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同人作家・はさみのなかまが、これまで読んだ本のなかでも、とくに面白かった! とおもった本を随時ご紹介させていただきます。

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三國志群雄録 増補改訂版 坂口和澄(徳間文庫カレッジ/徳間書店)

2017-08-04 09:52:39 | 中国史
ちくま学芸文庫の正史三国志を読んでも、なんだかよくわからない記述にぶつかることが多々あります。
それがたくさんありすぎて、どこの伝がどう、ということすらすぐに思い出せないほど。
ブログ主の不勉強さがおもな「わからない」の原因ですが、翻訳そのものにも、つまづきがあるような……

しかし、本書「三國志群雄録」と記述を比較することで、頭が整理されました。
正史三国志のなかの人物の行動や言動がきちんと整理されて記述されています。
単にあたらしく翻訳し直した、という記述ではなく、きちんと坂口先生がかみ砕いて書いてくださっている。
ほんとうにありがたい本です。
なるほど、そういうことだったのね、と腑に落ちたことが何回あったか。

よくある、正史や演義の記述をなぞっただけの人物事典ではありません。
著者・坂口和澄先生の私見もおりおりに綴られた本です。
かといって、単なる人物エッセイでもありませんのでご安心。
正史の記述をわかりやすく紹介してくれているうえ、原書の誤謬も指摘して、整理してくれています。

正史三国志は、たとえば、ひとりの人物の軌跡を追いかけようと伝を読んでも、あいまあいまに挟まれる多くの注釈と長ーい上奏文を読んで、自分なりに頭を整理しながら、なおかつほかの人物伝の記述を連動させつつ読まないと、理解がむずかしいときがあります。
その手間こそが歴史書にあたる醍醐味かもしれませんが、そればかりではなく、ときどき、訳がこなれていないんじゃないか、と(生意気にも)おもうときもしばしばあるんです;

そこで登場するのが本書、全人物の伝があるわけじゃありませんが、有名どころはほぼ記述があります。
「ここ、よくわからんのですわ」
と正史を読んで、それから本書に当たると、
「ああ、そういうことだったのか」
とわかります。
しかも本書は、正史の原書どおりの人物名表記をしてあるという凝りっぷり。

メディアで展開されている三国志から入った方は、まず漫画や小説で三国志演義ベースの小説に入っていくとおもいます。
さらに三国志の世界にどっぷりはまった人は、つづいて正史三国志を読むと、より長く三国志の世界を楽しめます。
が、なにぶん正史三国志はぜんぶで8巻もあり、前述したとおり、ときどき「??」な部分が出てくるのです。
ぜんぶ解決するわけじゃありませんが、本書を読むと、謎が解けること請け合い。

本書の「三國志群雄録」、さらなるディープな三国志世界を楽しむために、ぜひ入手されたらよいのではとおもいます。
いやほんと、この本を編纂するのは、かなり大変だったとおもうのです。
坂口先生の着眼点のすばらしさ、三国志愛、人物たちへの愛情をひしひしと感じられます。
坂口先生の本はどれもこれも素晴らしいものばかりなので、また紹介させていただきますね。

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