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THAAD配備巡り米中代理戦争

2016年10月19日 10時44分42秒 | Weblog

 THAAD配備巡り米中代理戦争

概略

日経ビジネス

 2016年7月21日(木)

 日本経済新聞社編集委員

 韓国へのTHAAD配備が正式決定。唐突な発表が意味することとは?

  米国による地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD=サード)の配備を韓国が正式に認めた。予想よりも早い動きだった。

 政権内でせめぎ合う

 7月8日、在韓米軍へのTHAAD配備が正式に決まりました。

鈴置:韓国国防部と在韓米軍が共同で記者会見し「2017年末までに配備する」と発表しました。

極めて唐突感のある発表でした。

 米韓両国は3月、THAAD配備に関する協議を始め、6月28日の段階で韓民求(ハン・ミング)国防相は「年末までに決定する」と国会で述べていました。7月5日になっても「時期、場所ともに未定」と答弁していたのです。

 というのにその3日後に「配備決定」が発表されたのです。7月13日には配備する場所も、慶尚北道・星州(ソンジュ)の山上の韓

国軍対空ミサイル基地内と発表されました。

 前回説明した通り、配備拒否派が世論を盛り上げて朴槿恵(パク・クンヘ)大統領を動かそうとした。

慌てた賛成派が巻き返し、大統領の裁可を取り付け急きょ発表に持ち込んだ――のです。

 前者は中国との関係を、後者は米国との同盟を重視する人々です。韓国を舞台に米中の代理戦争が勃発したのです。

 表「THAAD配備決定直前の動き」を見れば、7月1日から8日まで、朴槿恵政権内の拒否派と配備派がせめぎ合ったことがよく分かります。

 米国から見捨てられるところだった

もし、大統領が「配備拒否」に傾いていたら、どうなったのですか。

鈴置:米韓同盟が大きく傷ついたでしょう。

米国は同盟を直ちに破棄するわけではない。

が、これを機に在韓米軍の大幅な撤収に動いた可能性が大きい。

 韓国を守るために在韓米軍がいるのです。

それを防御するためのTHAADを持ち込ませないと韓国が言うのなら「では、出ていきます」と米国が言い出しても不思議はありません。

 「配備」の正式な発表を受け、中央日報は解説記事の見出しを「苦悩の末に……朴槿恵政権、韓米同盟を選んだ」(7月9日、韓国語版)としました。日本語版もほぼ同じです。

 「配備拒否か賛成かは、米国との同盟を拒否するか続けるかの選択だった」との前提で書いたのです。これが多くの韓国人の実感でしょう。

 ある親米保守の韓国の識者に感想を聞いたら「実に危なかった。米国から見捨てられるところだった。

中国圏に引き込まれるのを際どいところで踏みとどまった」と胸をなでおろしていました。

 外交部と国防部が抗争

今回の「騒動」の火付け役となったのは中央日報でした。

鈴置:その通りです。7月1日の紙面で、同紙の金永煕(キム・ヨンヒ)国際問題大記者が「配備拒否」を訴えたのです(「『南シナ海』が加速させる『韓国の離脱』」参照)。

 この中国に近いシニア記者は「THAADを拒否しても、韓米同盟はなんとか維持できる。

半面、配備すれば韓中関係は危機的状況に陥る」と主張し、韓国人を説得しようとしました。

 しかし、配備拒否を主張したその中央日報でさえ、今となっては「拒否すれば米韓同盟を毀損すると政権が判断した」と書いているのです。

韓国の国防部が配備発表を急いだのに対し、外交部は反対したと聞きました。

鈴置:左派系紙のハンギョレが「外交部長官の反対にもかかわらず『THAAD決定』強行」(7月13日、韓国語版)という特ダネを書きました。

これにより「国防部VS外交部」の抗争が世間に知られました。

 ハンギョレは同じ日に日本語版でも「外交部長官の反対押し切り『THAAD配備決定』強行」との見出しで、

朴槿恵政権内の米中代理戦争は世界に向け、発信されたわけです。

次期政権がひっくり返す?

外交部は中国の顔色を見て反対したと言うことですか。

鈴置:ええ、もちろん中ロとの外交摩擦が反対の理由です。

ハンギョレ・日本語版の記事から引用します。

 中国の厳しい対北制裁を引き出すため、

米国が「THAAD」をカード化し、

すぐには配備に動かないと踏んだこともあるのでしょう(「米国から『ピエロ役』を押し付けられた朴槿恵」参照)。

 実際、7月8日の発表でも「配備は2017年末」と1年半も先に設定したのです。日本の専門家に聞くと、配備にそれほどの時間はかかりません。

 国防部は反対派を抑え込むために「配備はもう決めた」と急いで発表した。

しかし米国は、中国に対する交渉材料を可能な限り長く使い続けるために「2017年末」に設定したのでしょう。

実際に配備してしまえば「外交カード」として使い勝手が悪くなります。

 ただ、それ以上遅らすと韓国の次の政権が決定をひっくり返すリスクが出てきます。

次期大統領選挙は2017年12月で、政権交代は2018年2月25日です。

 

 

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