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強まる米軍の「韓国撤退論」 日本を敵対視する姿勢に高まる批判

2014年09月17日 15時17分06秒 | Weblog

強まる米軍の「韓国撤退論」 日本を敵対視する姿勢に高まる批判

2014.09.17

連載:世界を斬る 日高義樹


米国で強まる在韓米軍の撤退論(AP)

 米国防総省の首脳、特に韓国に駐留したことのある陸軍幹部や兵隊らの間に、韓国が米国の軍事同盟国・日本をあまりにも敵対視しているため、「中国軍の侵略に備えて米軍を朝鮮半島に駐留させておくことに意味があるのか」といった批判が強くなっている。

 先日、ハドソン研究所で開かれた会議で北朝鮮問題のベテランが次のように述べた。

 「米国は、日米安保条約に基づいて中国による南シナ海や尖閣諸島に対する侵略に備えている。

同時に約3万人の米軍を韓国に駐留させ、中国の朝鮮半島侵略に対抗しようとしている。

だが、米国が助けている韓国は、米国の同盟国である日本を敵視し、非難をくり返しているのはおかしい」

 米国は2000年代、ブッシュ第1期政権時、当時のラムズフェルド国防長官が「南北朝鮮の内戦には関わらない」と決め、米軍の主力を朝鮮半島の南へ移動して以来、韓国軍を強化し、北朝鮮の侵略に対しては韓国に独自の力で対応させる方針を決めた。

 その後、ブッシュ政権は2016年までに米軍をすべて朝鮮半島から引き揚げる検討を始めた。

だが、中国の朝鮮半島侵略を恐れる国防総省の一部や保守勢力の間には、「在韓米軍を残しておくべきだ」という意見も多かった。

 ところが、最近は、米軍を韓国から撤退させ、「北朝鮮の侵略には、韓国軍だけで対処するのが当然だ」という声が強くなってきている。

 朝鮮半島有事については以前、米太平洋軍のロックリア司令官がこう述べたことがある。

 「日本政府は朝鮮半島情勢に冷淡で、有事の際に日本に駐留する米海兵隊や航空兵力による支援活動に支障が出る恐れがある。日本政府の態度は、実際に朝鮮半島の軍事情勢に悪影響を与えている」

このコメントは、日本やワシントンで反響を呼んだ。

もっとも、現実は当事者のペンタゴンや軍人の間では、米軍の支援のもとに中国の侵略に備えるべき韓国が、中国に対する軍事体制の強化に熱意を示さないこと、米国が軍事同盟を維持している日本を非難し続けていることなどへの批判の声が強い。

 日本では、韓国や米国の一部で批判が激化している慰安婦問題に異常なほど関心が高く、朝鮮半島全般の状況や安全保障政策についての考察が大きく欠落している。

 オバマ政権が登場して以来、日本では日米安保条約への信用が大きく揺らいでいる。

だが、アジア極東の軍事情勢を安定させるため、日本は韓国とともに米国の軍事同盟国であることを認識し、中国の領土的野心に対しては、米国、日本、韓国の関係を大きな枠組みのなかで考える必要がある。

米国防総省幹部や軍人らの韓国批判はこの点を突いている。

 ■日高義樹(ひだか・よしき) 1935年、名古屋市生まれ。東京大学英文科卒。59年NHKに入局し、ワシントン支局長、理事待遇アメリカ総局長を歴任。退職後、ハーバード大学客員教授・同大諮問委員を経て、現在はハドソン研究所首席研究員、全米商工会議所会長顧問。



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