熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

「チケット高額転売防ぐ」と言うのだが

2017年07月12日 | 生活随想・趣味
   今日の日経朝刊に、「チケット高額転売防ぐ」と言う記事が載っていて、マイナンバーで本人確認して、会場で購入者本人と特定して入場を許可する方式を採用して、この高額転売を防ぐ仕組みを、総務省・ぴあが開発して、東京五輪でも活用するのだと言う。

   先日、ブックレビューしたマイケル・サンデルの「それをお金で買いますか」でも真っ先に論じられていたポイントで、要するに、「行列に割り込む権利の販売」の最たる、行列の代行、ダフ行為である。
   他人を雇って行列に並ばせるかわりに、今では、インターネットで瞬時にチケットを取得して、転売して利益を稼ぐと言うシステムだが、個人の自由意志の発露である市場は行列に優越すると言うのが大方の経済学者の考え方のようで、表立った経済学からの反発はなかったと言う。

   私の場合、もう、半世紀以上も、クラシック音楽やオペラの鑑賞から、バレエ、シェイクスピアなどの戯曲、歌舞伎・文楽、能・狂言等々、国内外、色々な観劇や鑑賞で劇場に通っていて、チケットを買い続けて来たので、チケット取得には、色々な経験や思いがある。
   あまりにも人気が高かったり、高額過ぎて買えなかったりしたことが、かなりあるのだが、それでも、例えば、オペラでは、古い話だが、パバロッティやドミンゴやカレーラスと言った三大テノールのオペラを何度か観ることが出来たし、マリア・カラスやレナータ・テバルディ、マリオ・デル・モナコやジュゼッペ・ディ・ステファーノ、エリザベート・シュワルツコップやビルギット・ニルソンやフィッシャー=ディースカウと言った伝説的な名歌手のオペラやリサイタルに行くことも出来たので、恵まれた方だったと思っている。

   さて、私自身の思いだが、海外に出た時に、例えば、オペラ劇場で、素晴らしい公演があるのを知った時には、どうしても見たくなって、ダフ屋でも何でもよいから、チケットを手に入れたいと思ったことがある。
   プラハやブダペストでも経験がるのだが、ヨーロッパの偉大な歴史的な歌劇場で、素晴らしいオペラ公演を鑑賞することが、如何に至福の喜びであるか、この千載一遇の機会を、なんとしても手に入れたいと言う思いである。
   バルセロナのリセウ大劇場で、演目は忘れたが、モンセラ・カバリエが歌うのを聴きたかったが果たせず、唯一残っていた天井桟敷の立見席を買って入場して、はるかかなたの奈落の底のソプラノを聴いたことがある。
   また、マドリッドのテアトロ・レアル(王立劇場)では、幸いと言うべきか、劇場前にダフ屋が居て、近づいてきたので、二倍の価格でチケットを買った。
   ウィーン国立歌劇場で、大晦日の「こうもり」のチケットを取ろうと長い列に並んでいた時、行けなくなったファンが、近づいてきて譲ってくれたと言う幸運もあった。
   ウィーン、ニューヨーク、ミラノ、パリ、ベルリンなどでは、公演が多くて劇場が広い所為もあり、何度か涙を飲んだが、チケットは大体手に入った。
   ウィーンでは、劇場近くに当日のチケットを売っている金券ショップの様な店があったのを後で知って残念に思ったことがある。

   国立劇場のチケットでも、ダフ行為が頻発しているようで、最近、国立劇場チケットセンターが、一般販売について警告を発して対応を考えているようである。
   確かに、最近は、会員主体のあぜくら会の新規発売日でも、10時のオープン時間には、インターネットが錯綜して、しばらく繋がらないことが出てきて、繋がった時には、チケットがソールドアウトと言うケースも出ている。
   普段はそうでもないのに、襲名披露などと言った特別公演などになるとネット予約がヒットして、ファンがチケットが買えなくなって、公演当日には、日頃とは違った観客層が会場を埋めるなどと言うのは、この異変の一端なのかも知れない。
   能楽堂公演での拍手のタイミングは特殊なのだが、こんな時には、必ず、頓珍漢なところで、拍手が来たりする。

   歌舞伎座のウエブやぴあやイープラスなどでは、初日のインターネット錯綜は常態だが、ファンが多くなってきたのか、ダフ屋の横行が激しくなってきたのか、分からない。
   倫理道徳から距離を置いてきた経済学としては、喜ぶべきことかどうかは分からないが、昔から、行列をカットしてダフ行為に頼る金持ちが多いことは事実で、これも、需要と供給の市場のなせる業であった。
   特に、最近では、経済格差の拡大と、ネットディバイドで、ネットを使えない金持ち老人が増加の一途を辿るので、政府が懸念する「チケットの高額転売」が、益々、増えて来るのではないかと思う。
   都民劇場など、会員の多くが老年のためか、いまだに(最近止めたので今もどうかは分からないが)、ネット予約を排除して、電話とはがき予約を通している天然記念物の様な組織もあるが、行列よりも、インターネットでチケットを取得しなければならないとなれば、特別なテクニックも必要なので、高額転売の阻止は難しいであろうが、マイナンバーとは考えたものである。

   私の場合には、知盛の心境ではないが、「見るべきものは見つ」と言う思いであるし、これまで鑑賞してきた公演や舞台以上に素晴らしいものには接し得ないであろうから、あくせくしてチケットを追いかけることはないと思っている。
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