おどるなつこ 「あしおとがきこえる?」

タップダンサー・振付家おどるなつこの日常から浮かびあがることばを束縛せず書きとめています。2005年開設。

いい風が吹くように

2017-12-10 | おすすめ!
ARCT文化庁芸術家派遣事業「あしおとであそぼう!タップとフラメンコ」で気仙沼でした。
気仙沼には前泊、仙台からの車中3時間は、俳優であり児童劇団主催者でもあるコーディネーター川熊美貴氏と演劇や制作から宮城県内の各地域の子どもたちの状況について喋り倒す。
何もできない移動、だが無駄なような時間こそが必要な時間だと感じる気仙沼往復。たくさんの渡り鳥もみました。



しんと冷えた気仙沼には朝から粉雪が舞い、とても寒い体育館での実施でしたが、聡明な高校生たちと集中した時間をすごしました。高校生!未来をよろしくお願いします!と思った。

これまで、2012年から関わっているこの事業、1回きりのアウトリーチにどれだけの意義があるのか、アーティストのエゴではないのか、内外から様々問いかけながら続けてきたが、今年は、ただいい風になれればいいか、と思っている。こんがらかった藪を獣が通ることで、けものみちに風が通って森をほどよく保つように、こんがらかった心や状況にふっと風穴があくぐらいのことをできたら上等ではないか。何の役にも立たないようなことだけど、ひとりひとりがすこやかな気持ちで日々をおくれたらよいな。



帰路の仙台では光のページェント。たくさんの人で賑わう街は地元愛に満ちている。駅はどっちですか?ときけば3人ぐらいが応えてくれて、ちょっとシャルルビルと似ている。私は部外者としてちびちび関わってきた街だが、かつて私を連れ回した女子に「ここ美味いんだよ」と買ってもらった肉まんを頬張りながら、しみじみする。彼女もこの街を、とっても愛していたな。



宮城県出身の音楽家による県民チャリティコンサートに、フランスのシャルルビルで2回も出会った方がちょうど出演するというので帰路に寄った。ソプラノ勉強中だった彼女は帰国して仙台でご活躍!たのしくて素敵なクラシックコンサートだったし、大ホール満席に近い客席がとてもあたたかかった。いろいろと羨ましい街だ。



私の生まれ育った東京は通過される街だから、もうそこまでの地域愛を保てないのだろうなぁ。東京生まれのよしみ、とか、ないもの。子育て期から暮らしている鎌倉はまだまだ地域性の強い街で、というか魑魅魍魎の力が強いような場所。私にとって愛情を感じる、とてもほっとする地になっている。

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