平成太平記

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②韓国経済、実態は「ポンコツ中古車並み」再生策はあるのか

2014年11月25日 10時37分29秒 | Weblog

 

勝又壽良の経済時評

 

②韓国経済、実態は「ポンコツ中古車並み」再生策はあるのか

(2014年11月25日)

韓国(2014年11月25日)経済のもう一つの泣き所は、中国への依存度が高いことである。

韓国の輸出では、中国向けがトップである。

しかも、韓国のGDPに対する輸出の比率は50%を上回っている。

その首位が中国であるのは、リスクが大きすぎる。

韓国は、そこで「親中」を打ち出して中国のご機嫌取りを始めたという構図である。

この点、同じ状況にある豪州は毅然としている。貿易と外交を峻別しているのだ。

この伝で言えば、韓国も外交的にフリーハンドを持って行動すれば、中国から一目置かれる立場になるのだ。

日本は、中国に対し決してご機嫌取りをしない。長い目で見れば、外交的にプラスへ働くはずである。 

「社会主義政権が、市場経済を統制することができなければ、中国経済はハードランディングしかねない」としている。

中国の不動産バブルは、社会主義市場経済が産み落としたものである。

バブルは、一種の社会的病理でもある。自国経済への高揚感が、市場の摂理を飛び越えて無限の経済発展をもたらす。そういう幻想が生み出す病理なのである。

社会主義市場経済は最終的に、国家がバブルを制御するという錯覚を作り出した。それは所詮、錯覚に過ぎないのだ。 

現実の中国経済=社会主義市場経済は、不動産バブルを制御できないことを証明した。

不動産バブルは過大な債務発生と同義である。

いったん発生した過大債務は、返済によってのみ最終的に解決する。

現状では、過大な債務は未解決なままだ。

中国では誰が、その過大債務を返済するのか。

一部は民間企業であるが、過半は地方政府と国有企業である。

つまり、政府部門がこの過大債務を背負い込むのだ。

中国の債務総額は、対GDP比で210%台に達している。

日本の平成バブルでは、ほとんどが民間部門の債務であった。

中国は日本と逆の関係である。

韓国は、不幸にも「泥舟経済」の中国にすり寄ってしまった。

反日で「日本憎し」が招いた痛恨事である。 

③ 「韓国経済の内部は、潜在成長率低下と非効率的な労使関係が足を引っ張っている。

権院長は、『1980年代に10%だった潜在成長率が、いまは1%台に急落した。

求職を断念し両親に依存する青年失業者の割合が16%に達するほど人材活用度が落ちている』と指摘した。

権院長は、『全面修理』が要求される分野として規制政策を、『新しい車』が必要な分野として製造業に活力を吹き込む特別法施行を提示した」。 

韓国は、「1980年代に10%だった潜在成長率が、いまは1%台に急落した」としている。

「1%台」は誤りである。正しくは、2~4%へと低下しているのだ。

総人口に占める生産年齢人口比率がピークを打って、下降に向かっている結果である。

潜在成長率は、この生産年齢人口比率とほぼパラレルに推移していくものだ。 

こうした潜在成長率低下のなかで、韓国経済はどのような取り組みが求められるのか。

高付加価値産業へのシフトに尽きる。そうした準備はできているのか。OECDは、悲観的に見ているのだ。

 R&Dでは首位だが

『中央日報』(11月14日付け)は、次のように伝えた。 

④「11月13日、韓国未来創造科学部によると、経済協力開発機構(OECD)は前日発表した『2014OECD科学技術産業展望』で、2012年基準の韓国の国内総生産(GDP)対比研究開発(R&D)投資率が、4.36%でOECD1位とし、次のように明らかにした。

売上高対比R&D投資率を意味する企業のR&D集約も3.4%でOECD加盟国のうち最も高かった。OECDは、その他にも

(1)高等教育に対するR&D投資、

(2)発展した情報通信技術(ICT)インフラ、

(3)公共研究機関を中心に活発な特許出願と民間以前の活動、

(4)中小企業や創業支援のための直接・間接的ファンド制度--などでも肯定的な成果を出していると評価した」。 

2012年基準では、韓国のGDP対比の(R&D)投資率が4.36%。OECD加盟国で1位である。

企業の売上高対比R&D投資率も3.4%でOECD加盟国のうち最も高かった。

それでもなお、韓国の技術貿易収支(技術輸出-技術輸入)は、OECDのなかで最も悪い状態だ。次に、その実態を示したい。

 OECDによると、2010年の韓国の技術貿易収支倍率は0.33で、統計のあるOECD25カ国のうち最も低いのが現実だ。

 技術貿易収支倍率とは、技術輸出額を技術輸入額で割ったもの。

数値が低いほどその国家は技術競争力が低いことを意味する。

韓国は技術輸出額が輸入額の3分の1にしかならない。

技術貿易で黒字を出すほど累積した独創技術が足りないという意味である。

倍率が最も高い国は、日本の4.60である。

この数値は韓国の14倍にもなっている。

ノルウェーが2.07で2位。次いでスウェーデン(1.98)、英国(1.81)、オーストリア(1.57)などの順である。 世界最高の技術輸出国の米国は1.46だ。 

韓国の技術貿易収支倍率は、0.33(2010年)というきわめて低い実績である。

この現実と、韓国のGDP対比の(R&D)投資率が4.36%(2012年)は好対照である。

余りにも乖離し過ぎている。

この矛盾をどう解くべきかである。無駄な研究開発投資を行い、製品化に結びつかないことを物語っている。

 「犬も歩けば棒に当たる」という格言がある。

研究開発では基礎研究の実績が山ほどあって、その上で偶然に良い研究成果が出てくる。

そういう「幸運」はある。

ノーベル賞自然科学系の受賞では、しばしばそうした研究プロセスが話題になる。

だが、基礎研究成果の乏しいところで、むやみやたらと研究資金を投じても成果は上がらない。

韓国は、こういう状態であろう。種(研究開発費)をいくら蒔いても、土壌(基礎研究基盤)が悪ければ芽を出さないのだ。

 ⑤「OECDは短所も指摘した。海外共同研究と共同特許出願比率、外部R&D資金流入など国際交流の側面では脆弱だという評価だ。

OECDは、その原因として公共機関の実用研究および技術開発中心活動、大企業中心のR&D支出などについて言及した。

企業と直接結びつく応用技術や開発の部分は悪くないが、波及力が大きい基礎・基礎固有技術に対する研究や支援が相対的に不足しているという話だ。

OECDはまた、韓国がICT成長に力づけられてOECD国家のうち最も速く発展したが、

(1)低成長基調の持続と失業率拡大

(2)高齢化加速

(3)環境問題の台頭--などのような挑戦しなければならない課題に直面していると分析した。

OECDは、韓国が科学技術革新成果の質的水準を高めるために、科学技術が国際化されなければなければならないと提言した」。

 OECDは、韓国が「波及力の大きい基礎・基礎固有技術に対する研究や支援が相対的に不足している」と指摘している。

前のパラグラフでコメントをつけたように、系統だった研究が行われていないことを示唆するものだ。

基礎研究の不足が仇になっている。韓国のノーベル自然科学系受賞者は、これまで「ゼロ」である。

片や日本は19人(米国籍日本人2名を含む)になっている。

これこそ、日本における基礎研究の累積効果がもたらした結果である。

韓国では肝心の基礎研究が不足している。世界のマーケットで市場支配できる商品は、必ず基礎研究の裏付けがあってのことだ。

それがなければ、短期間で他のメーカーに市場を奪われる危険性を伴う。サムスンのスマホはその適例である。 

⑥「韓国政府未来部のイ・サンフン多国間協力担当官は、『OECDの評価が最近の韓国の現実とは乖離感があるが、R&D投資に対する効果は最短で5~6年後に現れるだろう』とし、『世界最高水準のR&D投資は未来の韓国経済の姿を見せる指標になるだろう』と話した。

OECDは2002~2012年の10年間、全世界のR&D投資が米国・日本・欧州連合(EU)等の比重の低下、中国をはじめとする開発途上国の位置づけが強化されるなどグローバルR&D地形に変化が現れていると明らかにした。

特に中国の場合、今の傾向のままR&D投資を増やせば、2019年頃には世界最大のR&D投資国として浮上すると見通した。2012年基準で中国のGDP対比R&D投資率は約2%だ」。 

韓国政府の担当官が、「世界最高水準のR&D投資は、未来の韓国経済の姿を見せる指標になるだろう」と士気を鼓舞している。

果たしてそうだろうか。基礎研究実績の乏しい国で、研究開発費だけ増やせば、必ず成果が出るものではないのだ。

現に、前記の通り「韓国の技術貿易収支倍率は、0.33(2010年)ときわめて低い」のである。これが、「一発逆転」というドラマのような話になるとは思えない。 

また、「中国の場合、今の傾向のままR&D投資を増やせば、2019年頃には世界最大のR&D投資国として浮上する」としている。

これも「眉唾」である。

中国のR&D投資には、外資系企業の研究開発が含まれている。

最近、中国政府は外資系企業(製造業)の中国進出条件として、研究開発部門の設置を要求しているのだ。

中国が居ながらにしてR&D投資を増額できるシステムである。

研究開発成果が、中国企業には広く及ばないのだ。基礎研究で実績のない中国が、自前で世界最大のR&D投資国となっても、成果はきわめて低いのである。

 

 

 

 



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