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米国の特殊部隊vs北朝鮮の特殊部隊、どちらが強い!?

2016年03月18日 18時37分26秒 | Weblog

米国の特殊部隊vs北朝鮮の特殊部隊、どちらが強い!?

 2016年3月1日

今春の米韓合同演習は3月7日から4月30日まで実施される。

動員される兵力及び軍備や装備面では米韓合同軍事演習史上最大規模の演習となる。

今年の演習の特徴は、北朝鮮の核・ミサイル基地を先制攻撃する「5015作戦計画」に基づき朝鮮内陸部への進撃、全面戦争をも想定した訓練が実施されることだ。

この訓練のため北朝鮮に上陸する米海兵隊はステルス揚陸艦「ニューオーリンズ」を含む3千隻の同艦のほか、

内陸に進撃した後の作戦をスムーズかつ立体的に行うためオスプレイ(空軍型垂直離着陸型輸送機)も投入することにしている。

本番を前に韓国にはすでに米陸軍1特殊戦団、米陸軍第75レンジャー連隊、米海兵隊特攻連隊、米空軍第720特殊戦術連隊、米海軍特殊戦団など特殊作戦を遂行する部隊が続々と送り込まれている。

予行訓練も始まっており、最精鋭の空挺部隊をパラシュートで降下させ「敵地」深く侵入させる米韓合同訓練がソウル近郊で先月3日から18日まで実施されている。

米韓がこの種の訓練を合同で行うのは初めてのことである。

「5015作戦」の中でもその核心は「斬首作戦」である。

「斬首作戦」とは首を切断するということではなく、奇襲攻撃をかけて、権力指導部を排除し、攻撃を未然に防ぐ作戦のことである。

そのため今回の演習では特殊部隊を極秘潜入させる米空軍のMC-130J支援機が投入される。

「斬首作戦」で要人の暗殺を担うのが米陸軍第75レンジャー連隊である。

同連隊は2011年にイスラマバード郊外のアボタバードにある邸宅でビン=ラーディンを殺害したことから核・ミサイルの除去、制圧だけでなく、命令権を持つ金正恩第一書記ら最高指導部を暗殺、駆除する役割を担うものとみられる。

この「斬首作戦」の存在については韓国軍も否定してない。

韓国国防研究院のプ・ヒョンウク国防戦略室長は2015年8月27日、

「北朝鮮指導部は都市が核兵器で攻撃を受けるよりも、そうした報復(斬首作戦)を脅威と考えているはずだ」と述べている。

また、米軍特殊部隊と共にこの作戦を遂行する韓国陸軍特殊戦司令部(特戦司)も「敵(北朝鮮)の戦略的核心標的を打撃するための特殊部隊の編成を推進している」ことを認めている。

但し、「斬首作戦」の遂行条件はあくまで「北朝鮮が核兵器など大量破壊兵器を使用する兆候がある場合」に限定されている。

この「2015作戦」及び「斬首作戦」に北朝鮮がこれまで以上に危機感を抱いていることは2月23日に朝鮮人民軍最高司令部が重大声明を出したことからも伺いしれる。

最高司令部の名による声明は2013年春の朝鮮半島危機の際にも出されたことはあったが、「重大」という名の付く最高司令部の声明は史上初めてのことである。

北朝鮮は米韓合同軍事演習で「『斬首作戦』に投入される特殊作戦兵力や作戦装備が少しでも動けばそれを事前に徹底的に制圧するための正義の作戦遂行に進入する」として「第一次攻撃対象は青瓦台(大統領府)と反動統治機関に向かう」と朴槿恵政権を威嚇している。

北朝鮮が「目には目で、歯には歯で」で対抗するならば、「正義の作戦遂行」に特殊部隊を動員するのは明らかだ。

では、米国の特殊部隊と北朝鮮の特殊部隊、どちら強いのか?

グリーンベレーやネイビーシールズ、陸軍第75レンジャー連隊など米特殊部隊はゲリラ戦を得意とする世界最高レベルの精鋭部隊である。

どの部隊も優れた戦闘技能を備えていることは言うまでもない。

特にネイビーシールズは「人狩りマシン」.で知られ、テロ組織の幹部を追跡し空から急襲する。

 特殊部隊米陸軍1特殊戦団のデルタフォースはイラクでイスラム国(ISIS)に対する掃討作戦を行っている部隊として知られている。

米特殊部隊は空挺降下による強襲や敵の後方攪乱、爆破工作などを主な任務とし、敵後方での任務にあたるための縦深偵察小隊や特殊訓練を施された水中工作員も有している。

敵地、敵部隊の偵察・斥候、正規部隊の先導といった突入任務の他に空挺部隊の降下地点の選定誘導、爆撃機や攻撃機の爆撃誘導など最前線で後続を確保するための血路を開く任務も主としている。

1990年のパナマ侵攻の際にノリエガ政権を短期間で崩壊させ、パナマ全土を掌握するなどその威力をまざまざと見せつけた。

では、一方の北朝鮮特殊部隊の実力はどうか?

潜水艦による北朝鮮武装兵士浸透事件が起きた1996年、

北朝鮮が米国のグリーンベレー、英国のSAS(特殊空挺部隊)等に比肩しうる強力な特殊戦部隊を育成していたことが判明し、米国を震撼させた。

何よりも驚くのはその数だ。北の特殊部隊の兵力は8万から10万人と言われるが、これは世界でも類を見ない多さだ。

北朝鮮が特殊部隊に力を入れるのは、建国の父、金日成主席がゲリラ戦を得意とするパルチザン出身であったことと無関係ではない。

金主席は1969年1月6日の軍党全員会議で「敵の後方に入って戦えば、原子爆弾よりももっと強力である」と述べたことがある。

特殊部隊で中心的な役割を担うのは、軍総参謀部傘下の偵察総局と矯導隊指導局だ。

中でも矯導隊指導局は特殊部隊の戦力を強化するため1991年に総参謀部直属の部隊として発足し、5万人の兵力を有する最先鋭部隊である。

同局は狙撃旅団、空軍狙撃団、航空陸戦団、軽歩旅団から成る。

狙撃旅団は戦争が勃発すれば、偵察大隊が作成した地図を基に先鋒として敵地に潜入し、ミサイル基地などの軍事施設を破壊し、産業・公共施設を速やかに占拠する役目を担う。

原子力発電所などを戦略目標も攻撃の対象である。

要人の暗殺も任務に含まれる。特殊任務を帯びた対南浸透隊員は夜間の戦闘訓練から格闘術まで訓練は多岐に亘っている。

空軍狙撃旅団は米韓連合軍が使用する飛行場、レーダー、管制施設、地対空ミサイル基地などを襲撃し、北朝鮮空軍の領域確保するのが任務。

この部隊が生まれた背景には朝鮮戦争(195--53年)で瞬く間に制空権を奪われたことへの苦い教訓による。

航空陸戦旅団は敵陣の後方に落下傘降下して味方の主力が到着するまでの間、占領地域を確保するのが任務。

危険かつ重要な任務のため航空陸戦旅団の隊員には自動小銃と実弾300発、それに弾倉4個、手榴弾4個が支給される。

侵入する時にはレーダーにひっかからないようアントノフ2を使って低空飛行する。

ちなみに北朝鮮の特殊部隊は韓国軍に偽装するための訓練も受けている。

軽歩旅団は有事の際、背後を突いてくる米韓の落下傘部隊に対処する。

平時は、平安北道の熙川や咸鏡南道の咸興に駐屯して、毎日超人的な訓練に明け暮れている。

30kgの軍装備を背負って6時間以上行軍することも、2,3日一睡もせず、160kmを歩くこともいとわない。

北朝鮮の特殊部隊隊員の思想教育は特に徹底しており「将軍様の命令とあれば、爆弾を抱えて敵陣に飛び込むことも辞さない」との「特攻精神」で武装されている。

実際に2009年4月に衛星と称する長距離弾道ミサイルを発射した際には日米のイージス艦による迎撃に備え、14人の空軍パイロットから成る特攻隊を編成し、爆弾を搭載して、そのままイージス艦に突撃する訓練を行っていた。

潜水艦による北朝鮮武装兵士浸透事件で韓国軍に唯一拘束された李光洙人民軍偵察局上尉は「死を覚悟している者には怖いものはなにもない。

そのような教育を受けてきた」と筆者に語っていた。

状況によっては米韓と北朝鮮の特殊部隊による正面衝突もあり得るが、要は棒倒しと同じで、先に倒し、先端(敵)の旗(首)を取ったほうが勝ちだ。

辺真一 コリア・レポート 編集長

東京生まれ。明治学院大学(英文科)卒業後、新聞記者を経て、フリージャーナリストへ。1982年 朝鮮半島問題専門誌「コリア・レポート」創刊。1986年 テレビ、ラジオで評論活動を開始。1998年 ラジオ短波「アジアニュース」パーソナリティー。1999年 参議院朝鮮問題調査会の参考人。2003年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~2015年3月)を歴任



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