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仏独将来戦闘機共同開発で合意:イギリスEU離脱後の欧州共同開発計画とフランスの主導権

2017-07-17 20:25:10 | 国際・政治
■ラファール/タイフーン後継機
 世界の戦闘機地図へ大きな影響を及ぼす大きな動きがありました。この決定は日本の戦闘機開発へも大きな影響を及ぼす可能性も高い。

 フランスとドイツは13日の両国閣僚会議後、新型戦闘機を共同開発する方針を発表しました。ドイツの現在の主力戦闘機はイギリスとイタリアにドイツが共同開発した欧州共通戦闘機ユーロファイタータイフーン、フランスは国産のラファール戦闘機と世界中に輸出されたミラージュ2000戦闘機を運用しています。新戦闘機はこれらに続く新世代機となる。

 第六世代戦闘機は日本でもX-2実験機により第六世代戦闘機の技術要素を研究しています。そして意外ですが、第五世代戦闘機開発の先を往く戦闘機開発では日本が比較的進んでいるのです。この背景には冷戦後の今日も中国との緊張関係増大と共に第六世代戦闘機の必要性が非常に高まっており、予算面での優先度が高くなっている結果、といえるでしょう。

 現在、欧州には欧州共同開発のユーロファイタータイフーン戦闘機、フランスのラファール戦闘機、スウェーデンのグリペン戦闘機が製造されています。タイフーンは冷戦時代の1970年代に欧州共同開発が行われたトーネード攻撃機の後継という位置づけで、当初はフランスも参加していましたが、要求仕様と自国製エンジン採用の可否等から離脱しました。逆に言うならば、今回の独仏共同開発はエンジンの選択肢がフランス一択となる事に他なりません。

 フランスは国内に有力な戦闘機メーカーであるダッソー社がミラージュシリーズを長く生産してきました。ミラージュシリーズは北東アジア地域では台湾が採用した程度ですが、戦後第一世代であるミステール戦闘機から現在の等ファール戦闘機までダッソー社は高品質で高性能の戦闘機を開発し続けています。また、エアバスという航空大手もあります。これは国策として航空産業を保護した為ですが、イギリスにもBAEの航空機開発能力を維持する必要があり、例えば日本との共同開発における技術供与等、産業延命へ展開する可能性も大きいのです。

 ミラージュにラファール、そして旅客機では二階建てのA-380から中距離路線のA-320まで、エアバス社は旅客機製造の世界最大手をボーイング社と競う企業で、フランスほど戦闘機開発の実績を持つのはアメリカイギリスとロシアくらいでしょう。ダッソー社、超音速戦闘機時代となった戦後第二世代戦闘機としてミラージュⅢが各国へ爆発的に販売され、多くの地域紛争で威力を発揮したほか、ライセンス生産からコピー機まで生産されました。

 ダッソー社、第三世代戦闘機としては垂直離着陸超音速戦闘機開発失敗などで打開策となった凡庸な性能のミラージュF1が販路開拓に失敗しましたが、第四世代戦闘機であるミラージュ2000は安価で高性能と一定の輸出成果を収め、4.5世代戦闘機であるラファールは開発当初こそ苦戦しつつ、ここ数年でエジプトやインド等へ急速に販路を拡大しています。

 EU離脱をイギリスが決定するまでは現在のユーロファイター戦闘機の後継となる将来戦闘機は当然、ドイツはイギリスと共同開発するものだと考えられてきました。しかし、イギリスがEUを離脱した場合、国際共同生産での部品相互供給での関税障壁が製造費用増大へと繋がり、EU共通安全保障政策から離脱するイギリスとの協同も難しくなりましょう、逆にイギリスの戦闘機製造技術を生存させるには日本との技術協力や日本のF-X開発への参加などが選択肢となる。

 イギリスが欧州将来戦闘機開発に参加しないことは非常に大きな意味があります。それはイギリスとフランスのみが戦闘機に必要なエンジンを開発し供給できるためで、ユーロファイターについてもイギリスのBAEが主としてエンジン技術を提供しユーロジェットエンジンが開発されました。将来、EUに戦闘機エンジンを供給できるのはフランスのみとなる。

 ラファールの改良型やラファールを原型としてステルス技術を加える等フランスが提示できる計画はありますが、ドイツには無く、フランスの提示案にドイツの要求と提示できる技術を加える他ない。こういうのも、エンジンが無ければ戦闘機は離陸できない。戦闘機は様々な構成要素から航空優勢確保と戦力投射というシステムを構成しますが、電子技術や機体制御技術の重要性は増すばかりである一方、大原則として戦闘機はエンジンがなければ離陸できません。このエンジンを有するが故のポテンシャルは大きく、フランスが開発の主導権を握る事となるのでしょう。

北大路機関:はるな くらま
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1 コメント

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Unknown (ドナルド)
2017-07-18 23:59:53
アメリカで、やはりF15C/Dの廃止が議論に登っているようです。
ttp://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-14
もちろん未確定ですが、興味ふかく注視しておく必要があると思います。もしこれが実施されると、日本に2つの影響があると思います。

1:F15C/D系の整備補給体系が苦しくなる。

F15E/Fがあるので、F15系の兵站が完全に止まるわけではありませんが、一部の装備をF15E/Fと同系列に置き換えるなり、ライセンスを買って国内で整備するなり、対策が必要かもしれません。まあ、200機ものF15を持ち、ぶっちゃけ日本だけになっても、F2よりも有利ですし、サウジアラビアやイスラエルにも100機近くあるので。。。

2:F-4EJ改と、F15J pre-MSIP、合わせて130機ほどと、一気にF15C/Dで置き換えてはどうでしょう?米軍F15C/DはAMRAAMが使えることから、MSIP相当と思いますので、その改造(日本化)の方が、pre-MSIPの大規模改造より良いかと。

戦闘機定数の増加には私は慎重なのですが、(南西諸島でのA2AD体制の構築の方が重要と考えているから)、旧式のF4EJをさっさと全廃できること、開発がまだまだ続いていて近い将来近代化が必須のF35Aの調達を5-10年遅らせることで、近代化予算分を削減できる=機体そのものの数を増やせることなど、メリットは大きいと思います。

F-2 90機(3個飛行隊+教育)と、F15J 改 100機(4個飛行隊)、F15C/D改130機(4個飛行隊+教育)、F-35A 22機程度(1個飛行隊)で当面を凌ぐアイデアです。




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