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作家の百田尚樹氏が、意外な主張をし始めて話題になっている。「今こそ、韓国に謝ろう」

2017-08-15 11:50:57 | 日記

百田尚樹氏 「今こそ、韓国に謝ろう」の真意を語る

※SAPIO2017年

作家の百田尚樹氏が、意外な主張をし始めて話題になっている。「今こそ、韓国に謝ろう」8月号夕刊フジ

作家の百田尚樹氏が、意外な主張をし始めて話題になっている。

「今こそ、韓国に謝ろう」--6月中旬、同名の著書を上梓した百田氏。韓国に対し、何を謝罪すべきなのか。

日本が、朝鮮半島に対して行った“悪行”の数々とは。百田氏が語る。

文在寅・新大統領は慰安婦問題に関する日韓合意の「破棄」をちらつかせ、多くの国民がそれを支持するという事態が韓国で起きています。

国家と国家の取り決めを反故にすることは国際常識上あり得ないことです。

 韓国では、憲法の上に“国民情緒法”と言われる概念があります。

これによって、政府や最高裁さえも「法律」「憲法」を無視して、国民感情に従った判断を下してしまう。

だから国際法や国際的なルールを破ってしまうのです。

 多くの日本人は、そんな韓国を目の前にして「なぜ約束を守らないんだ」「また譲歩しなければならないのか」と憤っています。

しかし、そうしたアプローチでは、もう日韓関係を健全な方向に向かわせることはできないのではないか--私は最近、そう感じ始めました。 

 日本は、慰安婦問題などでこれまで何度も韓国に譲歩し、歩み寄ってきました。

そのたびに我々は裏切られ、韓国は「反日」の狼煙を繰り返し上げているのです。

 「慰安婦を強制連行したことはない」

 「慰安婦は性奴隷ではなく高額な対価をもらっていた売春婦であり、休む自由もあった」

 「竹島は歴史的にも日本の領土である」

 そうした「歴史の真実」は、書店に並ぶ多くの本で明らかにされています。

“慰安婦は強制連行された”“日帝は韓国からあらゆるものを奪った”といった韓国の主張を疑問に思う人たちは、それらの本などから「真実」を知っています。

しかし、そもそも「日本は韓国に酷いことをしたのだ」と考えている人たちは、そうした本は「嫌韓だ」と決めつけて、真実を知ろうともしません。

 国と国との約束を守らず「反日」を掲げる韓国に対して日本がきちんと対峙するには、我々がアプローチを変えなければならないと思うのです 。

『今こそ、韓国に謝ろう』は、これまでになかった視点から日韓併合時代を論じた本です。私はこの本を書いて、我々日本人は、とんでもない思い違いをしていたのではないかということに気付いたのです。

 それは一口で言うと、「余計なお節介」です。頼まれもしないことを無理矢理にやってしまったのです。

 ◆経済成長させた“罪”

 さて、当時の日本がどんな酷いことをしたのか。

そのひとつは、朝鮮半島各地にたくさんの小学校を作ったことです。

1905年頃にはわずか40校ほどだった小学校を、1910年の併合後に凄まじい勢いで増やし、1943年までに4271校も開校しました。

 日本はこれに巨額の国家予算を投入しました。

併合当時には10%未満だったと言われる識字率は、1936年で60%近くに高まりました。

  これまで日本人は韓国に対し「教育を施してあげた」と考えていましたが、よく考えてみれば子供は遊びたい盛りで、勉強なんかしたくありません。
 
いわば子供の“遊ぶ自由”を奪ったのです。

 驚くことに、日本は朝鮮に京城帝国大学まで作りました。

しかも、京城帝国大学の図書館の予算は、東京帝国大学の10倍もありました。

朝鮮の人々からすれば、「人を馬鹿だと思っているのか!」と怒りたくもなるでしょう。

 教育だけではありません。

日本は朝鮮半島の自然まで変貌させてしまいました。

焼き畑農業でほとんど禿げ山になっていた朝鮮半島の山々に植林し、緑豊かな風景に変えてしまったのです。

 さらに、至るところに鉄道網を敷いて、併合前はわずか100kmしかなかった鉄道を総延長6000kmにまで延ばしました。

美しい野山に醜い鉄道網を敷きまくったというわけです。

 ダムも建設しました。

鴨緑江に作った水豊ダムは当時世界最大級で、電力の最大出力はあの黒部ダムの2倍もありました。

発電所を建設し、送電線を張りめぐらせ、村々に電気を行き渡らせたのですが、これは日本の勝手な振る舞いです。

もちろん、お金を出したのは日本です。明らかに生活レベルは向上したのですが、そう考えるのは日本人のエゴなのかもしれません。

日本は韓国に“産業革命”も起こしました。

李氏朝鮮時代の朝鮮は農林水産業の生産が全産業の約80%、工業生産は約18%という第一次産業国家でした。

ところが併合以降、農林水産業の比率は約43%に減り、工業生産は約41%に増えたのです。

 その結果、併合の翌年の1911年から1938年までの間、朝鮮の経済は平均3.8%という驚異的な成長率を遂げました。

これだけの長期間にわたって高成長が続いた例はほとんどありません。

 雇用が増え、経済が成長するのはいいことだと考えるのは、日本の勝手な論理です。

それまで農業や漁業に携わっていた人々が、急に工場などで慣れない仕事をすることになったと想像すると、本当に申し訳なく思います。

 ◆モラルを教えなかった

 日本は、朝鮮の“伝統文化”も破壊しました。併合前の朝鮮には、20世紀初頭とは思えないほどの厳しい身分制度がありました。

王族及びその縁戚などと特権階級の「両班」(ヤンバン)が支配階級で、その下に官僚機構で実務を担っていた「中人」(チュンイン)がありましたが、両班からは激しく差別されていました。

その下が「常民」(サンミン)で、多くが小作農であり、「常奴」(サンノム)の蔑称で呼ばれていました。

 さらにその下には高麗王朝時代から「七賤」と呼ばれるがいました。

なかでも「白丁」(パクチョン)と呼ばれる人々は戸籍もなく姓もなく、厳しい差別にさらされていました。

 朝鮮半島に長く根づいていた伝統的な身分制度を日本は破壊し、王族を除くすべての人を平等に扱いました。

こうした差別は許されることではないと、日本人が考えたからです。しかし、これは独善的な考えです。

特権を奪われた両班が日本を恨むのは当然です。

 もちろん両班は朝鮮人全体のごく一部でしたが、不思議なことに現代の韓国人のほぼすべてが「自分のルーツは両班だった」と主張します。

韓国人の多くが日本を恨む理由は、もしかするとここにあるのかもしれません。

 それ以上に日本が猛省し、朝鮮半島の人々に謝罪しなければならないことがあります。

それはせっせと学校を建てて教育を施しながら、一番大事な「モラル」を教えなかったことです。

 いわゆる「ウリジナル」も、モラルの問題として捉えることができます。

茶道、華道、歌舞伎といった日本文化はことごとく「韓国がルーツだ」と言い出していますが、いずれも何の根拠もありません。

 しかし、こうしたこともすべて、併合時代にモラルを教えなかった日本に責任があると言えます。

 ◆日本は「原状回復」を

 今からでも遅くはありません。日本国は深い反省に基づいて謝罪し、朝鮮半島に植林した木々を伐採して禿げ山に戻し、学校や鉄道、港やダムを壊すなど「原状回復」して韓国に返すべきだと思います。土地を借りた場合、原状復帰が原則です。

  冒頭で触れたように、文在寅政権は日韓合意を破棄し、慰安婦問題を蒸し返そうとしています。
 
これは、「モラル」と同様に、日本が「近代的法概念」を教えなかったからです。
 
併合時代、大学を作り、法律家を目指す朝鮮の若者たちに憲法や刑法、商法、民法などを教えました。
 
しかし、なんということか、最も大切な「法概念」を教えることを忘れていたのです。
 
韓国は条約や合意を反故にすることで世界から批判されましたが、その罪は日本人が背負わなければならないのです。

 私が想像するに、日本は韓国を発展させるのを急ぎすぎたのです。

300年くらいかかって発展すべきところを、30年でやってしまったのです。現代の韓国社会のひずみの原因は、そこにあると思われます。もちろん日本のせいです。

 このように日本が日韓併合時代にどんな“悪行”を働いていたかを知ると、韓国人がなぜ今に至るまで日本人を恨み、批判し続けてきたかがわかると思います。

 詳細は近著『今こそ、韓国に謝ろう』に記しましたが、こうしたアプローチで韓国との関係を考えることは、見ようによっては「反日的」と捉えられてしまうかもしれません。

よく知られているように、日本は台湾を統治していた時代にも現地で教育を施し、鉄道を敷き、道路を作り、東洋一とも言われるダムも建設しました。

台湾は今でも、当時の日本によるインフラ整備に感謝してくれています。台湾が親日的なのはそのためでしょう 。

 日本は韓国に対しても同じことをしたのに、なぜ韓国人は感謝もせずに日本を批判するのか。

それは、本誌・SAPIO6月号で対談したケント・ギルバートさんが語っていたとおり「儒教」の影響が大きいのだと思います。

 韓国では、中国が世界の中心で、それに近い韓国は優れた国であり、中国からより遠い日本は「格下」と考えられています。

「下」の日本が「上」の韓国のために学校を建てるなどして「貢ぐ」のは、上下関係を大事にする儒教の考え方では“当たり前”のことであるから、感謝するものではないのです。

「鉄道を敷くなんて、頼んでもないんだけどな~」と思っているのではないでしょうか。

 それでも私はここで、韓国の皆さんにきちんとお詫び申し上げます。

そのことが日韓関係を新たな段階に進めることにつながると思うからです。

  【PROFILE】1956年、大阪市生まれ。同志社大学中退。放送作家として「探偵!ナイトスクープ」などの番組構成を手がける。2006年、『永遠の0』で作家デビュー。近著に『今こそ、韓国に謝ろう』『幻庵』『カエルの楽園』などがある。

 ※SAPIO 2017年8月号

 



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