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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

イエメン沖ミサイル攻撃事案、アメリカ海軍トマホーク巡航ミサイル反撃とイラン海軍展開情報

2016-10-17 21:51:21 | 国際・政治
■緊張高まる紅海海上航路
イエメンの反政府武装勢力フーシ派による紅海へのミサイル攻撃、四度目が実施されました。

アラブ首長国連邦高速輸送船への攻撃、更にアメリカ海軍駆逐艦への攻撃に加え、二度目のアメリカ海軍ミサイル駆逐艦に向けてのミサイル攻撃に対しては、アメリカ海軍がトマホーク巡航ミサイルにより反撃を実施しましたが、これに続いて三度目の攻撃が実施されています。アメリカ海軍最初の反撃は二度目のミサイル攻撃がミサイル駆逐艦メイソンに対して実施された事を受け開始されました、フーシ派占領地域のレーダー施設三カ所に対し、ミサイル駆逐艦ニッツェよりトマホークミサイルによる攻撃を実施、これを無力化しています。しかし、15日土曜日に三度目の攻撃が行われた、とのこと。

アメリカ海軍駆逐艦メイソンは15日、複数のミサイルによる攻撃を搭載するSPY-1レーダーにより察知しました、メイソンはアーレイバーク級ミサイル駆逐艦dねイージスシステムを搭載し艦隊防空任務に当たる駆逐艦です。ミメイソンに対するイエメン側からのミサイル攻撃は三箇所から同時に実施され、陸上内陸部の二箇所、として海上の艦船から発射され、イージス艦を攻撃したとの事です。ただ、イージスシステムは21目標との同時交戦能力を有しており、亜音速のミサイルであれば更に多いミサイルへの対処能力を有しています、メイソンは艦対空ミサイルを発射し、これを撃墜しました、同時多数の目標へ対抗するイージスシステムの本領発揮といえるでしょう。

イエメン内陸部の目標に対し、アメリカ国防総省によれば別のミサイル駆逐艦からトマホーク巡航ミサイルによる報復攻撃が実施されています。フーシ派武装勢力はハディ暫定大統領派に対抗する反政府武装勢力で、一時期は政党政府を運営した時代がある為、正規軍の一部が合流、内戦を激化させています。このなかで、政府軍を離反したフーシ派武装勢力にはレーダー管制の下での地対艦ミサイル等の運用能力やミサイル艇の運用能力を有しているとみられ、今回の攻撃が実施されていますが、全体で四度目、アメリカ海軍に対して三度目のミサイル攻撃も、二度に渡りトマホークの反撃を受ける事となっています。

紅海はスエズ運河を経てアデン湾とアラビア海及びインド洋に繋がる国際重要航路が通り、仮にフーシ派による地対艦ミサイル攻撃やミサイル艇による船舶攻撃が商船に対して実施されるならば、欧州とアジア地域を結ぶ海上航路へ重大な影響となる事態です。海上攻撃への脅威としては現在自衛隊が実施していますソマリア沖合族対処任務海上自衛隊派遣が挙げられるものの、イエメンは紅海を挟んでソマリアの対岸にあり、状況によっては日本が実施する会場護衛任務へも影響が及ぶ可能性を危惧していましたが、アメリカ海軍のトマホークミサイル攻撃により鎮静化に向かっているともいえるでしょう。

しかし、イラン海軍がこの海域へ展開の兆候がある為、状況は新展開しつつあります。フーシ派武装勢力はイラン政府からの武器援助を受けているとされ、このためハディ大統領をサウジアラビアなど中東有志連合が支援、実質的な代理戦争となっている状況です。ここでイランの国内報道によれば、イラン海軍が艦艇の派遣を開始したと報じました。イラン海軍はもともとロシアから導入したキロ級潜水艦を例外として沿岸作戦を実施する能力しかなく、近年、高速フェリーの設計を元にミサイルを搭載した自称国産駆逐艦等を整備していますが能力は限られています、が、れっきとした海軍艦艇であり、国際法上の位置づけは大きくなります。

アメリカ海軍に対するイエメン側からの攻撃が今後も継続する場合には、当然現時点でソマリア沖海賊対処任務よりも国際航路への影響度は大きくなります、こういいますのも本年は海上自衛隊をはじめ各国海軍有志連合の活動により海賊事案は最盛期の五百分の一にちかい僅か1件しか発生していません、自衛隊も護衛艦派遣を1隻縮小するほどですが、海賊以上に対艦ミサイルによるシーレーンへの無差別脅威は危険度が高くなります。そして、アメリカ海軍とイラン海軍との対立、これは新たな紛争の可能性を意味します、この海域で仮にアメリカ海軍との間で緊張状態が発生すれば、この緊張はイランに隣接するペルシャ湾、世界最大のタンカー航路を通すホルムズ海峡へ飛び火しかねません。相次ぐミサイル攻撃、イラン海軍の出現、この海域の状況は当面予断を許さないでしょう。

北大路機関:はるな くらま
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