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韓国、「文政権」稚拙な保守叩きでブーメラン「国会空転」も

2017-07-29 15:44:13 | 日記
勝又壽良の経済時評

日々、内外のニュースに接していると、いろいろの感想や疑問が湧きます。それらについて、私なりの答えを探すべく、このブログを開きます。私は経済記者を30年、大学教授を16年勤めました。第一線記者と研究者の経験を生かし、内外の経済情報を立体的に分析します。


2017-07-28 05:00:00

韓国、「文政権」稚拙な保守叩きでブーメラン「国会空転」も

文氏は派閥主義を激化させる

米韓FTA反対から守護者へ

文在寅政権は、朴前大統領の批判を楽しんでいるようだ。

文氏は大統領就任に当たって「協治」なる言葉を使った。

与野党が協力して、大統領弾劾という異常事態後の政局安定を目指す意向とみられたのだ。

現実は全く逆。勝者としての奢りから、敗者の保守派に対して、朴前大統領を含め、あからさまに侮辱しているようである。

これでは、文政権が公約を実行するに当たり「少数与党」という弱点を乗り越えて、野党の協力を得るのは困難であろう。

韓国国会には「国会先進法」という制度がある。

5分の3の賛成がなければ法案決定とならないのだ。

憲法改正という重要法案であれば別として、一般の法案でもこの縛りがある。

これでは、ほとんどの法案が野党の反対で決定しない泥沼に入るリスクを抱える。


少数与党の文在寅政権としては、頭を低くして協力を求めるのが筋であろう。

それが、大統領選での勝利感に今なお酔っているとしか思えない所作を繰り返している。

文大統領の一枚看板と言っても良い「南北融和構想」は、北側の無視と米国の反発を受けて早速、軌道修正を求められている。

余りにも学生運動家上がりの「青臭さ」が鼻につく未熟外交に映るのだ。

外交は本来、老練でなければならない。

四囲の状況をつぶさに分析して慎重にやるべき話だ。

それがどうだろう、思いついたらすぐに行動するタイプだ。

そこには、韓国の置かれた客観的な状況など考慮することなく飛び出す、突貫型外交を始めている。

米国が強い危惧の念を抱くのは当然である。

米国議会は、韓国へのTHAAD(超高高度ミサイル網)設置費用を上程した。

さらに、南北朝鮮の共同事業「開城工業団地」の操業再開反対を表明している。

北朝鮮問題は、韓国が勝手に動いて解決できる段階を超えているのだ。

文大統領は、その認識が希薄ゆえに米国から強い縛りを受けている。

この程度のことが、事前に察知できない大統領では困るのだ。

私ですら、米韓が一体にならなければ、北朝鮮問題は解決不能と、言い続けてきたほどだ。

これは、常識であろう。

これも分からない韓国の「86世代」が、韓国政治をリードすることは極めて危険である。

私が、今後5年間の文政権に期待できない最大の理由は、世間知らずの「学生政権」という点にある。

正義心は強い。

それが、「原理主義」と「独善」という衣装をまとっているだけに、「現実」を悟るまでに相当の時間がかかるであろう。

あっという間に、任期の5年間は過ぎるのだ

実は、海外メディアが文政権の脆弱性をすでに取り上げていた。

文氏は派閥主義を激化させる

『中央日報』(6月15日付け)は「文大統領 派閥主義・偶像崇拝の中心」と題して、米ニューヨークタイムズのコラムを紹介していた。

6月13日(現地時間)の『ニューヨークタイムズ電子版』には、「韓国の左派混乱」というコラムが掲載された。

このコラムは、オンラインメディア「コリアエクスポゼ」のク・セウン代表が寄稿したもの。

ク代表は寄稿で80%に達する文大統領の高い支持率(当時)に言及しながらも、「しかし国家のためのバラ色は少ないようだ」と書いたのだ。

(1)「ク代表は、文大統領の支持者の行為について、

『彼らの強力な運動は、有力左派系メディアと新大統領を批判する自由主義者に対抗している』とし、

『分派主義と政治的偶像崇拝の中心にある文大統領は、前向きな変化の代理人のようには見えず、政治的派閥に対する国家の脆弱性はこの国の民主主義が依然としてどれほど脆弱かを見せている』と指摘した」

韓国の民主主義の未成熟さは、反対陣営への感情的までの批判に現れている。

冷静に議論する習慣がなく、民主主義は妥協であるとの認識が欠如している。

妥協は、敗北としか捉えない狭量さがある。

政治は、勝ち負けという勝負になっている。

だから、勝った側は何でも好き勝手が許されると錯覚する。

現在の文在寅政権は、勝者として朴前政権へ復讐している。

過去、この繰り返しできた。韓国政治の不完全さの原因は、全てここにある。

前政権の問題点をこれでもか、これでもかと穿り返す。非生産的な繰り返しだ。

(2)「ク代表はコラムで、

『左側に立つ熱心なファンは、新しいアイコンになった文大統領を非難しそうな人たちを相手にいつでも戦う準備ができている』とし、

『彼らは時々、自分たちを“文ファン”“タリ(月=moon)バン”とからかう人たちを処罰することに強い決意を抱いている』という見方を示した。

『その醜い争いは、自由主義メディアと政治家を苦しめることを含む』とし『無数に多くの文字メッセージ伝送は彼らが好む戦略の一つ』と説明したりもした」

文在寅政権を支えるメディアは、『ハンギョレ』である。

文在寅氏が創刊委員として関わっているほどだから、現政権へは熱烈なラブコールを送っている。

文政権の広報紙のような役割を果たしているが、発行部数は朝鮮日報や中央日報の二大紙からみれば取るに足らないほど少ない。

労働組合や市民団体が主要な購読層であろうか。

発行部数に大差がついているから、これらの革新派メディアの声は限られた層にしか届いていない。

反市場主義や反企業主義が前面に出ているので、一般的には馴染まないのかも知れない。

『朝鮮日報』(7月23日付)は、「文在寅政権の稚拙な保守たたき」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のチェ・ボシク上級記者である。

この記事では、具体例を挙げて現政権が前政権を「なぶり者」にしている様子がよく分かる。

あたかも、占領軍が乗り込んできたような高揚感に包まれて、次々と「愚行」を重ねている。

これは、次の政権交代で徹底的に痛めつけられても文句を言えない立場に自らを追い込んでいる。

今少し、スマートな政権交代ができないだろうか。米国トランプ政権でも、ここまでは酷くないのだ。

(3)「2カ月前に、『朴槿恵(パク・クンヘ)前大統領は四方を鏡に囲まれた部屋で過ごしていた』といった報道が広がった時のことだ。

大統領府(青瓦台)は担当記者の確認取材に対し、『ノーコメント』と答えた。

一言説明すれば済む事柄にもかかわらずだ。

朴前大統領が『積弊勢力』に見えるように放置しているようにも、風説が事実として固まるのを楽しんでいるようにも見えた。

筆者が、『朴槿恵の鏡の部屋に対する青瓦台の怪しい沈黙』と題するコラムを書いた際、青瓦台はこう説明した。『青瓦台の官邸や生活空間については、保安上の規定に抵触するため言えない』と」

朴前大統領の居間は、四方が鏡で囲まれているから、文大統領がすぐに引っ越しできないという噂が蒔かれた。

それ故、その鏡の取り外しで3日も要した、と。

これがウソだったのだ。

真相は、部屋の模様替えに3日かかっただけのこと。

この噂を否定せずにいた大統領府は悪意に満ちている。はっきり言えば、人倫に反する振る舞いだ。

(4)「そんな青瓦台が今度は、『朴槿恵のベッド』を持ち出した。

あるメディアの記者に

『国家予算でベッドを買ったのだから、定められた使用年限まで使わなければならないが、前職の大統領が自ら使ったベッドなので、他人が使うことも売却することも不適切だ』と語ったという。

そして、細かいことにまで言及してみせた。保安上の理由で『鏡の部屋』については事実確認を拒みながら、官邸のベッドは規定には抵触しないようだ」

大統領府は、「朴槿恵のベッド」の写真と購入価格を発表した。

前記の「鏡の間」では、保安上の規定に抵触するため、噂についてコメントできないと言いながら、「大統領のベッド」については積極的にPRしている。

このベッドも、「保安上の規定に抵触するはず」だが、なぜか公表している。

要するに、朴前大統領を徹底的に叩き潰せという汚らしい動機が見え隠れしている。

上品とは言えないこの手法で、「暴露戦術」に出ているのだ。これが、韓国社会特有の隠微な点である。

(5)「最近、進んでいる朴槿恵政権時代の文書公開もそうだ。

最初の発表の30分前に『放送各社は生放送の準備を』と記者室に通知したという。

青瓦台の報道官は、まるで特ダネを明らかにするかのように『青瓦台のキャビネットで前政権の文書が発見された』と細かく説明した。

文書内容をカメラの前で示す場面もあった。今の青瓦台は以前とは異なり、国民には透明でオープンだという点をアピールした格好だ」

ここまで、朴槿恵政権時代を全否定する動きの背後に何があるのか。

それは、現在の朴裁判で賄賂問題が無罪になるケースに備えている。

決定的な証拠がない事件であり、証拠不足で無罪になった場合、市民団体や労働組合をたきつけて、再び「ロウソク・デモ」をやらせる準備とみられる。

万一、無罪になれば、国内の保守系が一斉にデモへ立ち上がるだろう。

それに備え、あらゆる悪材料を探し出しているに違いない。

(6)「人が本能的に嫌うのは、現在の権力が死んだ権力を乱暴に踏みにじるように見えることだ。

保守勢力が朴前大統領を擁護しなくなったとしても、青瓦台が面白がって流す『鏡の部屋』『朴槿恵ベッド』の話には憤慨する。

積弊を清算する裁判官にでもなったように

『青瓦台文書』を公開したり、朴正熙元大統領誕生100年の記念切手発行を中止したりするやり方は、保守を内心憤らせるものだ。

選挙に勝ち政権を握ったことは最後の勝利ではない。真の勝負は国家運営で決まる。

大統領は自分に投票した支持者だけで国政を率いることはできない。

自分を一時警戒した人、自分に反対した人との同意、協調も必要だ。

文大統領の共感能力ならば、彼らの心を推し量ることは難しくない」

朴正熙元大統領誕生100年の記念切手は、文在寅政権になって急遽、発行を取りやめた。

一方、盧武鉉・元大統領の記念館建設は承認している。これほど偏った決定があるだろうか。

朴正熙元大統領については、軍事独裁政権を敷いた批判を浴びている。

しかし、歴史として否定できない事実である。

ちょうど、日韓併合は韓国にとって不名誉だから認めないという論理と同じである。

こんなご都合主義があるだろうか。歴史に対してきちんと向き合わないのが韓国人である。

不都合なことは避ける。慰安婦問題も、韓国人にとっては不都合な事実である。

強制連行でなく自由意志で参加しているからだ。

それを、強制連行説にすり替えて、日本批判に持ち込み、不都合な部分を回避しているに過ぎない。

要するに、事実を事実として認めないのだ。

慰安婦に自由意志でなったのは、朝鮮人だけでなく日本人もいるのだ。

当時は、公娼制度が存在した。これが、歴史の事実である。何も、恥ずかしがることはない。

文在寅氏は、米韓FTA(自由貿易協定)を巡って過去、主張を二転三転させてきた。

まさに無節操を絵に描いたような政治家である。

米韓FTA反対から守護者へ

『朝鮮日報』(7月22日付)は、

「韓米FTA、一貫性がない文在寅大統領」と題するコラムが掲載された。筆者は、同紙の朴正薫(パク・チョンフン)論説委員である。

この記事では、韓国新政権の座にある「共に民主党」が、野党時代に米韓FTAに対して、どのような反対姿勢を取ってきたかを明らかにしている。

韓米FTAは、もともと盧武鉉政権時代に提案されたものだ。

いわば、自らが音頭を取った法案を、野党に転落したからといって普通は、真逆の反対に回れるはずがない。

それをあえて反対派に回って政権を揺さぶってきた。

文在寅氏もこの一人として反対派に鞍替えした。

それが、皮肉にも政権を取って、途端に米韓FTAを守らざるを得ない立場になった。この変節漢が文氏である。口では立派なことを言うが、本質は「風見鶏」である。大衆迎合政治家と言って良い。

(7)「民主党は野党時代の9年間、しつこく韓米FTAに反対した。

FTAを『乙巳勒約』(いっしろくやく=第2次日韓協約)になぞらえ、李明博(イ・ミョンバク)・朴槿恵(パク・クンへ)政権を売国奴だと追及した。

批准案が国会を通過すると、議会クーデターだとして街頭にも飛び出した。

当時、民主党の院内代表は『米国の利益だけを保障するあしきFTA』だと言い、政策委の議長は『FTA廃棄』を掲げた。

この二人は現在、文在寅(ムン・ジェイン)政権の国政企画委員長と雇用委員長を務めている」

米韓FTAの批准の際、当時、民主党の院内代表は「米国の利益だけを保障するあしきFTA」だと味噌糞に言って反対したのが、現在の政権与党である。

文氏は今、大統領として米韓FTAが、米韓両国に利益とまで発言している。

歯の浮くような話だ。

韓国政治を信用できないのは、こういうウソで固める行動を平気で取ることにある。

(8)「実は韓米FTAの種は、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代にまかれたものだ。

文在寅大統領は、盧武鉉政権の民政首席・秘書室長として交渉の全ての過程を見守っていた。

『FTAのISD(投資家対国家の紛争解決制度)に反対するのはグローバル化しないということ』という資料を、民政首席室名義で出したこともあった。

しかし政権が変わると、政治家・文在寅の態度は『断じて反対』に変わった。

12年の韓国大統領選挙で、文大統領は『FTA再交渉』を公約に掲げた。秘書室長時代に擁護していたISDを『毒素条項』と決めつけもした」

文氏も相当の「二枚舌」政治家である。

盧武鉉政権下で民政首席・秘書室長として枢要ポストにいながら、野党に転落すると米韓FTAに猛反対する。

政治的な節操などあるはずがない。

日韓慰安婦問題もこの類いの感覚で対応しているのだろう。

前政権が結んだ日韓慰安婦合意だから反対する。

国家としての対面を守るという認識はゼロである。これが韓国政治の本質と言える。

(9)「文大統領は、先の韓国大統領選挙で、韓米FTAに対する立場をまたも変えた。

『盧武鉉政権のFTA推進に自負を持っている』として、9年を経て『縁故権』を主張した。

大統領就任後は、FTAを守ろうと総力戦を展開している。

先ごろ訪米した際、文大統領は『韓米間の利益のバランスが取れている』としてFTAを擁護した。

米国は再交渉しようと言うが、文大統領はこのまま守りたいと言っている」

文大統領の韓米FTA発言には、韓国人の狡さが表れている。

文氏は、「縁故権」なる言葉を持ち出している。

日本語に、これに相当する言葉はない。

強いて言えば、相続制度での「特別縁故者制度」を連想させる。

この場合は、「法定相続人」がいないケースのみで成立するもの。

したがって、文氏が言う「縁故権」なる意味は、「米韓FTA」は盧武鉉政権時代に発議したから成立したという屁理屈である。

だから、文政権もその一翼に連なり得るというのだ。これまでの反対論など忘れたような振りをしているから驚く。

政治家して醜い限りである。日本であれば、非難の矢面に立たされる政治家に違いない。

(10)「FTA推進から反対・再交渉要求へ、そこから再びFTA支持へと行ったり来たりだ。

自由韓国党の洪準杓(ホン・ジュンピョ)代表が文大統領に『一言謝罪でもなさるべき』と言った。

かつて、ハンナラ党代表だった自分を『売国奴』と呼んだことを意識しているのだ。

確かに何の説明もなく突然、『FTAの守護者』に急変するのは不自然、という声は多い。

『当時は考えが足りなかった』とひと言いえば済む話だ」

米韓FTAを巡って、文氏は当時の与党責任者を「売国奴」と呼んで侮辱した。

その当人が今度は、「FTAの守護者」に急変している。

余りにも節操のなさに呆れるのだ。

これが韓国政治の本質と見れば、日本は良い勉強をさせて貰ったと感謝すべきであろう。


(2017年7月28日)


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