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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

海上自衛隊福井港サマーフェスタ 06.7.22

2007-03-29 02:33:05 | 海上自衛隊 催事

■はるな しまかぜ 福井港入港

 2006年7月22日、福井県福井港において海上自衛隊主催の広報行事、福井港サマーフェスタが開催された。この催事は、抽選による護衛艦体験航海と護衛艦一般公開、近傍駐屯地の陸上自衛隊装備展示が行われた。

Img_4634  ヘリコプター護衛艦“はるな”飛行甲板と、後方のミサイル護衛艦“しまかぜ”、“はるな”は舞鶴の第三護衛隊群旗艦であるが、後方の“しまかぜ”は隷下の第63護衛隊に所属している。なお、2007年3月の護衛艦“あたご”就役に伴い、交代するかたちで“しまかぜ”は、佐世保第二護衛隊群第62護衛隊へ転属となっており、“はるな”“しまかぜ”の貴重な写真である。

Img_4547_1  護衛艦“はるな”は、1968年度計画艦で、三菱重工長崎造船所により建造された海上自衛隊初のヘリコプター搭載護衛艦である。また、1973年就役と、現在では海上自衛隊においてもっとも古い護衛艦としても知られている。

Img_4811_2  “はるな”は、基準排水量4950㌧、満載排水量6800㌧、全長153.0㍍、幅17.5㍍、喫水5.2㍍、主機蒸気タービン二機二軸、出力70000馬力、速力31ノットで、武装は5インチ単装砲二門、20㍉高性能機関砲二門、シースパロー短SAM8連装発射機一基、アスロックSUM8連装発射機一基、3連装短魚雷発射管2機、哨戒ヘリコプター3機で、乗員は370名である。

Img_4594  “はるな”飛行甲板に並ぶSH-60J哨戒ヘリコプター。艦載型陸上型併せて84機が配備されている。全長の三分の一を飛行甲板が占めているが、当初案では5インチ砲を一門として全長の半分を飛行甲板とし、二機同時の発着を可能とする案があったが、5インチ砲の重要性などとの折り合いから、現在の設計に妥結している。

Img_4651  大型の格納庫。大型ヘリコプター3機の搭載を想定して設計されており、HSS-2哨戒ヘリを搭載したことから数字の上ではMCH-101掃海輸送ヘリコプターの搭載も可能である。インド洋対テロ作戦支援任務など、海上自衛隊の任務範囲が拡大した中で、三機のヘリを運用する能力を有したDDHは大きなポテンシャルを有している。

Img_4629  SH-60J哨戒ヘリ二機が並んでいる。現在では最新型のSH-60Kに代替されている過渡期であるが、依然として数の上では海上自衛隊の主力艦載ヘリである。米海軍のSH-60Bに技術研究本部が苦心して開発した国産の対潜器材を搭載したもので、センサー類やデータリンク機能などが強化されている。更に能登半島沖工作船侵入事案の教訓から、30口径機銃、映像転送装置、防弾装備の追加装備が実施されている。

Img_4620  ミサイル護衛艦“しまかぜ”、“はたかぜ”型護衛艦の二番艦として1983年度計画艦で、1988年に就役した。基準排水量は4650㌧、満載排水量は5950㌧、全長150㍍、幅16.4㍍、喫水4.8㍍、主機はガスタービン四機でCOGAG方式二軸、出力72000馬力、速力30ノット、乗員は260名である。

Img_4734  武装は、スタンダードSAM発射機一基、ハープーン対艦ミサイル四連装発射機二基、5インチ単装砲二基、20㍉高性能機関砲二基、アスロックSUM8連装発射機一基、3連装短魚雷発射管二基である。イージス艦建造までの過渡的な艦であり、SAMシステムへ限定的な同時多目標処理能力の付与も検討されたが、実現には至らなかった。Mk13発射機を波浪から護るために設置された艦首のブルワークが特徴である。

Img_4566  陸上自衛隊の装備品展示。最も目立っていたのは兵庫県の青野原駐屯地より展開してきたホーク地対空ミサイルであろう。旧式といわれ久しいが、陸上自衛隊では三度にわたり抜本的な性能近代化改修を実施し、第一線で運用するに充分な性能を維持している。しかし、その費用も物凄く、ホークが無ければ陸上自衛隊の機械化装甲化は既に完了している、とその筋から聞いたこともある。

Img_4576_1  このホークミサイルは、第八高射特科群第302高射中隊のもので、十分に一度、コントローラを用いて、隊員が発射機の旋回を展示していた。想像するよりもかなり機敏に旋回する。これぞミサイル!という発射機に多くの人がカメラを向けていたが、高速道路などでこれに出くわすと物凄い威圧感、とは姫路城に行く途中家族団欒のなかで出くわした友人の言葉である。

Img_4816_1  近代化を重ねたホークであるが、やはり半世紀近くを経て限界に達し、新型の国産、03式中距離地対空誘導弾(通称中SAM)に代替が進んでいる。しかし、射程50km(30kmとするものから60kmとするものまである)のホークは、米海兵隊のマニュアルには限定的な戦術弾道弾迎撃能力を有するとあり、中SAMが配備完了するまでの間は、方面隊高射装備として重責を担うことになろう。

Img_4554  ホークミサイルの再装填などに用いる車輌。展示位置ではなく、端の方に置かれていた。装軌式であるのは野戦運用を想定した為であろうか。個人的には、戦車車体にホークを三連装で装備し、機動運用、なんて旧ソ連SAM方式の運用を期待してしまうが、基本的に野戦でも陣地運用が為される。

Img_4580  金沢駐屯地の第14普通科連隊第四中隊より展開した軽装甲機動車、車上の銃架にはMINIMI分隊軽機が搭載されている。性能よりも価格低減と広範配備に重点を置いた車輌で、陸上自衛隊のワークホースというべき車輌である。

 なお、第14普通科連隊は、先日発生した能登半島沖地震に伴う災害派遣任務に出動中である。

Img_4584  こちらは、福井県鯖江駐屯地(福井港から近傍)の第372施設中隊より派遣された救急車。装備品展示というよりは、移動救護所として不測の事態に備え展開しているようである、幸いにして救急車が活躍する事態は無かった。背景の倉庫の向こうに、“はるな”のマストがのぞいている。

Img_4541  舞鶴地方総監部より展開した業務車。恐らく護衛艦の入港手続きを港湾関係者と行い、また地方協力部との調整などを行うべく派遣されたと思われる。港湾関係者とのこうした地道なつながりが、例えば大規模災害といった有事の際の、自衛隊と自治体の連携に繋がるということはいうまでもない。

Img_4704  福井港サマーフェスタとは、全国の港で開催される体験航海と一般公開の行事である。観艦式や展示訓練のような華やかさは無いが、こうした行事は毎年多くの港で実施されている。皆さんがお住まいの街に近い港でも、行われているかもしれない。

HARUNA

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コメント (2)
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