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北朝鮮弾道ミサイル4発日本海着弾!在日米軍基地標的のミサイル演習が我が国EEZ内に命中

2017-03-07 23:51:43 | 防衛・安全保障
■核攻撃脅威顕在化への対応策
 弾道ミサイルがまたしても日本海へ発射されました、繰り返される北朝鮮の凶行です。しかし、今回はこの脅威へどう立ち向かうかについて、少し考えてみましょう。

 北朝鮮が6日早朝、弾道ミサイル4発の発射実験を行いました。朝鮮半島西部平安北道東倉里から4発の弾道ミサイルが移動発射装置から投射され、1000km程度を飛行した後、日本海へ落下しました。この4発のうち、3発は秋田県沖の我が国排他的衛材水域へ落下、船舶や航空機への被害は出ていませんが、国連安全保障理事会決議へ明白な違反行為です。

 北朝鮮によるミサイル実験は今回北朝鮮当局によりミサイル演習であると明言され、日本国内の在日米軍基地を攻撃目標としたミサイル訓練であると明言されています。既に北朝鮮は日本を射程とするノドンミサイルを1993年に完成させており、実に24年の月日を経ています、継続的にミサイル開発を進めており、脅威は看過できるものではありません。

 弾道ミサイル実験再開、しかも我が国排他的経済水域へ同時多発的に到達する実験、この実施の背景には現在韓国軍とアメリカ軍が展開中である米韓合同軍事演習への牽制という視点、また前指導者長男金正男氏暗殺に関するマレーシアVX散布事件への国際社会反発の牽制、との分析があるようですが共通する点は双方共日本の対外政策と無関係ということ。

 この上で、そろそろ我が国としては防衛安全保障政策上の選択肢を全て選択する財政的限界を踏まえ、可能な選択肢と、その実現へ必要となる防衛力整備や民間防衛施設整備に要する費用、即ち現在の防衛予算やその他へ積み増ししなければならない費用負担などを明確に示し、その上で政策決定者へ選択を可能とする体制をまず示す事ではないでしょうか。

 技術的な部分から、1990年代に北朝鮮ミサイルとして日本列島上空を飛翔し太平洋上に落下したテポドン1号実験の際に、ミサイル防衛は特に音速の十倍近い速度で落下し、しかも発射地点が朝鮮半島である場合には発射から日本本土へ命中までの猶予時間が十数分程度であった点から、迎撃は銃弾を銃弾で撃ち落とすようなものとして不可能とされました。

 迎撃技術は1990年代では不可能だとは言われたものの、2000年代に入り一定の目途がつき、イージス艦搭載のSM-3迎撃ミサイル、ペトリオットミサイル発射機を利用するPAC-3,弾道ミサイル迎撃用ミサイルTHAADと、開発が進み、極めて実践的な状況での迎撃実験、発射位置と目標位置に時間を訓練参加部隊に明かさない状況では成功実績が増えてきます。

 それでは、今回の北朝鮮ミサイル訓練を何故迎撃できなかったのかと問われれば、弾道ミサイル防衛の想定範囲外に落下した為です、ミサイル実験に例えれば実験施設とは全く違う別の場所で落下し、しかも訓練中の期間外に射撃が為された、という状況です。問題があるかと問われれば、実情、求められない任務であり問題がないというものが正解となる。

 日本国民全体の認識として、政府が自衛隊に求めている弾道ミサイル迎撃能力と、国民が印象とするミサイル防衛能力に格差がある、という状況が否めません。本土防空に当たるPAC-3の射程は15km、これは射程100kmの対航空機用ミサイルシステムを用いている為、整備は安価であるものの、射程に限界がある拠点防空用の防衛システム故との事情です。

 ペトリオットミサイルPAC-3は本来弾道ミサイル攻撃から拠点飛行場や指揮中枢施設等を防護する為の器材であり、都市防空等を実現するには射程250kmの高価なTHAADミサイルシステムが必要となりますが、現在の防衛予算では調達できません。しかし、国民目線からはミサイル防衛の完成を日本全土の防衛体制確立と勘違いしている節が感じられます。

 脅威を前に選択肢は幾つかあります、第一に現在のミサイル防衛を完璧な水準とすべくイージス艦増勢とTHAADミサイルの新規調達へ必要な防衛費の増額を行う。第二に報復的抑止力として現在の指揮中枢へのミサイル防衛に留めると共にトマホーク巡航ミサイル等を整備し報復力を抑止力とする。第三に日本全土へ核シェルターを整備し避難訓練を行う。

 イージス艦の増勢ですが、日本海洋上と南西諸島付近へ2隻のイージス艦を常時遊弋させる事でSM-3による防空の傘を展開できます。ただ、海上自衛隊には6隻のイージス艦がありますもののイージス艦の任務は艦隊防空です、地上配備型イージスアショア等が存在しますが固定基地へ配備する事は巡航ミサイルその他の脅威への脆弱性を払拭できません。

 この点で、自衛艦隊直轄としてイージス艦3隻を運用する護衛隊2個を新編し、8200t型ミサイル護衛艦を現在計画されている2隻に加え更に6隻の8隻を建造、乗員をアメリカ海軍戦略ミサイル原潜に範を採り一隻あたりブルーチームとゴールドチームの二組を準備させ、ミサイル防衛を常時イージス艦遊弋により実施できる体制の構築が必要となります。

 監視体制も必要です。具体的にはRQ-4無人偵察機か滞空時間の大きなP-1哨戒機等の派生型として赤外線探知機能を搭載した偵察型を開発し、弾道ミサイル発射を即座に探知するべく、常時飛行監視体制を構築する必要性が生じます。少なくとも現在のRF-4偵察機や無人機偵察システムでは常時広範囲の警戒監視任務には対応できず、想定もしていません。

 報復的抑止力は精密誘導型の巡航ミサイルを敵指揮中枢へ命中させる能力を構築する事で報復への警戒から攻撃そのものを抑止するものです、潜水艦発射型トマホーク等を整備する、若しくはP-1哨戒機への巡航ミサイル搭載が想定できるでしょう。核シェルター建築という選択肢は、防衛予算外の選択肢で毎年核攻撃避難訓練を実施する事で対応できます。

 現在日本へ及ぶ脅威は、弾道ミサイルへの核兵器を搭載したものによる本土核攻撃、南西諸島および西日本への大陸からの限定侵攻及びミサイル攻撃、更に米ロ対立の激化を契機とする北日本地域への着上陸及び限定侵攻脅威の再興、更にテロリズム攻撃、台湾海峡有事及び南シナ海有事のシーレーン攻撃等多岐に及びます、現時点の防衛予算では全ての脅威へ国民が専守防衛としての犠牲を強いるものであり、この点の認識を共有しなければ、次の議論へも進めないでしょう。

北大路機関:はるな くらま
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