ちょいと話題になっていたので購入した。
内容等は全く知らずに...
で、読み始めると零戦の事、戦争の事の話だと直ぐに理解する。
基本的には第二次世界大戦に関する話は辛い事などが多過ぎて読むのが得意ではない。
「きけ わだつみのこえ―日本戦没学生の手記」と言う書籍を20代の時に努めていた時の会社の長老の様な方から借りて読んでから、もう避けていたと言える程に...
本を読んで泣いてしまったのは、始めてで自分自身でも驚いた記憶がある。
読書で感情が高ぶって泣くなどあり得ないと思っていた自分がいたので(^_^;)
戦争に関してのリアルな体験などないが、私の母の兄弟が戦争で戦死している。
母は8人兄弟の末から二番目で兄弟と言っても親子程も歳の差がある。
母の母である私の祖母が戦争の話を一度だけ私にした事がある。
「戦争で息子をとられた。負ける戦などするな!」と...
その当時は私はピンと来ていなかったが、今では亡き祖母の悲しみが少しは判る様な気がする。
なんだか話が大分ずれてしまった。
この話は、孫が戦死した祖父を聞き訪ねる話。
戦時中に同僚だった方々に祖父の話を聞いて行き、どんな人物だったのかを段々と知り理解して行く。
非常に悲しい話だが、もの凄く吸い込まれて行く様に面白い。
面白いとはなんだかフィットする言葉ではない様だが...
一つ一つなぞが解けて行き、最後にまたもう一人の祖父に繋がり円が出来上がる。
何とも言えないがよい意味でよく出来た話だ。
そして、私には戦争の最後に方で起こって行く特攻という悲劇というか狂気に対する非難。
それを作り上げて行った一旦を担った当時のメディア、そして責任を取らない官僚機構に対する強烈な批判も込められている。
あの戦争の総括をしておらず、狂気を作り上げた根幹は現在でも残っていると作者は言っている様に思う。
あくまでも個人的な意見だけれども、やっと失われた20年から変化して行こうとしている日本国に対して、過ちの芽はまだ残っている。
それを修正せずにうわべだけの変化をしたら、この国はどうなるのか?
と言う批判も含めての優しく強い男の話だった様に思う。
久々に良い本に出会えてよかったと思う今日この頃。