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新防衛大綱とF-35B&EA-18G【02】南九州F-35B配備検討,いずも艦上F-35B配備の続報

2018-02-13 20:05:06 | 防衛・安全保障
■新田原基地F-35B配備報道
 本年に予定される新防衛大綱において戦闘機部隊増強の検討が様々なところから伝えられていますが、新田原基地も久々に2個飛行隊体制へ回帰の検討があるという。

 新田原基地へF-35B戦闘機配備の検討、産経新聞が1月21日付記事にて報じました。F-35Bは現在航空自衛隊へ部隊配備が本格化したF-35A戦闘機の派生型で、元々はアメリカ海兵隊の前線航空支援用とイギリス海軍の小型空母用空母艦載機として開発され、重装備での短距離離陸や空対空戦闘兵装での垂直離着陸能力を有し、滑走路が無くとも運用可能です。

 F-35Bについては8日の衆議院予算委員会において小野寺五典防衛相は、ヘリコプター搭載護衛艦いずも建造のジャパンマリンユナイテッドへ“最新の航空機の研究”を要請していると答弁しています。最新の航空機の研究、とはMV-22を意味するのか、海上自衛隊が導入するUH-Xを意図しているのか、F-35Bを意味するのかは明言していませんが、UH-Xは現行機種の派生型ですしMV-22については既に発着実績があり、F-35Bと考えるのが自然でしょう。

 三沢基地の航空自衛隊第3航空団へF-35A戦闘機の配備が開始されました。三沢基地は北日本の防空を統括する北部航空方面隊司令部が置かれ、北海道へのソ連軍、ロシア軍の脅威へ備えるべく冷戦時代には空対艦ミサイルの運用能力を持つF-1支援戦闘機、その後はF-2戦闘機を配備し、空爆に備え、戦闘機をシェルター運用している事でも知られます。

 F-2戦闘機は、二個飛行隊の内、既に一個飛行隊が北九州築城基地へ移駐しており、現在は臨時F-35飛行隊とF-2飛行隊の混成編成となっています。航空自衛隊は数年内に第二のF-35飛行隊新編を待って、三沢基地から百里基地へF-2飛行隊を移駐させ、旧式化しているF-4戦闘機を代替、初飛行が1959年という旧式戦闘機F-4戦闘機の運用を終了する。

 42機のF-35A戦闘機を導入する航空自衛隊ですが、この42機のF-35Aは旧式化していたF-4戦闘機の後継という位置づけです。そして航空自衛隊の戦闘機調達計画は1981年より運用が開始され、旧式化が進むF-15J戦闘機の代替が必要となります。一機あたり42億円を投じて近代化改修を行っていますが限度があり、更にF-35戦闘機の増強は進むでしょう。

 南九州の新田原基地、現在はF-15飛行隊一個が要撃任務にあたっていますが、元々は航空自衛隊F-15飛行隊発祥の地、最初のF-15飛行隊へと改編が行われた航空団の基地、そして近年は中国大陸から南九州への防空へ対応する防空の拠点となっていますが、中国大陸からの爆撃機は南九州沖を西日本方面へ向かう経路を採るようになり重要性が増しました。

 F-35B飛行隊、という新編部隊について。南九州の新田原基地は、中国大陸からの爆撃機が南方海域を経由し西日本方面に向かう場合、航空自衛隊は四国や西日本へ戦闘機部隊を配置していません。西日本には京阪神地区と広島瀬戸内という人口密集地がありますが、他には北九州の築城基地か北陸の小松基地のみ、新田原基地の能力強化は重要でしょう。

 南西諸島や九州と西日本へ軍事脅威が及ぶ際には、恐らく那覇基地と新田原基地は巡航ミサイル脅威、中距離弾道弾脅威へ直面します。F-35Bという機種が提示される背景には、現在配備が進むF-35Aではなく、配備されていないF-35Bには、垂直離着陸能力が大きな意味を持ち、基地機能を喪失した場合においても防空作戦を維持する事が出来るのです。

 ヘリコプター搭載護衛艦いずも艦載機としてのF-35B戦闘機、政府関係者の話として昨年十二月末に産経新聞と朝日新聞の報道を皮切りにロイター通信やCNNでも広く報じられ、大きな話題となりました。これは政府が2018年内に画定する防衛計画の大綱改訂に盛り込まれる戦闘機部隊増強計画の一環として検討されているとされ、護衛艦の空母運用を示す。

 いずも型護衛艦艦載機へのF-35B戦闘機配備報道は、小野寺防衛大臣定例記者会見において防衛省として検討している事実は無い、との発言を以ていったん報道は終息しましたが、防衛計画の大綱は政府が閣議決定し行う防衛政策の長期計画なのですから、防衛省は独自にF-35B戦闘機を運用する枠組みを構築できる訳ではなく、最新の航空機の研究、という8日の衆議院予算委員会答弁まで、続報待ちという状況でした。

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Unknown (ドナルド)
2018-02-14 06:27:40
F35Bですか。。。

A型より3割高い(調達費も維持費見)と公式に言われていますし、機体の共通性も見た目ほどは高くない(最もお金のかかる駆動系が、VSTOL型はA型と独立。ウェポンベイも、そもそも大きさが違うので、兵装の装備手順書の整備や、アビオニクスのソフトウエアとの統合も、当然別予算が必要)。

調達+維持費に限れば、非常に効率が悪いのは確かなので、飛行隊の定数を18機から12機くらいまで削減する気なのでしょうかね。。。(多分、2/3に機体を減らしても、A型よりコストはかかるでしょうけど)。

空自にとっては、VSTOLを導入することで、作戦効率があがるから(?)、それで良い、というロジックでしょうか。。

さらに、どこで組み上げるか、も大きな問題です。MHIのFACOで組み上げるとまた莫大な初度費がかかるでしょうから、直輸入にするのでしょうか。

これまで海自と空自は、比較的頑なに新規品を導入せず、共通化・共通化できましたが、官邸主導でその辺が変わりそうです。兵站の効率は著しく下がるでしょうから、そちら方面へも予算を増やさないと稼働率ががっくり下がるでしょう。

予算的にものすごく大きな決断だと思うのですが、実際の対応をどこまで考えているのか、ぜひ知りたいところです。
Unknown (人民の目)
2018-02-14 14:01:49
この問題には非常に憂慮しています。
戦後日本の平和主義は専守防衛の下、空母や爆撃機などの兵器を憲法違反と結論し、自衛隊に禁止させてきました。日本が空母を保有してステルス戦闘機を海外でも運用できるようになれば、中国の等のアジア諸国は日本の脅威を受ける事になります。第二次世界大戦で日本に侵略された記憶はアジア諸国の中でも未だ消えていません。日本軍国主義復活の懸念は相当にあります。
安部首相はじめ自民党タカ派は何を考えているのでしょうか?野党は徹底的にこの空母計画を潰して頂きたい。
従来は大蔵省が防衛庁の跳ね上がりを抑えており、この事が実質的文民統制として評価されていたのです。
今こそ文民統制の立て直しを。
Unknown (流線形)
2018-02-14 17:12:35
予算を統制することと活動自体を統制することは異なる概念だし、目的が異なる。
予算を統制することで、個別の活動、行動自体を直接的に統制できるのだろうか?
”実質的”文民統制とは、如何なる概念だろう?
初めて聞くなあ~。

予算統制を通じて組織内の個別の活動、行動自体を直接的に統制できるのであれば、内部統制システムなんてものは生まれていないと思うのですが…。
COSO-IC、ERM、Sarbanes Oxley法(SOX法)、コーポレートガバナンス、キャドバリー委員会報告書って、一体、何だ⁉って話です。
Unknown (Disdotheque)
2018-02-15 03:01:47
また人民の目がアジア諸国を騙っているがアジア諸国は中韓や北朝鮮の三国だけではない。親日のアジア諸国の方が多く、日本を問題視するのはたったこのクソ三国人だけなので、彼らなど全く無視してよい。
Unknown (軍事オタク)
2018-02-15 10:29:28
航空自衛隊はF-35B反対派の方が多いと推察します。
制空やスクランブルには適さないですからね。
価格も高いし重いし、航続距離も短く武装も弱い。

海自は、元々空母保有願望が強く、F-35B希望でしょう。

陸は対地攻撃してくれるF-35Bは歓迎派が多いと思います。

今までの感覚だとF-35Bは不要派の方がおおいかも?

しかし、統合防衛力ですし、日本の近海での作戦だけを考えていた時代から、中国の覇権主義、軍事強大化、外洋進出、空母4隻化、等をふまえ、平和安全法制の制定や憲法改正を念頭に置けば、日本の空母保有は至極当然の流れではないでしょうか。

問題は予算と人員と教育とメンテ・補給ですね。

F-35Bはもし空自が運用となれば、航空自衛官が艦船勤務もすることになるので、船酔いや訓練も大変ですね。
海上自衛官が行うような基礎訓練も一から?するんですかね?
航空自衛官からの艦船勤務対応スペシャル訓練メニューを組むのですかね~

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