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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

巨大災害,次の有事への備え 14:南海トラフ地震、3.11型十万名動員部隊体系の将来改編

2017-06-22 21:49:17 | 防災・災害派遣
■防衛こそが第一任務
 防衛こそが第一任務、その能力の一端を非軍事任務である災害派遣へ活用する訳ですが、将来戦闘の様相と災害派遣の様相が合致するとは限りません。

 自衛隊の第一任務は国土防衛である。しかし、巨大災害が及ぼす被害は日本本土へ大規模侵攻事案が発生した状況よりも人的被害は大きくなる可能性がある。東日本大震災での犠牲者は1万9000名、そして想定される南海トラフ地震では最悪の場合30万もの犠牲者が出る事が予想されており、初動次第で国家の崩壊へ繋がりかねない危惧がある被害です。

 その上で、将来戦闘に対応する陸上戦闘部隊の新動向には、災害派遣という能力での対応できる分野が転換してゆく可能性について考える必要があるでしょう。データリンクによる情報共有と部隊間連携や火力と打撃力の統合運用により、相手の指揮中枢や指令系統を直接打撃するネットワーク型の軍事機構が、自衛隊をはじめ各国軍隊が目指す将来像です。

 ネットワーク型の軍事機構は小人数で最大の戦果を上げる事に主眼を置いていまして、これは我の損害を局限化すると共に機動力と打撃力をコンパクト化する事で兵站支援、戦闘により消費する様々な物資と整備支援を局限化し、従来の陸軍機構に求められていました任務の遂行能力を、一種ベクトルを変えて達成する事に主眼が置かれている、ということ。

 従来型軍事機構が求められる動員力と重厚な正面戦力については、大型恐竜に様に強力でありながらも鈍重である実情があり、現代程精密誘導兵器や情報共有技術が普及する以前には、鈍重であっても相手を押し潰す重厚さが難点を補って余りある能力を発揮できました。しかし、指揮官が戦域情報を包括管理する情報処理能力と伝送能力がこれを変えた。

 陸上自衛隊が戦車1100両を300両に、火砲1200門を300門にコンパクト化する決断の背景には、勿論冷戦終結という脅威対象の大きな変化があるのですけれども、コンパクト化という流れが同時にある訳です。加えて、コンパクト化とネットワーク型軍事力構築は、我が本土への侵攻兵力を局限化しても任務を遂行できる事を同時に意味するのですが、ね。

 災害派遣、特に南海トラフ地震を想定する場合、自衛隊災害派遣はネットワーク型軍事機構が本来想定しない、ローラー作戦を求められる可能性が多い。特に倒壊家屋下や浸水孤立建造物での被災者人命は72時間以内に救助しなければならない、人命72時間の壁、といわれる問題があります。南海トラフ地震の津波被害想定範囲は地図を視れば兎に角広い。

 ネットワーク型軍事機構が災害派遣を考える場合、勿論、冷戦時代の13個師団2個混成団体制の方が、人員を大量動員してローラー作戦を実施するには適合していたといえるでしょう。しかし、軍事機構の技術革新、RMAと呼ばれた変革はネットワーク型軍事機構を求めており、従来型の重厚戦力ではネットワーク型軍事機構を前に多大な犠牲を強いられる。

 通信機器と精密誘導兵器、それにこれらを守る装甲車両と器材に電力を供給する装甲車両、中継車両に必要とされる機動打撃力と遠距離打撃力が併せて整備する必要がある、ネットワーク型軍事機構は兎に角費用を要します。戦車と火砲の費用が全部通信機材とアップデート費用に転換したとの状況ですが、我の損害を局限化し任務遂行能力を強化した訳です。

 ローラー作戦が求められる災害派遣については、従来の規模でネットワーク型軍事機構を整備した場合、非常に求められる費用が大きくなり現在の防衛予算では整備する事は出来ません。しかし、一方で南海トラフ地震においてはローラー作戦を求められる。国土防衛が主任務の自衛隊には、新技術と新しいローラー作戦の方法論が求められる事でしょう。

北大路機関:はるな くらま
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