熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

CO2の25%削減はイノベーションのチャンス

2009年11月22日 | イノベーションと経営
   GEWの公開フォーラム20日は、英語で行われ、米国のルース駐日大使が登場してシリコンバレーでのベンチャー企業について語ったので、外人聴講者が多く参加し、メルビン駐日デンマーク大使の基調講演で幕開けしたこともあり、いきおい、テーマが、CO2削減・地球環境分野におけるイノベーションに集中した感じになった。

   CO2削減問題での日本の取り組み方が如何に深刻な状態にあるのかを意識して、パネラーの大半が日本人であったことも考慮して、「新しいイノベーション・フロンティアを結集せよ〜CO2 25%削減はチャンス」と言うセッションで、一橋大米倉誠一郎教授が、直に情報が外国に持って行かれると言いながら、日本語主流で英語同時通訳で、討論を進めた。
   冒頭、米倉教授が、鳩山首相の25%削減目標が、日本と日本人に極めて過酷な重荷を背負わせることとなり、ブレイクスルーには、イノベーションしかないと切り出したのに対して、飯田哲也氏が、これらの情報には多くの誤解があって、これまで、日本は、実質的には殆ど環境保全努力をして来ておらず、この目標達成には、これまでのイノベーションの実績を考慮すれば、それ程困難なことではないと応酬したが、いずれにしろ、果敢なイノベーション遂行が必須であると言う認識で議論が進められた。

   赤羽雄二氏が、日本は、再生エネルギー開発やエコ、グリーン革命に対して、消極的でいい加減な対応をして来た結果、如何にEUをはじめ世界から遅れを取って来たかを説明した。
   欧米や中国等では、太陽電池、太陽熱発電、バイオフーエル、風力発電、電気自動車等のベンチャーに対して、一社10〜300億円、関連業界全体で2兆円以上の投資が、新世紀に入ってから投入されており、どんどん、新しい産業が生まれている。
   日本のこの分野の投資は、精々数百億円で、シャープなど世界一を誇っていた太陽電池分野では、ドイツのQセルズに一気に抜かれ、中国のサンテックパワー、アメリカのナノソーラーなどに遅れを取る等は、正に、日本の再生エネルギー政策の誤りを如実に示している。

   また、アメリカのベンチャー・キャピタルは、30ファンド、5000億円規模で中国に向かっているのだが、日本の企業へは、社長の資質・ビジョン・中小企業的経営スタイルやコミュニケーションなどに問題があって、非常に限定的だと言う。

   赤羽氏の指摘で重要なのは、この環境・代替エネルギー分野は全く新しい分野であるために、従来技術の延長線上で勝負をしようとしても、最適化を見出し得ないと言うことである。
   優れた既存組織が、逆立ちして頑張っても、発想力と実行方法に限界があり、既存のインフラ、既存のビジネス・モデルを破壊するような新しい解には挑戦不能であり、無数のベンチャーが生まれて切磋琢磨する多産多死環境を作り出さない限り、新時代を画するようなイノベーションは生まれ出ないと言うのである。
   大企業の中でしかイノベーションを追求できない日本の環境では、正に、クリステンセンの説くイノベーターのジレンマ以外の何ものも生まれないと言うことであろうか。
   
   ルース米国大使も、起業しても98%が失敗して消えて行く、生まれては消え消えては生まれる厳しいシリコンバレーのベンチャー企業の実態を語っていたが、私が印象的だと思ったのは、シリコンバレーには、ベンチャー・キャピタル等金融、弁護士事務所、会計事務所等のプロなどは勿論多種多様な起業とイノベーションを育んで、世界を先導する最先端を行くインフラストラクチュアが総て完備していると言う指摘である。
   起業をサポートする弁護士事務所の実情などを語っていたが、私が、その時思い出したのは、ロンドンのシティは、金融センターとしての一切のインフラがワンセット完全に完結しているからこそ世界の金融センターとして君臨し続けておられると言うことである。
   私自身、ロンドンのシティで大型開発事業を展開して来たので、土地の買収から開発事業の完結まで、この業務に絡む調査・法律実務・金融等々一切の実務機能がこのシティにはあった。

   別な表現をすれば、事業の主体となる沢山の企業やベンチャーが集中してメディチ・イフェクトを創造するのだが、それを支えるクラスター集団やインフラの集積によって、新時代を画する全く新しい産業都市が生まれ出でるということであり、この新興産業都市の構築こそ、新しい世紀の産業政策であるべきだと言うことであろう。
   日本では、堺などの新工業コンビナートが脚光を浴びているが、そんな旧型のコンビナート的な企業集積産業都市ではなく、シリコンバレーのような、新しいシティのような新規産業のメッカを創造することである。

   さて、表題の過酷な目標は、イノベーションのチャンスと言う認識は極めて重要で、日本の工業技術は世界最高水準だと思っている日本人が多いが、今回の仕分け作業で、民主党議員が、スーパーコンピューター予算に難癖を付けたお陰で、世界1位だったスパコンの能力が、現状では31位で、科学産業立国を標榜する日本が、撤退すれば立ち上がり不能な状態にあることを、幸いにも暴露してくれた。

   予算を取り仕切る官僚たちが、民主党議員に、必要性を説得出来なかったから予算を切ると言う思い上がった論理など、まかり通っていることが問題だが、ノーベル賞の小柴先生が、予算を付けた後は、一切口出しをしない、何も知らない役人が介入しない方が、遥かに、科学行政がうまく行くと言っていた。
   偉大だった筈の日本が、奈落の底へ落ちぶれて行く一方の今こそ、科学技術、芸術、スポーツ振興に、膨大な予算を振り向けてこそ、日本の明日を築き上げる最高の戦略だと思っているのだが、甘いであろうか。
   スカラーが暇人を意味するように、学問芸術などは、金をふんだんに使うことの出来る暇人しか生み出し得ないのである。
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コメント

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Unknown (赤羽雄二)
2009-11-23 16:26:56
パネルディスカッションのご紹介どうもありがとうございました。ブレークスルーパートナーズの赤羽雄二です。 発表時の資料を念のためお送りさせていただきます。
http://www.b-t-partners.com/pdf/091120.pdf 

どうぞよろしくお願いします。

赤羽雄二

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