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同人作家・はさみのなかまが、これまで読んだ本のなかでも、とくに面白かった! とおもった本を随時ご紹介させていただきます。

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本の「使い方」 1万冊を血肉にした方法 出口治明(角川ONEテーマ21/角川書店)

2017-07-29 11:12:37 | 読書論
どんどん本を読んでいこうという、かなりポジティブな気持ちにさせてくれる1冊です。
ライフネット生命CEOである出口治明さんの博覧強記ぶりもいかんなく発揮されています。
こういう読書家になりたいものです。

頭ごなしに「読まないとダメ」というふうに押し付けてくる本ではありません。
そのことは、「まえがき」にはっきり書かれています。

本を読むことは、教養を身に着けること。
いかにそれが人生にとって有用かということがていねいに書かれています。

注目ポイントは、著者が本を読むときに大事にしている「数字・ファクト・ロジック」という概念。
たとえば、昨今、時代小説の流行もあって、江戸時代は庶民には暮らしやすい平和な時代だったとおもれがちなところがありますが、著者はデータを見ることで、江戸時代の庶民は栄養失調に苦しみ、みんな低身長だったことを指摘。
幕府は国民を食べさせることには熱心ではなかった、つまり、想像以上にいい時代ではなかったのではないか、と述べます。
数字・ファクト・ロジックで物事を見ると、物事の本質が見えてくる、というわけ。

また、リベラルアーツ(自由七科)の重要性も説いています。
リベラルアーツとは、文法学・修辞学・論理学・算術・幾何・天文・音楽のこと。
知的エリートが身に着けるべき、基本的教養のことです。
日本の知的エリートには、この基本的教養が足りないことがあるそうで、そこは海外経験の豊富な出口治明さんならではの切り口で警鐘を鳴らされています。

中国でも、六芸(りくげい)といって、五礼・六楽・五射・五馭・六書・九数(漢代以降は詩・書・礼・楽・易・春秋)がありまして、やはりエリートに必須の教養とされていました。
現代では、「おとなの教養」(池上彰・NHK出版新書)のなかで、池上彰さんがリベラルアーツの重要性について書かれています。
まず、すべての教養の土台は本、というところが熱心に説かれています。

さて、この本のなかでは、本を読む人、読まない人の比較論もあります。
なるほど、そうだよね、とおもうことばかり。
本を読んだほうが、生きるうえで有利だというのは、説明するまでもないことです。
教養があれば、論理的思考が鍛えられているはずなので、詐欺にも引っかかりませんし、宗教の基本的知識があれば、あやしいカルトにも引っかからないでしょう。
さらに、著者は、教養があれば世界と渡り合えるし、なにより人生が楽しくなると主張します、ごもっとも。
ブログ主は、これにプラスして、豊富な教養があれば、生命科学の正しい知識も身につきますので、自分の健康にも気を付けるようになり、健全な生活を送れる可能性が大きいのでは、とおもいます。

また、「本」とひとくちにいってもさまざまで、どんなふうに「本」を選ぶかも書かれています。
とくに古典を読むべきと著者は主張します(「読書はアウトプットが99%」の藤井孝一さんもおなじ主張をされていました)。
なぜ古典なのかといえば、選び抜かれた人類の知の結晶だから。
ちなみに、現代の本なのに、内容がわかりづらい本は、著者がダメなのだとはっきり書かれているところも小気味よいです。
未知のジャンルに挑戦するときは、「難しい本」→「易しい本」と読んだほうが頭に入るとも主張されています。

ちなみにブログ主の経験からして、その方法は、たしかに基本的教養がしっかりある方なら、有用かもしれませんが、そうではなかったり、持っている知識がない場合は、挫折しやすい方法だなとおもいました。
「読書はアウトプットが99%」の藤井孝一さんは、これと逆のことを書かれていて、厚い本がむずかしすぎて、挫折し、手に取らなくなるようになったら、それこそ元も子もないから、「易しい本」→「難しい本」を勧めています。
両者とも、それぞれに長所と短所があります。
読んだ人間としては、自分の知識のサイズに合わせ、臨機応変に「難しい本」→「易しい本」と読み、もしそれで理解があまり進まないようなら逆を試してみて、自分に合わせていくのが一番だとおもいました。

さらには、この本は、著者の豊富な読書歴も披露されていて、参考になります。
また、目的別のおすすめ本の章もあって、おとくな一冊。
おもしろそうな本がいっぱいです。

このなかで紹介されていた長谷川町子さんの「いじわるばあさん」。
ブログ主の家には長谷川町子さんの漫画がそろっていたので、それこそ絵本代わりに読んでいました。
ただ、知っている方は知っているとおもうのですが、「いじわるばあさん」はファミリー向けの漫画ではありません。
子どもが見て、ぎょっとする4コマもじつは入っていたりする漫画なのです。
しかし、知ったかぶりして、「いじわるばあさん」を愛読していたブログ主。
おかげで、毒が回り、シニカルな子どもになりました……それがよかったのか、わるかったのか;

本書は、いろんな意味でおススメできる、良書です。
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