北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

巨大災害,次の有事への備え 12:南海トラフ地震、鉄道輸送力と災害時への事前整備

2017-05-18 22:18:23 | 防災・災害派遣
■国家規模災害という有事へ
 鉄道、という部分から災害輸送を考えてみましょう。東日本大震災では実際、貯油施設の被災により京浜地区から被災地へ日本海縦貫線を経由する燃料輸送救援列車が運行されるまで防災組織でさえも燃料確保に難渋しました。

 大規模災害対応輸送調整、という視点ですがその為には第三セクター鉄道や地方鉄道路線が震災発災時点で廃線になっていては利用する事が出来ません。このなかで、震災救援での貨物輸送と共に鉄道貨物輸送全般での課題について考えてみましょう、こういいますのも鉄道貨物輸送に対応できない路線では、震災時に輸送へ転用する事が出来ない為です。

 貨物列車ですが、編成重量は1300tを超えるものとなります、一両当たりの重量はそれほどではないのですが、この貨物列車の通行は路盤を大重量の車両が通行する事で著しく路盤に負担を与える事となります、震災輸送に伴う路線路盤復旧費用などは、震災復興予算から政府が捻出する方針を示すか、負担の無い枠内での輸送に留めるか、討議が必要です。

 具体的には保線費用について、貨物輸送などへ転用可能な路線、つまり標準軌の民鉄路線は除く、という意味ですが、民鉄の保線費用や修繕司祭購入について、震災対策費用、道路耐震工事に準じた水準で支援する、また、民鉄の橋梁耐震化工事や補修費用についても、その路線の迂回線としての評価も含め、費用で公的支援を受けられて然るべきもの。

 加えて貨物列車は電気機関車がけん引する場合、その大きな重量から大量の電力を必要とします、この為、変電所容量の限界を路線によっては越えてしまうほか、き電区間においてほかの列車を運用できなくなる可能性があります。これは路線によってはそれほどの輸送需要が無いという上限から変電所機能が整備される為ですので、致し方ありません。

 この部分、国土交通省等の機関がディーゼル機関車を保有するという選択肢はりますし、最大の貨物輸送量力をもつ日本貨物鉄道へ例えば、電気機関車ではなくディーゼル機関車購入へ補助金や免税措置を行う等、政治としての国家の危機管理能力整備に充てるのか、若しくは全国の鉄道施設変電所整備へ政府負担を行うのか、議論の余地があるでしょう。

 そこまで行う必要はあるのか、という声もあるかもしれませんが、例えば戦前、日本海軍は大型貨物船を有事の際に空母転用を前提として補助金を出した事例がありますし、近年はイスラエル軍等が戦車輸送車の必要性を第四次中東戦争において痛感した結果、戦車輸送車へ転用可能な民間トラックへ政府補助金が出ました、事例がない訳ではありません。

 もう一つ、保線や復旧にあたる鉄道各社の保線要員を統合運用できないか、ということ。大規模災害対応輸送調整を行う際に、統合して運用する事は出来ないか、という事です。戦時中の徴用を思い浮かべるとして平時からの法整備には慎重な議論は必要でしょうが、鉄道各社から協力企業の要員を含め統合運用できるならば復旧もそれだけ早くなります。

 鉄道復旧は、路盤の再整備からレールの再敷設と固定にバラストの安定化、その上で架線と信号設備や列車安全装置の復旧に着手します、後半部分はタブレット輸送など代替手段はありますが、前者は軌道確保という意味で鉄道の根幹部分です、そしてこの部分は各社においてほぼ方式が統一されていますので、要員同士の相互協力は可能な分野といえる。

 もちろん、被災地域での復旧には危険が伴いますし、被災地までの優先通行や宿泊地域や資材運搬と調達の確保等、こちらも公的支援の裏付けが必要ではありますが、この負担は財政難の我が国において確かにに大きいものの、震災復旧を早め犠牲者を局限化することこそが、国家の危機管理として必要な施策でありまして、検討の余地はあると考えます。

北大路機関:はるな くらま
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