熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

「チケット AIが値付け」と言うのだが

2017年07月16日 | 経営・ビジネス
   今日の日経朝刊に、「チケット AIが値付け 三井物産、まずプロ野球で試行 順位や需給に応じて変動」と言う記事が掲載された。
   人工知能(AI)を活用して、過去の実績をもとに需給を予測したり、現状の需給などに応じて、チケット価格を随時変えて行く仕組みで、興行主の収入を最大化することができると言う。

   実際に、三井物産は、ソフトバンクとヤクルトの主催試合の一部座席を、ぴあやヤフーと共同で試験的に価格を変動させ始めた。球団から依頼を受けてデータ解析を施し、座席ごとに最適な価格帯を示している。のだと言う。
   欧米では、既に実施済みで、機械学習を使ったアルゴリズムによりチケット価格を算定してチケットの価格変動サービスを手掛けているニュースター社と提携する。と報じている。
   これは、プロ野球などのスポーツイヴェントだけではなく、コンサートやホテル業界でも利用されており、可変的なチケットの価格システムが、受け入れられつつあると言うことであろう。

   売れ残ったチケットの処理については、もう、何十年も前から、ニューヨークのブロードウエイや、ロンドンのウエストエンドなどには、パーフォーマンス・アーツの当日公演のチケットを半額で売っているチケットブースがあったりして、賑わっていたのを覚えている。
   ロンドンに駐在していた頃、サドラーズウェルズのイングリッシュ・ナショナル・オペラのボックスオフィスで、開演前に、当日券を半額で売っていたので、偶々仕事の都合で空きが出来た時には、上質なオペラ公演を楽しませて貰うことがあった。

   日本では、ぴあやイープラスや日経などで、売れ残っているMETやスカラ座やウィーンやロイヤルなどと言ったトップ・オペラハウスの高額チケットが、エコノミーだとかプレミアムエコノミーと言ったチケットに変わって、抽選になることもあるのだが、安く販売されることがある。
   利用したことはないが、国立劇場の文楽や歌舞伎などのチケットでも、時によっては、イープラスなどで、安く売りだされていることがあり、「得チケ」と言ったタイトルで、色々な公演チケットやエンターテインメントのイヴェントチケットが、バーゲン価格で提供されているので、思いがけない鑑賞が出来たりする。
   
   今回の「AI値付け」システムは、売れ残りのチケットを安く販売して席を埋めると言う手法ではなく、需要の高い人気公演のチケットは、定価以上に高く売り、売れないチケットは安くすると言う需給によってチケット価格が決まる時価販売システムと言うことになって、かなり、ニュアンスが違ってくる。
   このシステムになると、チケットの争奪戦が、激しくなるのを緩和する効果や、かなり早くチケットがはけるであろうし、売れ残りが少なくなると言った効果が見込めて、興行主にとっては、好都合なのかもしれない。

   先日、”「チケット高額転売防ぐ」と言うのだが”と”マイケル・サンデル著「それをお金で買いますか」”を、このブログに書いて、公演チケット取得について、問題点を検討してきた。
   今回のAI値付けシステムで問題にしたいのは、ただ一点、価格がダウンするのは良いが、価格が上がると言うケースである。
   それは、本来、庶民なり大衆が、挙って楽しむべきスポーツ・イベントやパーフォーマンス・アーツの世界に、経済格差を持ち込んで、金持ちだけが買うことのできるようなシステムを構築することにならないかと言うことである。
   異常な経済格差の拡大が、政治経済社会を機能マヒさせている今日、何でもカネで買える、金持ちだけが自由気ままに、財やサービスを押させて享受できる、そんなシステムを、この世界には持ち込んではならないのである。
   AIをフル活用して需給システムでチケット価格を決定するなどと言うのは、弱肉強食の市場メカニズムを野放しにすると言うことであって、上限なり、何らかのチェック作用を設定してシステムをフェアに運営する方法を考え出さない限り、格差拡大を排除できない。

   昔は、チケットを取るために、劇場の窓口に並んだ。
   ネット販売などほかの取得手段もあるにも拘らず、式能のチケットを買うために、国立能楽堂の窓口が開く前から、ファンが列を作っていたが、これは、この劇場割り当て分のチケットは、先着順にフェアに販売されることを信じているからである。
   サンデルは、ダフ屋が、ホームレスを並ばせてチケットを買わせて高額転売していると書いていたが、この能楽堂では、どこの席が空いているか、窓口に行かないと分からないので、どの席を選ぶかは、能狂言鑑賞に知識がある人かファンしか対応できないであろう。
   尤も、どの席でもよいと言う依頼者からの指示なら、窓口で、残っている席で一番良い席を、と言って買えば造作もないのだが。
   
   何でも、ICT革命で、IOT,AIが跋扈する世の中だが、こんな牧歌的なチケット取得システムが、続いて欲しいと思っている。
   チケットが高いか安いかを決めるのは、ファンに任せて欲しい。
  
   余談だが、先日、本人確認のスマホでの予約チケットが、高額転売されて摘発されたと言ったケースが起こったが、これは、入場直前に、ダフ行為者から、IDカードと交換にスマホを借り受けてなりすまし入場して、終演後、スマホを返すのだと言う、システムを逆手に取った悪知恵だった。
   政府が意図しているようにマイナンバー使用だと、多少は歯止めとなるかも知れないが、石川五右衛門ではないが、ダフ行為、金儲けの種は尽きまじ、ではなかろうか。
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