北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

京都金閣寺 雪を冠する古都の輝き

2007-02-04 12:54:16 | 写真

■雪が降ったら金閣寺

 2005年でも同じような企画を実施したように記憶するが、降雪とともに白い雪を冠した金閣寺というのは風情があるもので、NHKなどもその様子を全国放送のニュースで報じるほどである。

Img_5193  二月二日、北陸地方を中心に寒気を伴った前線が大きな降雪をもたらしたが、その影響は僅かながら京都にも及び、若干ながら降雪をみた。

 晴天時には一際輝く金閣寺ではあるが、降雪時という微妙な露光の環境に加え、曇天時と異なり周囲の雪が反射することから、この時期の金閣寺は姿を日々一変させることに驚かされる。

Img_5173  さて、その金閣寺であるが、京都駅からは205系統バスで、阪急河原町駅からは12系統バスで205系統では金閣寺道、12系統では金閣寺前にて降車する。今回は愛用するロードレーサーが降雪時は危険な為、205系統バスを利用したがその途上、左大文字山や微かに雪化粧をしている。不思議なもので京都というのは積雪も10㌢くらいであれば数時間で融けてしまう。特にこの日は積雪というほどではない為、早く、と足を速めた。

Img_5174  金閣寺への参道は、少し前まではマンションが建っていたが三年ほど前に景観を維持する観点から取り壊され、現在では駐車場となっている。

 しかし、金網に囲まれた殺風景な駐車場よりは、せめて白壁で囲むとか、和風の長屋を道沿いに建築して小料理屋や土産物店を誘致し、駐車場を隠すなどもう少し配慮が欲しかったものである。そんなことを考えつつ、五分ほどで金閣寺に至った。

Img_5175  金閣寺といっても一般に連想される“金閣”はほんの一部であり、金閣寺こと鹿苑寺は広大な面積を有している。また、金閣寺は焼失後再建されたことで重要文化財、対して銀閣寺は国宝とされているが、他方、金閣寺は世界文化遺産の指定を受けている点が興味深い。恐らく再建が遅れていれば、危機遺産として扱われたのだろうか。幸いにしてというか、金閣以外への類焼は避けられたことも影響しているのかもしれない。

Img_5204  この金閣寺は、鎌倉時代には西園寺家の別荘(第一次大戦のパリ講和会議に出席した西園寺公望首相が近年では最も有名)があったが室町時代に三代将軍の足利義満がここを気に入り1397年に此処を譲り受けた。後醍醐天皇謀殺を企てたかどで領地を没収され荒地となっていたが、ここに極楽浄土を体現しようと、足利義満は金閣を含む山荘を築いた。足利義満の死後、遺言に従う形で夢想国師を開山として足利義満の法号から二文字をとり、臨済宗相国寺派の鹿苑寺と名づけられた。

Img_5223  金閣、即ち舎利殿は頂点に鳳凰を頂き、二層と三層を金箔で覆っている。二層は武家造、三層は中国風禅宗仏殿造である。また一層は寝殿造である。この三つの様式を合わせた建築様式は北山文化を表わしているが、この金閣を中心に北山第を造営し、御所に匹敵する規模の邸宅とした上で、政権中枢をここに集中したが、足利義満の死後、鹿苑寺へ再編される際に北山第は金閣を残し、ほぼ破壊されてしまった。これは四代将軍足利義持が足利義満に冷遇されたことに起因するとされる。

Img_5216  ちなみに、この金閣寺はその美しさと壮麗さから応仁の乱では西軍の拠点となり、その多くは今度は戦乱により焼失、破壊されてしまった。

 こうみてみると、改めて言うまでも無いが応仁の乱は1467年から1477年までの十年間で、当時存在したもので、北大路機関で扱った寺社仏閣のほとんどに影響を与えていることがわかる。

Img_5198  1950年7月には放火により金閣は焼失してしまったが、1955年に出来る限りの再現を試み、再建された。その後、1987年に金箔の張替が行われ、2003年には瓦葺の張替が行われた。一方で、鏡湖池には当時の面影がそのまま残っているとされ、葦原島など大小の島々が点在し、この他にも当時諸大名が競って献上した名石が配置されている。これは池湖回遊式庭園といわれる室町時代の代表的な庭園様式とされる。

Img_5215  気付かされるのは室町時代から今日に至るまでの政争謀議を見守り続けてきたのはこの鏡湖池であるということだ。この歴史を現すという金閣の雪化粧を一枚、カメラに収めようと雪の舞う中、多くの観光客が訪れていた。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする