北大路機関

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F-35Aと重なる航空自衛隊調達計画,X-2試験とC-2&E-2D調達にF-15J&T-4後継機選定

2017-06-19 21:25:47 | 先端軍事テクノロジー
■防衛予算確保課題の十年
 F-35が日本の空を飛びましたが、様々な航空機の後継機計画が多様な理由で遅れ、更に新しい装備の調達が決定、これから10年間は予算確保が課題となります。

 X-2に初飛行の翌年に当たる今年、F-35戦闘機の日本FACO初飛行、いよいよ第五世代戦闘機の次代が日本にも到来しましたが、これによりようやくF-4EJ改戦闘機を置き換える事が可能となります。F-4EJ改は改修を重ねていますが原型は1959年にアメリカ海軍空母艦載機として初飛行した機体であり、優秀な機体ではありますが現代航空戦闘には古すぎる事は否めません、漸く置き換わる。

 しかし、航空自衛隊は様々な航空機後継機を必要とする時期が重なっています。これはX-2vsF-35という構図が成立するかもしれません、予算的な意味で。従来はここまで重なる事は航空自衛隊創設以来無かったのですが、元々はF-4EJ改後継機は本命であったF-22戦闘機導入が難航し、導入不可を経て正式に選定し、F-35戦闘機へ次期主力戦闘機が決定するまで時間を要しすぎました。今回はこの点について考えてみましょう。

 X-2実験機、航空自衛隊ではF-2支援戦闘機後継機として将来のF-3戦闘機へ、必要とされる第五世代機以降の戦闘機技術、第六世代戦闘機への構成要素を研究すべく各種将来戦闘機構成要素を技術開発し蓄積しましたが、先端技術実証機として包括技術試験を航空機形状の試験器材により実飛行を経て研究すべく昨年よりX-2実験機による試験を実施中です。

 F-2支援戦闘機後継機の研究が進む最中ですが、航空自衛隊ではF-2支援戦闘機の改修と、将来対艦戦闘へ対応させるべく各種試験を継続中で、この目玉事業としてXASM-3対艦ミサイルの開発を進めています。超音速で航空母艦などによる新しい脅威へ対応し得る優秀装備を期していますが、大型でありF-35には搭載出来ずF-3の開発を加速させるでしょう。

 F-15戦闘機後継機、こちらについても進めなければなりません。アメリカ空軍での初飛行は1968年とこちらも決して原型は新しい機体ではなく、航空自衛隊向けのF-15Jは1981年に配備開始、延命改修と近代化改修は継続されていますが初期型の機体は近代化改修に対応しない構造で、防空能力を維持するには初期型のF-15の代替としましてF-35戦闘機を追加調達しなければなりません。

 T-4練習機は200機以上が配備され操縦特性が良好で戦後の傑作機と云い得る機体ですが、こちらも1985年に初飛行、比較的新しい機体ではあるものの第五世代戦闘機の操縦要員を養成する想定はしておらず、また、練習機という構造上長期間の運用を想定し補強し得る部分があるかについては未知数で、延命改修を今後行わないとすれば200機以上生産したT-4の後継機も留意事項の一つ。

 C-2輸送機の美保基地への配備が開始され、配備開始早々誘導路逸脱事故に見舞われましたが、C-1輸送機の後継機として順次生産を重ねなければなりません。更にE-2C早期警戒機も1980年配備開始で後継機としてE-2Dの調達が開始されましたが、航空自衛隊は早期警戒機増勢を進めている為に調達数は重なり、UH-60J救難ヘリコプター代替も始りました。

 早期警戒機の増勢は南西諸島への中国脅威を受けてのものですが2010年代に決定、一方でC-2輸送機の開発が実に四年も遅延し調達が重なってしまいました。更にここに前述のF-35戦闘機画定への時間を要した事で、F-35調達とC-2調達にE-2D調達が重なり、並行してF-15J後継機選定とT-4後継機選定を実施、F-2後継機のF-3開発を並行せねばならない。

 航空機調達は巨額の費用が必要となりますが、航空自衛隊以外に陸上自衛隊は島嶼部防衛と再来した北方脅威への対応、海上自衛隊も汎用護衛艦勢力の再建とP-1哨戒機調達等が並びます。南西諸島防衛という新しい任務が提示されましたが、長期計画に当たる防衛計画の大綱が短期間で改訂を重ね、指針を決められぬまま大型調達計画が放置されたかたち。

 予算は有限ながら、航空機だけでもこれだけ重なる状況です。しかし、予算不足を理由に長期少数調達方式を採れば、航空機製造ラインを維持する費用だけでも積み重なる事となりますので、整備計画が長期的に破綻しかねません。厳しい財政状況であっても、F-35調達とE-2D調達にC-2調達、軌道に乗るまでこれから十年、予算確保が大きな課題です。

北大路機関:はるな くらま
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15 コメント

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Unknown (国産)
2017-06-19 22:57:08
アパッチみたくなったりして
Unknown (あきつ丸)
2017-06-20 15:28:52
最近の報道で、防衛費の増額が自民党から提言されていましたので、以前よりも多くの機体が調達できるかもしれませんね
Unknown (国防)
2017-06-21 14:19:39
自民党の国防費増額提言は岸内閣時代から絶え間なく続いてますよ、要は提言で終わるか、内閣が覚悟を決めて大幅増額の予算を組めるよう閣議に出すか
Unknown (ドナルド)
2017-06-21 23:56:06
はるな様

非現実的な計画を立てることに、意味はないと思います。V22やAAV7、グローバルホークを無計画に導入したことで、すでに資金は逼迫しており、戦闘機については「次善の策」を検討すべきと思います。

1:XASM3はF2で十分ではないでしょうか?さらに必要とあれば、F15を改造。(脱線ですが、F35にも翼下なら搭載可能な重量です。ステルス性は、F2やF15にもないので、何一つ失われるものはない。また、超音速ASMをF35にインテグレートできれば、輸出も期待できるかも)。

2:C2は個人的にはもはやV22の犠牲になったと考えています。代わりにC130H後継も兼ねて、C130Jを買うのが良いかと。北や中国の脅威を考えるのなら、海外派遣を考えた大きな航続距離よりも機体数が大事。

3:F3の開発は、膨大な予算と時間がかかりますので、できうる限り後回しにすべきと思います。

・F35の導入数は44機を予定していますが、これを110機程度に増やし、一部のpre-MSIP代替にするのは賛成です。さらに言えば、F4やF15 pre-MSIP をF35で代替するのですから、20機の飛行隊定数が16機になっても問題ないと思います。110機で、5個飛行隊(前線16x5 = 80機+整備+予備)は担えるかと。(シミュレータがあるので訓練用の機体は最小限で良いはず)

・F2改で3個飛行隊維持。課題は多いですが、2017年にもなってF4改を運用していることよりは格段にましでしょう。

・こうすると、F15は4個飛行隊+教導隊+教育隊でよくなりますが、120-130機は必要と思います。MSIP102機では足りないので米空軍の中古F15を30機ほど入手する努力をすべきかと思います。ダメなら、pre-MSIP機を30機ほど魔改造するか、F35をさらに22機ほど増やして、6個飛行隊とするか。

・F3としては、F2改とF15 MSIP改の後継を目指すので良いかと。。。
Unknown (Unknown)
2017-06-22 22:15:24
3ヶ月前から読まして頂いてます。まだ軍事の知識は僅かですが軍事系ブログで魔改造という単語が出ると何故か残念な気持ちになります。
防衛関連メーカーの人が使っている業界用語なら私の認識不足ですが。
予算、兵器の単価等、数字的な側面からも切り込んでもらえますと分かりやすいです。
これからも楽しく拝見させて頂きます。


これからも楽しく拝見させて頂きます。
魔改造って (初心者)
2017-06-22 22:29:55
軍事系ブログを読んでると魔改造という単語が出るたびに残念な気持ちになります。
Unknown (ファッツ)
2017-06-22 23:09:22
ドナルドさんへ

変わりに如何しろと突っ込まれると答えに臆してしまうのですがF-2改とC-2調達中止は現実味が無いような…。予算削減の為にF-2を持たせるならF-4のようなある程度の改修で安く済ませて一番最後の案に持って行くかと。C-2は多大な開発費を掛けて既に生産配備が始まり中期防にも明記した以上は今更オスプレイの配備を決めただけで中止は無理があるかと思います。少なくともC-1置き換え+α(電子戦訓練と情報収集)は確実な気がします。

只、予算の不安に関しては同意見です。空自が此だけの大調達の中で海自も仕上げの大物なイージス艦追加とDEXという不確定要素、陸自の方は島嶼防衛に大シフト(強襲揚陸艦構想は海自にも関わる)と本当に今のペースで予算工面は大丈夫かと思わなくもありません。最近になってイージスアショアも加わりましたし…。まぁ、素人の自分として言えるのはTHHAD追加は暫く先になりそうとしか言えないのが何とも。この頃は自民政権もいつもの気の緩みと緩慢で憲法処か選挙大丈夫かと不安ですし…。
Unknown (流線形)
2017-06-22 23:48:01
単価ですか、これ、タバコの値段のように決まった値段って無いんだそうで。
一応、このレベルというのはあるんですけどね。それが予算に織り込まれるのですが、実際のところは、ちょっと違うんだそうです。
まあ、そう大きく外れないというか、外れないようにコントロールする部署があるんだそうです。
ただ、現金主義の政府決算というのは、結構、ズルズルと遅くに出るので、実績はタイムリーな情報じゃないです。
なんで、金額の話は、予算ベースでの話になるんでしょう。
ちょっと、突っ込んで話をすると、LCSのようにFixed Priceでの契約による原価低減のインセンティブを与える施策も必要なんだろうと思います。
但し、そのインセンティブが機能する生産ラインがフル稼働するくらいの調達品に限りますけど。
(そんな調達品が有るのかというツッコミは無しです。)
Unknown (国防)
2017-06-23 00:00:03
MV22買うのでC2少なめにする ↓

C130J30で安くすませるお↓

意外にC130高い、C1延命だ↓

空輸力全く足りない、少しだけC17リースだ↓

そしてMV22とC130HとC130J30とC2とC17にC1改が並ぶわけね
Unknown (流線形)
2017-06-23 01:04:10
リース、一般的に確かに安いというイメージはある。
しかし、本当に安いのか?
車のように、中古マーケットがあり、しかも、そのマーケットに数多くの購入希望者が安易にアクセスでき、かつ、在庫回転が早い商品で、汎用性があれば、高めの中古価格でも売れる見込みが立つので、リース期間満了後の残価を高めに設定する事で、リース期間中の賃借料を抑えるという事は有り得る。
しかし、防衛装備品について、そのような条件に当て嵌まる事は稀だろうと思います。C-17の導入国数を見ると、当てはあらないと言えるのでは?
リースだからと言って、安いとは限らない。
これ、経理の判る人なら当然の事。
だから、IFRS16の今般の改定において、あらゆるリース取引を固定資産の取得と同様の処理をもとめているわけ。
実態として、借物は有り得ないとしている訳。
会計基準とは違うと仰るかもしれないが、売り手、もしくは貸し手の立場に立てば、損を被るような取引なんかしないというのは自明。
よって、転売可能性が低い商品について、安価なリース取引は有り得ず、貸し手は、初回の借り手から初期投資費用の回収並びに、金利コストの回収を図る、更には利潤も求めると言うことになるので、結果として購入に比べ高く付く。
内国であれば、政府よりも信用力の高い存在はない。
よって、金利コストは、国債利回より高くなる。政府は損するわけ。海外の大手金融を含め、日本政府よりも信用力が高い会社を探すのは難しいと思いますよ。
Unknown (ドナルド)
2017-06-23 11:25:04
ファッツ様、国防様、流線形

コメントありがとうございます。

私のコメントは、「C-2は中止」というわけではなく、「20-40機」と言われているものが20機に、C130Hの代替はC130Jになるのでは、という意図でした。

#V22がなければ、C130H代替もC2という解はあり得たかもしれませんが。。。V22はC130Jと同価格帯の機体ですからね。。。

> そしてMV22とC130HとC130J30とC2とC17にC1改が並ぶわけね

MV22とC130H/J (代替中は2機種)、C2 が並ぶだろうと思います。C1延命するくらいなら、C130H延命でしょうね(海自もC130H相当の機体を使っていますし)。

C17リースはPKOがあんまりない以上、ないのではないでしょうか。今まで通り(例えばロシアからの)「短期チャーター」で十分と思います。
Unknown (Unknown)
2017-06-25 22:13:06
F15Cの延命、どのくらい現実味があるのか、B52については2040年代までの延命をよく聞くが、こちらの方は未知数
調達計画の長期立案 (はるな)
2017-06-27 23:32:20
国産 様 こんばんは

ご指摘の通り、AH-64Dのように調達計画を急きょ変更し破綻しないよう、長期立案を明示して確実に装備化を進める施策が必要ですね
NHK報道 (はるな)
2017-06-27 23:34:25
あきつ丸 様 どうもです

防衛費増額の提言が自民党部内でも出ていたことはNHKで報じられていましたが、実際、どこまで増やせる余地が今の財政状況にあるのか、防衛産業への還元効果を含め事業評価を明確に示した上で、負担以外の部分に焦点を充てなければ、増額という結論ありきの討議は難しいかもしれません
防衛予算増額常套! (ニワカのミリオタ)
2017-06-28 20:51:30
空自は、常に3機種の戦闘機を要求してきました
理由はともかく、これを無条件に認めるならば、外国機の輸入、共同開発機、国産機の3機種とするのが当然ではないでしょうか?
外国製はF35で決まりならば、F-15の後継は国際共同開発機、F-2の後継は国産機とするのが当然でしょう
予算?
例え、財政が逼迫しても、国債が暴落しても、やらなければならない事は、やらねばならない、そう考えます(キリッ)

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