続平成太平記

アジアの中の日本

英語圏で話題の韓国論 日韓関係の興味深い記事

2017-06-18 17:04:13 | 日記
英語圏で話題の韓国論

米国人学者が見た日韓関係の興味深い記事

私は先週の金曜日に『大統領選から1ヵ月:韓国はどこに行く?』と題した記事を公表しました。

自分でいうのも変ですが、少し長いものの「力作」記事ですので、朝鮮半島問題にご関心のある方は、是非、この記事をご一読くださると幸いです。

さて、米国の空母が日本海に展開し、北朝鮮と一触即発の状況にある中で、先月発足した文在寅(ぶん・ざいいん)政権が韓国をどこに連れて行こうとしているのか、多くの「インターネット評論家」は固唾をのんで生暖かく見守っていることでしょう。

かくいう私もその一人ですが、いろいろ調べていく中で、今から2年前に執筆された、非常に興味深い議論を発見しました。

Why South Korea is so obsessed with Japan(2015/06/04 14:25 AEDT付 Lowy Instituteより)

リンク先のウェブサイトはオーストラリア・シドニーに拠点を置く「独立系シンクタンク」のロウィー・インスティテュートのもので、

記事を執筆したのは韓国・釜山(ふざん)大学の政治外交学科のロバート・E・ケリー教授です。

ちなみにこのケリー氏は米国人で、記事を執筆した時点では「准教授」でしたが、現在は教授に就任されているため、本稿では「ケリー准教授」ではなく、「ケリー教授」と呼びたいと思います。

また、ケリー教授は朴槿恵(ぼく・きんけい)韓国大統領(当時)が罷免判決を受けた際、英BBCのインタビュー中にお子さんが乱入したことで世界的に有名になった方でもあります

(※余談ですが、ケリー教授は子煩悩でもあるらしく、「親バカ」の私としても、個人的に強い親近感を覚える相手でもあります)。

「ケリー論文」:冒頭から頭が痛くなる!

ところで、「ケリー論文」は当然、全文が英語です。

難しい単語は使われておらず、言い回しも簡素であるため、辞書を引きながら読むことはできると思いますが、それでも私の文責で、文章の要点を日本語でかいつまんで紹介しておきましょう(

ただし、ケリー教授は韓国のことを「South Korea」(南朝鮮)と呼ぶことがあるため、Koreaを「韓国」、South Koreaを「南朝鮮」と訳している点はご了承ください)。

ケリー論文は、こういう衝撃的な指摘で始まります。


南朝鮮(South Korea)の「反日主義」(‘anti-Japanism’)の原因は、国としての正当性(legitimacy)が北朝鮮(North Korea)に劣っていることに求められる

そのうえで、ケリー教授は韓国がいかに日本に対し、異常に粘着し、日本を貶めているかについて、事実を列挙していきます。

•南朝鮮の人民や指導者らが日本に対し、異常なほどにネガティブな固執を見せていることは、誰の目にも明らかだ

•韓国のメディアは日本について報じる際、客観的事実をほとんど無視し、「米国の同盟国としてのライバル」、「輸出産業における競合相手」、「反省しない植民地主義者」など、ネガティブな側面ばかりを強調する

リアンクール・ロックスを巡る韓国の日本に対する争いはその典型例であり、韓国政府は西側諸国の新聞に韓国のポップスターが「ドクド」を領有するという広告を出しているし、日本海の呼称を「倒壊」に書き換えるべく世界的なキャンペーンを行っている

•こうしたキャンペーンにはしばしば外国人留学生も協力させられているし、地下鉄の車両が「ドクド愛」の主張で埋め尽くされていることもある

•韓国の独立記念日には韓国の子供たちが死んだ日本兵をかたどった人形に水鉄砲を撃ったりする

…。まさに読んでいて「頭が痛くなる」ような事例ばかりですね。

社会科学者としての分析

そのうえで、ケリー論文は「社会科学者としての分析」に移ります。

•社会科学的な見地からは、これらの強迫観念のすべてが(韓国の歴史上の主張には事実ではない部分も多々あるにせよ)70年前の戦争だけによりもたらされたものだと考えるのは難しいということだ

•南朝鮮の日本との紛争はもはや彼らの主義ではなく、アイデンティティにまで昇華している

•南朝鮮のナショナリズムとはネガティブな反日であり、それは北朝鮮に向けられるものではない

•北朝鮮は朝鮮人のナショナリストを満足させる説法をうまく捏造してきたが、南朝鮮はそれに失敗しており、このことは西ドイツが思想的に東ドイツを支配したのと真逆だ

•南朝鮮としては北朝鮮と対抗し得る「善良なる朝鮮人」なる概念を確立するために、反日を持ち出したのである

これは秀逸な、そして恐ろしい分析です。

「朝鮮民族としての正当性」に関する議論において、韓国は北朝鮮との競争に敗北している、というのです。

考えてみれば、同じ冷戦後の分断国家だった西ドイツは、東ドイツを思想的に席巻しました。

確かに東ドイツは旧共産圏の中でもっとも豊かな国でしたが、その東ドイツでさえ、西ドイツの豊かさに憧れていたのです。

東西の「鉄のカーテン」の一角が崩れると、東ドイツ市民は大挙して西ドイツに押し寄せ、あっという間に壁が消滅してしまいました。

しかし、南北朝鮮の場合は、「朝鮮民族としてのアイデンティティ」を確立するための競争において、韓国が北朝鮮に敗北してしまっている、というのです。

そして、北朝鮮に対抗するアイデンティティとして韓国が持ち出しているのが、「粘着質な反日」なのです。
北朝鮮は「共産主義」ではない!?

ケリー氏はこう続けます。

•北朝鮮の掲げるイデオロギーは、事実上、社会主義ではなく朝鮮人の血統に基づくナショナリズムであり、また、DPRK(※北朝鮮の正式国名)こそが朝鮮民族(ミンジョクminjok)の血統の守護者なのだ、とするものである

•北の主張によれば、「米帝の植民地」である南朝鮮は、経済が国際化され、米軍が駐留し、文化的に西洋化も進み、外国人の住民の比率も高まっているため、「純潔の朝鮮民族」とはいえないとするものだ

•南朝鮮が朝鮮民族としての正当性を気にしなければ良いはずなのに、実際に彼らはそれをとても気にするところに大きな問題がある

•北朝鮮こそが5000年に及ぶ偉大な朝鮮民族の歴史の守護者だとする主張に、南朝鮮のもつ民主主義は弱すぎる

つまり、ケリー教授は、韓国国民が「確固たる自分」を持っていないことが、北朝鮮に思想的に侵害されそうになっている大きな原因の一つであると喝破しているのです。

ありもしない「5000年の偉大なる朝鮮民族の歴史」という捏造を信じ込んでしまうから、世界の最貧国レベルにあるはずの北朝鮮に、思想的に深く侵略されてしまうのです。

私は「韓国社会の左傾化が急激に進んでいて、このままでは北朝鮮主導で赤化統一されてしまうかもしれない」と申し上げてきました。

しかし、すでに2年前の時点で、「韓国が北朝鮮に思想的に侵略されている」と指摘していた社会学者がいたのです。

反日は韓国社会の潤滑油

ケリー氏の論文は、次の一文で締め括られています。


All in all, anti-Japanism is a pretty good strategy for managing South Korea’s many tensions, and so long as the Americans are around, there are no geopolitical consequences to it either. What’s not to like? If South Korea cannot be the anti-North Korea, then it can be the anti-Japan.

仮訳)結局のところ、反日主義は南朝鮮の多くの問題を管理するうえで、極めて都合の良い戦略なのだ。米国の近くにいる限り、地政学的な状況は変わらないだろう。それでは好ましくないことは何か?もし南朝鮮が反北朝鮮であり得ないなら、結局は反日でしかあり得ないのだ。

要するに、社会を統合することに失敗した韓国は、北朝鮮に飲み込まれないためには反日を全面に打ち出すしかない、ということです。しかし、この「ケリー論文」が公表された2年前と比べて、現実はさらに先に進んでいます。

当時と何が違うか?

親北派の大統領の出現は「必然」だったのか?

注目しなければならないのは、「ケリー論文」が発表された時点と比べて、米国でも韓国でも政権交代が実現しているという事実です。

しかし、韓国の場合は、政権交代は「ロウソク」を手に持った大量の市民による情緒的なデモに対し、国会と裁判所が屈する形で実現しました。

朴槿恵大統領は国会が可決した弾劾訴追案により2016年12月9日に職務を停止され、2017年3月10日に憲法裁判所が裁判官の全員の一致で罷免判決を言い渡したからです。

つまり、韓国社会では2年前と比べ、政権は極端な親北派に変わりましたが、韓国社会の「情緒っぽさ」は全く変わっていないどころか、さらに加速している気がします。

トランプ政権はオバマ政権よりは「強硬派」

一方、米国では、トランプ政権が今年1月20日に始動して、早くも半年近くが経過します。

そんなトランプ政権は現在、FBIのコミー前長官を罷免したことを巡り、「政治的な窮地に立たされている」そうです(すくなくとも米国内のメディアの報道によれば、そういうことになっています)。

ただ、ドナルド・トランプ大統領は前任のバラク・オバマ大統領と異なり、「強いアメリカ」を主張する人物です。

実際、核・大量破壊兵器の開発と国際社会に対する挑発を止めない北朝鮮に対しても、朝鮮半島近海に空母を数隻派遣して牽制するなど、強硬な姿勢を崩していません。

支持率が低下し、大統領の弾劾などの動きが出てくれば、トランプ氏が国内の政治基盤の劣勢を挽回するために、北朝鮮攻撃に踏み切る可能性は、むしろ高まっていると見るべきではないでしょうか?

いずれにせよ、非常に重要な点は、トランプ政権が(少なくとも見た目は)オバマ政権と比べて強硬な「タカ派」の政権である、という点です。

そして、北朝鮮攻撃の可能性が高まっているという中で、左傾化した韓国の政権との連携がうまく行くとも思えないのです。
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