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同人作家・はさみのなかまが、これまで読んだ本のなかでも、とくに面白かった! とおもった本を随時ご紹介させていただきます。

体育館の殺人 青崎有吾 (創元推理文庫/東京創元社)

2017-07-31 09:50:58 | ミステリー
あらすじを説明する前に。
面白いんですよ、このシリーズ。
著者の文章力・構成力もたしかで、キャラクター造形もきわめて魅力的。
ミステリーなのに、「なんかワクワクする」そういうシリーズなんです。
こういう青春時代を送って見たかった、という感傷も通り越し、なんだか生徒の一人になって、事件を見ているような気分にすらさせる本。
でも、どういうことなのか、「青崎有吾」さんの名は、思っている以上に高くない。
ふしぎすぎる、もっと売れていい作家さんの一人だとおもうのですが。

さて、この「体育館の殺人」の内容は、というと。
風が丘高校の旧体育館が舞台。
主人公で卓球部に所属する袴田柚乃佐川奈緒がいつもどおりに部活に励んでいたところ、突如としてドーン、ドーン、という太鼓を叩いたような怪音が体育館に響き渡り、そして閉ざされていたステージの幕の向こう側から、放送部部長の刺殺体が発見される。
しかも、状況から、密室殺人ではないかとなり、警察も学校もパニック。
警察はあろうことか、卓球部部長の佐川奈緒を疑い始める。
理由は、佐川奈緒は早めに授業を終えて、現場の体育館に一人でいたから、というもの。
敬愛する先輩を助けるため、主人公の柚乃は、学内一の天才と呼ばれる裏染天馬なる少年に助けを求める。
学校の部室に住み、アニメをこよなく愛する、見た目はいいけど、性格にやや難ありなこの学園探偵は、果たして事件を解決できるのか?
というか、なんだって学校に住んでるの?

この本には、ミステリファンにはうれしいことに「読者への挑戦」があります。
挑戦を受けてみましたが、てんで歯が立ちませんでした。
ラストで犯人とトリックがわかったときは、その鮮やかさに、やられたー!と叫びましたねー。

登場する生徒たちもさまざまに事情を抱えていて、ちょっとした青春群像劇としても楽しめます。
裏染天馬自身の謎は、シリーズをとおして、徐々に明らかになる……?
続刊に「水族館の殺人」「風が丘五十円玉祭りの謎」「図書館の殺人」があります。

この作家さんの本は、追いかけてみようとおもっています。
底知れぬパワーを感じられるからです。
いつか、どかーんと大きくヒットを飛ばしてくれるんじゃないかしらん。
その日がたのしみだ!

(興味を持たれた方で、ハイブリッド書店hontoのアカウントを持っている方に朗報!
東京創元社無料読本に、「青崎有吾の挨拶」があります。
なんと、0円で「体育館の殺人」のお試し読みができるほか、
「もう一杯食べれる丼」(「風が丘五十円玉祭りの謎」収録作品)をまるまる読める。
殺人というきわめて物騒な事件だけではなく、日常の謎解きも面白い。
しかもこの無料冊子、作者の対談も載っているおまけつき。
これまた笑える対談になっておりますよー。
お得です。読んでみてくださいませね。)
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本の「使い方」 1万冊を血肉にした方法 出口治明(角川ONEテーマ21/角川書店)

2017-07-29 11:12:37 | 読書論
どんどん本を読んでいこうという、かなりポジティブな気持ちにさせてくれる1冊です。
ライフネット生命CEOである出口治明さんの博覧強記ぶりもいかんなく発揮されています。
こういう読書家になりたいものです。

頭ごなしに「読まないとダメ」というふうに押し付けてくる本ではありません。
そのことは、「まえがき」にはっきり書かれています。

本を読むことは、教養を身に着けること。
いかにそれが人生にとって有用かということがていねいに書かれています。

注目ポイントは、著者が本を読むときに大事にしている「数字・ファクト・ロジック」という概念。
たとえば、昨今、時代小説の流行もあって、江戸時代は庶民には暮らしやすい平和な時代だったとおもれがちなところがありますが、著者はデータを見ることで、江戸時代の庶民は栄養失調に苦しみ、みんな低身長だったことを指摘。
幕府は国民を食べさせることには熱心ではなかった、つまり、想像以上にいい時代ではなかったのではないか、と述べます。
数字・ファクト・ロジックで物事を見ると、物事の本質が見えてくる、というわけ。

また、リベラルアーツ(自由七科)の重要性も説いています。
リベラルアーツとは、文法学・修辞学・論理学・算術・幾何・天文・音楽のこと。
知的エリートが身に着けるべき、基本的教養のことです。
日本の知的エリートには、この基本的教養が足りないことがあるそうで、そこは海外経験の豊富な出口治明さんならではの切り口で警鐘を鳴らされています。

中国でも、六芸(りくげい)といって、五礼・六楽・五射・五馭・六書・九数(漢代以降は詩・書・礼・楽・易・春秋)がありまして、やはりエリートに必須の教養とされていました。
現代では、「おとなの教養」(池上彰・NHK出版新書)のなかで、池上彰さんがリベラルアーツの重要性について書かれています。
まず、すべての教養の土台は本、というところが熱心に説かれています。

さて、この本のなかでは、本を読む人、読まない人の比較論もあります。
なるほど、そうだよね、とおもうことばかり。
本を読んだほうが、生きるうえで有利だというのは、説明するまでもないことです。
教養があれば、論理的思考が鍛えられているはずなので、詐欺にも引っかかりませんし、宗教の基本的知識があれば、あやしいカルトにも引っかからないでしょう。
さらに、著者は、教養があれば世界と渡り合えるし、なにより人生が楽しくなると主張します、ごもっとも。
ブログ主は、これにプラスして、豊富な教養があれば、生命科学の正しい知識も身につきますので、自分の健康にも気を付けるようになり、健全な生活を送れる可能性が大きいのでは、とおもいます。

また、「本」とひとくちにいってもさまざまで、どんなふうに「本」を選ぶかも書かれています。
とくに古典を読むべきと著者は主張します(「読書はアウトプットが99%」の藤井孝一さんもおなじ主張をされていました)。
なぜ古典なのかといえば、選び抜かれた人類の知の結晶だから。
ちなみに、現代の本なのに、内容がわかりづらい本は、著者がダメなのだとはっきり書かれているところも小気味よいです。
未知のジャンルに挑戦するときは、「難しい本」→「易しい本」と読んだほうが頭に入るとも主張されています。

ちなみにブログ主の経験からして、その方法は、たしかに基本的教養がしっかりある方なら、有用かもしれませんが、そうではなかったり、持っている知識がない場合は、挫折しやすい方法だなとおもいました。
「読書はアウトプットが99%」の藤井孝一さんは、これと逆のことを書かれていて、厚い本がむずかしすぎて、挫折し、手に取らなくなるようになったら、それこそ元も子もないから、「易しい本」→「難しい本」を勧めています。
両者とも、それぞれに長所と短所があります。
読んだ人間としては、自分の知識のサイズに合わせ、臨機応変に「難しい本」→「易しい本」と読み、もしそれで理解があまり進まないようなら逆を試してみて、自分に合わせていくのが一番だとおもいました。

さらには、この本は、著者の豊富な読書歴も披露されていて、参考になります。
また、目的別のおすすめ本の章もあって、おとくな一冊。
おもしろそうな本がいっぱいです。

このなかで紹介されていた長谷川町子さんの「いじわるばあさん」。
ブログ主の家には長谷川町子さんの漫画がそろっていたので、それこそ絵本代わりに読んでいました。
ただ、知っている方は知っているとおもうのですが、「いじわるばあさん」はファミリー向けの漫画ではありません。
子どもが見て、ぎょっとする4コマもじつは入っていたりする漫画なのです。
しかし、知ったかぶりして、「いじわるばあさん」を愛読していたブログ主。
おかげで、毒が回り、シニカルな子どもになりました……それがよかったのか、わるかったのか;

本書は、いろんな意味でおススメできる、良書です。
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読書はアウトプットが99% 藤井孝一(知的生き方文庫/三笠書房)

2017-07-26 09:07:45 | 読書論
タイトルそのままズバリ!
読書はアウトプットが重要だ、と実感させてくれた本です。
本を読む(インプット)だけではなく、書く・話す・内容を実践する(アウトプット)。
そうすることで、本の内容は、真に血肉になります。

では、具体的になにをどう書き・話し・実践するか?
そのアイデアやヒント満載の本です。
当ブログを開設するきっかけになった本でもあります。

そも、ほかの著者による自己啓発本にも書かれておりましたが、「人は忘れるもの」です。
だから、忘れるのをを防ぐため、これぞとおもったことは、人に話したり、感想を書き留めてブログなどで発表したり、本の内容を実践したりすることが有効です。

これはTVの受け売りなのですが、ネタは三人の人間に話すと、自分のほんとうの知識として身につくものだそうです。
おそらく、三人にそれぞれどう面白さを伝えていくか、脳をフル稼働させて「要約」し、「トーク力」を発揮して工夫していくなかで、知識がガッチリ頭に入る、ということなのでしょう。

では、本書の内容は、というと。
知識は溜めない、
循環させる、
知識の出し惜しみをしない、
人の役に立たせる。
たとえば、「こんないいネタ、教えちゃうのはモッタイナイ!」とおもって抱え込まないようにする。
情けは人のためならず、いいかえれば、アウトプットは人のためならず、です。
知識を循環させていくと、やがて自分にもいい具合にもどってくるもの。
世の中には、こんな面白い話があるんだよと伝えていくことで、人を喜ばしつつ、自分を磨いていくわけです。
読書のアウトプットは、世の中の役に立つものなのです。
(ただ、創作のネタや、ビジネスのとっておきアイデアを披露しすぎるのは、ちょっと待った。
果たして、だれかにアイデアをとられても大丈夫なネタなのか? 
そのあたりの加減は、自分で慎重に考えたほうがいいと、ブログ主はかんがえます)

本は読者を鍛えてくれます。
本を読むと、物事の全体を俯瞰する力が身につくと、著者はいいます。
発想が豊かになり、自分がいましている仕事に、どんな意味があるかわかるようになる。
そうすれば、仕事や家事のストレスも軽減されていく。
非常に肯定的な読書論が展開されていきます。

また、どうやって本を読めばいいかのノウハウもあり。
ムリをしないで読み、合わないなと思った本は、読むのを途中でやめても良い。
斜め読みでも、本の内容の要点がつかめればOKと著者は書きます。
ただし、文芸書は精読をおすすめ。

本の選び方に関してもコツを教えてくれます。
著者のプロフィールは信用できるか?
本の内容は使えるか?
まえがきと自分のフィーリングが合うか?
などなど。
これらが合致すれば、まず間違いなく楽しい読書ができるはず。

ここで注意書きをば。
この本は、文芸書以外の本の読み方を教えてくれる本です。
文芸書(小説や詩など)に「役に立つか、立たないか」の観点はいらないものです。
文芸は、日常を少し変えてくれたり、あるいは肯定したりしてくれる分野で、実践的な知識が手に入るものは少ないです。
そもそも、「実践的な知識」はすぐに古びるものなので、このあたり、どう本から学んでいくかも、各自の力にゆだねられるとおもいます。
その判断力、嗅覚も、本を読みこなしていけば、身につくもの。
で、読書のたいせつさをあらためて確認するためにも、本書はおすすめなのです。

書評のコツも書いてありましたが、これは実際に、この本を読んで、みなさま、お役立てくださいませ。

さいごに。
「かっこいい書棚をつくろう」という提案が提示されています。
歴史好きのブログ主の本棚は、歴史書で埋まっております。
ふふん、けっこういい感じだよ、などと己惚れておりましたが、よーくよく本棚をながめていて、気づきました。
以下、わが本棚で、もっとも幅を利かせている歴史上の人物たち。
〇 諸葛孔明
〇 ジャンヌ・ダルク
〇 メアリ・スチュアート
〇 マリー・アントワネット
……やばい。
みごとに全員、悲劇の人だ!
やっぱり、本からの影響力って強いとおもうので、人生の成功者(この場合、安らかに終わりを迎えられた人)の本も集めようとおもいました。
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才能を見つけるためにしておきたい17のこと 本田健(だいわ文庫/大和書房)

2017-07-23 21:53:28 | 本田健
わたしのなかで「ケンさん」といえば、高倉健でも渡辺謙でもなく、本田健。
それくらい親しみの持てるベストセラー作家です。
代表作は「ユダヤ人大富豪の教え」、と聞くと、ああ、あの本屋さんに並んでた本かあ、とわかる方も多いかと。

この本を、当ブログ「hasamino図書館」で紹介する第一冊に選んだのは、最近でもっとも励まされた本だからです。
落ち込んでいるとき、焦っているとき、それこそ絶望しているときでも、健さんの優しい文章は、「だいじょうぶですよ」と背中を撫でさすってくれているようです。

「才能」というと、なにか特別な人間しか持ちえないもののようですが、そんなことはない、だれにでも才能はある、ということをわかりやすいたとえを引きつつ教えてくれます。
本の構成は、まえがき+17の章+あとがき。
まえがきから、「才能のない人なんていない」と断言。
つづいて、
「誘われたら、ともかく行ってみる」「頼まれごとは引き受けてみる」「一日5分、ワクワクすることをやる」など、
才能を開花させるためのコツが17項目も、くわしく書かれています。

ブログ主は、趣味で小説を書いています(三国志ものを中心に書いています。個人サイト「はさみのなかまのホームページ」で発表中です)。
しかし、どの趣味の世界もおなじかとおもいますが、極めようとすると、奥が深いものでして。
とくに最近は、あまりに壁にぶち当たることが多いので、
「才能がないんじゃないのか?」
「時間の無駄遣いをしているのじゃないか?」
と悩みの中におりました。

そんなとき、手に取ったのが、ずばり、「才能」をテーマにした、この本。
本田健さんの本は前々から好きで集めているのですが、この本は特にこころにヒットしました。
とくにこころに残った項目が、「とにかく量をこなしてみる」というところ。

健さんはいいます。
「これをやるときめたら、ただひたすら回数を重ねていくことに意識を集中させます。
10回や20回でわからなかったことが、30回や40回でわかったりするから不思議です」
なるほど!
自分では、量をこなしているつもりでしたが、まだまだ足りなかったのかもしれないと反省。
もちろん、ほんとうに才能がなかった場合、どこかで見切りをつけることも大切かもしれません。
が、こころの底から、もうダメだ、とおもうまで、やってみようと勇気づけられました。

さらには、
「才能がなければ、壁にもぶち当たりません」
「自分の才能の限界が見えたり、ほかのもっと才能のある人を見て落ち込んだりするのです」
「(ほかの才能がある人の才能が)見えること自体が才能」
という、うれしいことばが。
それまでブログ主は、
「自分には、人の才能が見えるが、それだけのことで、自身には才能がない」
とおもっていました。
が、健さんのことばを信じるなら、いくばくかの才能があるかもしれず……
がんばろう、やってみよう、ダメでも、失敗はいい経験になるはず。
そんなふうに奮い立つことができた本です、ありがたい!
おかげさまで、長く滞っていた同人活動も再開させる決意がつきました。

読みやすい平易な文章で書かれているので、あっという間に読めますが、内容は濃い。
なので、急いで読もうとせず、1章ずつじっくり読んでいかないと、もったいないくらいです。
おススメの読み方は、いちどは一気に最後まで読んでしまい、そのご、何度も精読する、という方法。
内容が頭に沁み込みやすいです。
ふしぎなもので、最初は引っかからなかった部分も、時間をあけて再読すると、引っかかってくるときがあります。
この本は、読むたびに新たな気付きを得られます。
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新ブログ「hasamino図書館」立ち上げました!

2017-07-23 21:21:30 | weblog
あたらしく、新ブログ「hasamino図書館」を立ち上げました。

はさみのが、これまで読んできた本のなかでも、
とくに面白い、役に立った、感動した、泣いた、怒った、
そういう本をご紹介していきます。

なにをどう面白く感じたか、
そこからどんな気づきがあったのかなど、
拙い文章ですが、いっしょうけんめい書きますので、
どうぞ見てやってくださいね。

こちらは不定期で更新していく予定です。
どうぞよろしくお願いします。
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