにも飛躍が過ぎるのではないでしょうか。
 残念ながら、精神疾患者がお一人出ましたが、とりあえず現在は正常な状態に戻っています。
 中小の事業所では、従業員がそうたびたび精神疾患をり患することはありません。
 ですから、ここで大切なのは、残念な体験を踏まえた、従業員一人一人のメンタルヘルスに対する意識の醸成でしょう。
 いわゆる「セルフケア」対策です。
 「職場復帰支援プログラム」の制定は、その後でよいのです。
 一次対策ができれば、二次、三次は「後回し」できるということです。
④職場復帰支援プログラムの作成経過を報告されていますが、「主たるテーマ」でありながら、記述が事例に比べて、余りにも抽象的です。
 ですから、前述したように、「当方の職場復帰支援プログラムのモデル」を掲載いただければ、それだけで十分なのではないでしょうか。
 その方が、読者にとって参考になるはずです。
⑤結論として「職場復帰支援プログラムの作成事例」が、読者(少なくとも小生)には、よく理解されなかったのではないのでしょうか。

 
 たいへん厳しい評価となりましたが、他意がないことをご理解ください。
 また、最も厳しい視点で評価していますので、当ブログを読んでいたただいている皆さんの実務に
 役立つのではないかと考えています。
 メンタルヘルス対策は、「難しい」、しかし「大切」だとご理解頂ければ幸いです。

http://www.rofuku.go.jp/Portals/0/data0/sanpo/sanpo21/sarchpdf/76_hukki_program_24-25.pdf

コメント
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