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【検証:JR北海道危機07】JR北海道と名鉄の沿線都市規模&札幌駅と京都駅の旅客数

2017-05-15 21:05:48 | コラム
■鉄道輸送需要と旅客数
 JR北海道を取り巻く厳しい実情はこれまでに掲載しましたが、沿線人口と鉄道旅客数という視点からこの視点を更に見てゆきましょう。

 北海道の主要10都市は札幌市1,914,434 名、旭川市347,275名、函館市279,110名、釧路市181,206名、苫小牧市173,406名、帯広市167,860名、小樽市131,970名、北見市125,628名、江別市123,751名、室蘭市94,531名、となっています。広大な北海道はかつては炭鉱と農業で栄えましたが、廃坑により産業転換と人口過疎化を余儀なくされました。

 鉄道という視点から愛知県を視てみますと、名古屋市2,263,907名、豊橋市376,861名、一宮市375,621名、岡崎市372,472名、春日井市305,662名、豊川市181,822名、安城市178,738名、西尾市165,318名、小牧市147,059名、刈谷市145,744名、全て名鉄で結ばれていますので北海道人口が許容できる鉄道網は名鉄規模までということかもしれません。

 北海道は鉄道旅客輸送需要が低いのか、北海道第二の都市である旭川市の玄関に当たる旭川駅は一日乗車人員4,204名、というところでした。4面7線ホームの高架駅で函館本線と宗谷本線を繋ぎ富良野線への拠点駅です。これがどの程度少ないかといいますと、阪急特急停車駅桂駅が50,691名、撮影名所で普通電車のみ停車する西京極駅でも18,376名です。

 函館駅、新函館北斗駅から快速電車で結ばれ旅客需要が高まる北海道第三の都市、この旅客輸送実績が一日当たり3,004名と旭川駅よりも少ないのです。どのくらい少ないのかといいますと、京都の京福電鉄嵐山駅が一両編成で運行して一日当たり2,559名の利用者がいます。隣の阪急嵐山駅が一日7,803名、旭川と函館の合計は嵐電と阪急の嵐山程度、と。

 札幌駅で2015年の一日当たり乗車数では95,288名となっていまして、人口が札幌よりもかなり少ない京都市の玄関に当たる京都駅を比較に出しますと、1日平均の乗降人員がJR西日本200,044名と新幹線を運行するJR東海37,000名に近鉄82,414名と地下鉄121,475の各社合計で44万名、阪急烏丸駅の一面ホームでも一日当たり85,039名の利用者がある。

 JR北海道が単独で維持できる北限としたのが名寄駅です。自衛隊の第3普通科連隊等が駐屯する名寄市ですが名寄駅の利用者を視てみますと、利用者は乗車人員で441名、2013年の数字です。京都でいいますと叡山電鉄鞍馬駅が一日当たり732名、舞鶴基地が程近いJR西日本東舞鶴駅が1,482名、西舞鶴駅が1811名です。名寄駅は拠点駅としても少ない。

 北海道、日本最北端の駅は稚内です。稚内駅は旭川駅から北方へ259km、特急スーパー宗谷の始発駅ですが、利用者は乗車が一日当たり95名と厳しい状況です。しかし、旭川から稚内までの259kmとは、東海道新幹線で京都駅から名古屋駅を越えて浜松駅までの距離に匹敵しますので、この地域は鉄道が無ければ道路網だけでの移動には限度があるでしょう。

 それではなぜここまで路線網が広がり赤字となったのかと問われれば、それは産業構造の転換です。北海道には石狩炭田として美唄・夕張・三笠・赤平・芦別・歌志内の巨大炭鉱がありました、日本の戦後は炭鉱からのエネルギーにより軌道に乗りましたが、坑道作業員と住宅施設に家族住居と小売業に娯楽施設が一体となり、搬出に鉄道が用いられました。

 現在稼働する最大規模の炭鉱は釧路炭田ですが、僅かに発電用50万トンを掘削しているに過ぎず、戦後最盛期には6000万トンに迫った採掘量の往時の面影はありません、しかし、炭鉱が多数操業されていた時代には、石炭を輸送するには貨物列車の他に手段がなく、その鉄道設備が人員輸送にも応用できたため、北海道の長大な鉄道網を展開できたわけです。

北大路機関:はるな くらま
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2 コメント

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Unknown (流線形)
2017-06-01 00:25:33
管理人様
第三者である部外者でも検証できるAs-Isはここまでだろうと思いますし、恐らく、内部の管理会計を掌っておられる方々も、精度の細かさは別として、同じような認識を持っておられるのではないかと推察されます。
問題は、次です。
どういった対策を考えられるかというところです。
自力で対応できる範囲、自治体の協力を仰ぐ事項、国家政策レベルでの対応を要する対応の大きく3つのレベルでの対応があり得ると思われます。
自力で対応できる範囲というのは、当然ながら既に手を付けているし、限界に到達している印象があります。また、その副作用(運行遅延、トラブル増加)も顕在化しております。
自治体の協力というフェイズでは、上下分離、バス代替などの手段を検討するということでしょう。ただ、これも即効性、特効はないというのも明らか。
やはり、国レベルでの対応が必要ということなんでしょうが、これは、費用対効果が重視されるとなると、優先度が落ちてしまうので、実現は厳しいのでしょう。
となると、Liquidationが視野に入ってくるのではないかと思います。
ただ、いきなりのLiquidationは、インパクトが大きすぎるので、軟着陸を目指すのでしょう。
この軟着陸でさえ、かなりハードルが高いというイメージを持っております。
問題認識の共有が重要 (はるな)
2017-06-08 23:53:02
流線形 様 どうもです

本特集の記事は、JR北海道は経営が厳しい、という報道は幾度か聞いていましたが、全線が危険に曝されるほどの危機得尾孕んでいると共に、生残れるとしても現状では半分、という状況が、広く問題認識が共有されていない、という部分から始まっています

この上で、ご指摘の通り、上下分離、バス代替、という視点が代替案として考えられますので、此処から次回の論述に広めたいと思います。というか、いま、エアポート快速、快適な721系の代替にロングシートの733系が使われているのですね、これも経営合理化の副作用の一つなのかな、とも思ったりしました

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