【都教委News21】「ジェンダーフリー」特集(南日本新聞/国立市陳情、ほか)

2006-02-02 08:28:35 | 教育

今回は、17号に続き、「ジェンダーフリー」特集です。以前から気になってい
た南日本新聞の記事をようやく読むことができました。また、先週、国立市で男
女混合名簿に関する陳情もありました。というわけで、はっきりいって、えらく
長いです。どうもすみません。

┏━━ http://blog.livedoor.jp/suruke/ ━━━━━━━━━━━━━━━━
  ◇◆ 都┃教┃委┃情┃報┃メールニュース◇◆ 第21号 2006年1月30日
     ━┛━┛━┛━┛━┛
                 発行:「日の丸・君が代」強制に反対する
   (※転送・転載歓迎※)           市民運動ネットワーク
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


   ┏━━◇◆「日の丸・君が代・元号」ホットライン2006◆◇━━┓
   ┃     ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~    ┃
   ┃        東京*神奈川*福岡*北九州       ┃
   ┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫
   ┃  メール hotline2006mail@yahoo.co.jp         ┃
   ┃  ウェブ http://tokyo.cool.ne.jp/kunitachi      ┃
   ┗━━◇◆ 期間:2月14日(月)〜4月17日(日) ◆◇━━┛


 ▼ 目 次
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【1】 「行き過ぎたジェンダーフリー」キャンペーンは、
      どのように作り出されたのか? −南日本新聞の取材から
【2】 国立市で「男女混合名簿」の廃止を求める(?)陳情 (1/25不採択)
【3】 《本》『どうして、いつも男が先なの? 男女混合名簿の試み』
─────────────────────────────────―――

┏━┓━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■1 ▼ 「行き過ぎたジェンダーフリー」キャンペーンは、
      どのように作り出されたのか? −南日本新聞の取材から
┗━┛━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ニュース17号でも触れたように、鹿児島県議会で例示された「極端なジェンダー
フリー教育」の「事例」を、南日本新聞が情報源をさかのぼって取材しています。
その結果、伝聞情報ばかりで根拠がないことを明らかにしています。
 鹿児島の地方紙のため、なかなか記事原文に当たれなかったのですが、先日よ
うやく関連する5つの記事を読むことができました。

-------------------------------------------------------------
■2003年7月24日(くらしワイド)
ジェンダーフリー教育 なぜ反対/鹿県議会 吉野正二郎氏に聞く
 /極端思想は文化を破壊/共同参画社会推進は当然

■2003年8月5日(くらし)
“極端”現場どこに/鹿県議会採択の「ジェンダーフリー教育反対」陳情
 神奈川県高校教職員組合「男女で更衣あり得ない」
 /都・北区十条台小「ランドセルの色は自由」

■2003年8月5日(社会)
関係自治体・学校は否定/鹿県議会採択の「ジェンダーフリー教育反対」
 男女一緒の身体検査 更衣 宿泊/真偽の議論なく 文教商工観光労働委員会
 信頼する知人から入手 吉野正二郎県議会議員の話

■2005年6月29日(社会)
ジェンダーフリー教育問題/本紙報道「でたらめ」 吉野議員
 記事はきちんと取材 有川賢司南日本新聞社編集局長の話

■2006年1月6日(県政・総合)
考現鏡 説明責任
 (八木秀次氏が著書で8月5日報道を全面否定したことについて
 「勇み足があった」と非を認めた、との内容のコラム)
-------------------------------------------------------------

 一連の記事から浮かび上がってくるのは、不確かな伝聞情報をもとに、当事者
に取材・確認もせずに、メディアや研究者(週刊新潮、中川八洋氏、高橋史朗氏
など)が活字にし、それがさらに孫引きされて広まっていく、という構図です。

 情報源・原文に当たり、事実確認をするというのは、ジャーナリズムや研究者
とって基本中の基本ですが、政治的なキャンペーンが目的なのでその必要もない
ということなのでしょうか。

 また、例えば「男女同じ部屋での着替え」などは全国どこでも見られる光景で
すが、多くの場合、低学年、あるいは更衣室の不備などが理由です。それを、
「ジェンダーフリー教育は男女同室着替えを推進している」と意図的に歪めるの
が、反「ジェンダーフリー」攻撃の手法の一つです。
 「過激」「卑猥」「無秩序」などのネガティブなイメージをつくりだすことで、
「男女平等の推進」「性別役割分担の見直し」に歯止めをかけたいという意図な
のでしょう。


 2003年に鹿児島県議会で出された「ジェンダーフリー教育反対」陳情も、
このようなずさんな伝聞情報をもとに採択されています。

 例えば、鹿児島県議会の場であげられたのは以下のような「事例」です。

・川崎市、福岡県の高校で体育の時間など男女が一緒の更衣室で着替えさせられた。
・東京・国立の高校は修学旅行で男女が一緒の部屋で宿泊させられた。
・ランドセルを男女とも同じ黒色にする
・体育の授業で男女を分けないで女子にも騎馬戦をさせる。
・身体検査を男女一緒に行う
・掃除の際に女子に机を運ばせて男子に雑巾がけをさせる
・学芸会で男の役と女の役を入れ替える

 これらの「事例」について、南日本新聞が関係者多数に取材をしています。

(福岡県立大牟田北高校教頭、川崎市教委・神奈川県教委・県教職員組合・県高
校教職員組合・神奈川新聞報道部、北区十条台小教頭、国立市教委、都教育庁、
文部科学省教育課程課・男女共同参画学習課、東京新聞・田原拓治記者、大沢真
理氏など)

 その結果、関係者は「週刊誌の報道は迷惑で心外」「あり得ない」「聞いたこ
とはない」などと否定。あるいは「強制はない」、(どこでもある話で)「男女
平等教育とは関係ない」などと答えています(2003年8月5日記事)

 その後、2005年6月、(2003年の陳情の審議の際に事例をあげていた)吉野議
員は県議会で報道を「でたらめ」と批判し、「事例に挙げた中学や高校の父母か
ら直接聞いた話」と強調しています。しかし、南日本新聞の電話取材に対し、自
治体・学校はあらためて「ありえないし迷惑」と否定(2005年6月29日記事)
 そして、2005年11月、「新しい歴史教科書をつくる会」の八木秀次会長は、著
書で全面否定したことについて「勇み足があった」と非を認めた、とのこと。
 一方、吉野議員は再三の取材要請を拒否。実例を裏付ける根拠は示さないまま、
ということです。(2006年1月6日記事)


※以上、南日本新聞記事をもとに書いたものです。八木秀次氏、林道義氏らが、
著書で南日本新聞の報道を否定しているようですが、そちらはまだ本文に当たっ
ていないことをお断りしておきます。(編集者)


┏━┓━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■2 ▼ 国立市で「男女混合名簿」の廃止を求める(?)陳情 (1/25不採択)
┗━┛━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 1月25日、不採択となりましたが、国立市教育委員会(東京都)の定例会で
「男女混合名簿」についての陳情が出されました。
 陳情者は、これまで「男女混合名簿」の廃止を要求してきた「国立の学校教育
を考える会」(大町晋代表)。

 陳情のタイトルは、「国立市立学校の管理運営に関する規則20条(出席簿)
施行規則第12条4に規定する出席簿についての様式は別に定めると規定した、
管理運営に関する規則第20条の廃止を求める陳情」。

 これを読んで理解できる方は皆無だと思いますが、ここではあえて解説しませ
ん。やたらと本や法律の引用が多く、文意・文体が混乱しがちな上、何よりも肝
心の「陳情事項」そのものが混乱していて、法的にちぐはぐな主張となっている
からです。要するに、ホンネとしては、「混合名簿を廃絶せよ」ということです。

 (以下、編集者の感想です。)
 この団体は、以前も「国立市小・中学校におけるジェンダー・フリーの考え方
に基づく男女混合名簿の廃止を求める陳情」(2005年2月3日)を出しています。
 このとき、国立市教委は「出席簿の作成は、校長の権限と責任において行うべ
きものでありまして、教育委員会が市立に男女混合名簿を廃止した場合、学校に
さまざまな混乱が起きる恐れがあります」との見解を示し、不採択としています。

 その後、国立市の学校はといえば、「男女別名簿」に変わったところもあれば、
「混合名簿」のままの学校もあります。
 一方、東京都教育委員会では、米長教育委員が奮闘しているものの、公式見解
としては「『男らしさ』や『女らしさ』をすべて否定するような誤った考え方と
しての『ジェンダー・フリー』に基づく男女混合名簿を作成することがあっては
ならない」(2004年8月26日)との微妙な表現をしています。
 そんな中、校長たちもあまり「男女別名簿」への切り替えに積極的とはいえず、
「混合名簿廃絶」が思うように進まない状況をなんとかしたい、というのが陳情
者の問題意識でしょう。

 本音としては「男女混合名簿を廃絶せよ」と言いたいのでしょうが、正面きっ
て主張できない状況の中で苦慮しつつ、いろいろ理屈を考え出した結果、この
分かりにくい陳情がひねり出されたのだと思います。

 なお、陳情文では『どうして、いつも男が先なの?』(新評論)を多数引用。
添付資料は以下の通り。

(1)『男女平等バカ』(宝島)より、
「偏向教師たちに支配された倒錯のジェンダーフリー教室」(安田水浩)

(2)性差否定の教育各地で「排除を」/男女参画計画にらみ採択相次ぐ
   (産経新聞2005年12月25日)

(3)国立市男女平等教育手引き(国立市教育委員会発行)
 (以前、大町氏らの陳情がきっかけとなり、絶版に。
  見直しということで棚上げになったまま。)


┏━┓━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■3 ▼ 《本》『どうして、いつも男が先なの? 男女混合名簿の試み』
┗━┛━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 この本は、東京都・国立市で1983年頃から始められた「男女混合名簿」など、
学校教育における「男女平等」の取り組みについての記録です。しばしば、反
「ジェンダーフリー」派にも引用されている本でもあり、ご一読をおすすめしま
す。

 ここ数年、様々なところで反「ジェンダーフリー」攻撃が起こっていますが、
「ジェンダーフリー」の定義、あるいは「過激な事例の有無」等に、問題が矮小
化されることに疑問を感じています。
 そこで、あらためて、「男女混合名簿」を始めた教員たちの問題意識はどこに
あったのかを確認するため、ずいぶん長くなりますが、『どうしていつも男が先
なの?』より「はじめに」を引用します。

=========================================================================
 『どうして、いつも男が先なの? 男女混合名簿の試み』
  (男女平等教育をすすめる会 編/新評論/1997年)

はじめに

 「女に生まれて良かった。将来働かなくてもいいから」という十一歳の女の子
たちのアンケートの答えに、教師の横っ面をひっぱたかれたのが、国立市の学校
現場での十四年前。私たちはこれまで、女の子が自らの生存を自分で支えていく
自立の思想、将来社会に出て働く人間になるという労働観を育てるための教育を、
何ひとつしてこなかったのではないかという反省に駆り立てられた。

 どこに問題があるのか、学校の中の日常的な教育活動に目を向けたとき、真っ
先に気がついたのが、「男が先」の男女別名簿。そして、何でも女と男を分けて
行う、男女別学制ともいうべき男女の分離システムだった。

 それに気づいた者から、一人ずつ混合名簿の実践が始まった。そして名簿を変
えるだけにとどまらず、学校生活の中でのあらゆる男女の分離の習慣を、男女を
混ぜるという原則をたてて、ひっくり返してみることになった。朝会の並び方を
初めとする、ひとつひとつの事例に、男女を分ける意味があるのかを問い直した
とき、これまでの男女別の習慣はことは、何の意味もないことがわかってきた。
それだけではない。男女を分けることは、女と男が異なった存在であることを意
識づけ、更に、常に男が先という明らかな差別を生み出していることも見えてき
た。ゆっくりとしかし確実に、学校の風景は女と男が混ざったものに変わっていっ
た。

 十四年の実践が明らかにした混合名簿は、たかが名簿と侮れぬものであった。
建て前で男女平等と思われていた学校教育の本質を、見事に露呈させるものであっ
た。もともと学校教育は人間の社会化を意図するシステムである。そして、この
社会が性別役割分業のまかり通る差別社会であれば、学校が性役割の再生産工場
としての機能を持っているのは、むしろ当然のことであろう。「男が先」の男女
別名簿は、その実に分かりやすい一つの象徴であった。

 一点突破全面展開という言葉があるが、混合名簿という一つの実践は、実にた
くさんんの展開を生んだ。多くのことが見えてきた。運動会、学芸会等の学校行
事や、入学式、卒業式等の儀式の非日常の中で、クラブ活動や教科の授業の日常
の中で、キーワードは男女の分離と男が先(主役)であった。「本校のこれまで
のやり方」という伝統という名の慣習の中にひっそりと隠れていた性差別に、混
合名簿はしっかり照準を定めたのだ。男女別名簿に固執し「私は差別をしていな
い」とうそぶく教師の言葉は、この慣習の守護神の断末魔の声ともいえる。

 この教師の無意識こそ、これまで学校の中の性差別を維持し存続させてきた張
本人であった。教師の思想、感性は何気ない言葉、態度となって、子どもたちに
伝えられる。恐らく意識して言葉で伝えようとしている表のカリキュラム以上に
確実に。これが現在、性差別の「隠れたカリキュラム」という名で呼ばれ、顕在
化してきたものだ。

 この隠れたカリキュラムは、混合名簿を実践し、男女平等教育に取り組んでい
る私たち自身への問いかけでもある。「男が先」の名簿を止め、混合名簿にする。
オール「さん」づけを初めとして、考えられるあらゆる場面で男女を同等に扱う。
どんな役割も男女が半々で平等に担うようにする。というように、表に見える限
りでの男女平等への教師の努力はある程度実を結んだ。 

 しかしながら、ひとたび教室の中に入り、個々の授業の中身を見てみれば、教
師自身が身につけている女と男についての世界観が問われてくることが分かる。
声の大きい、動きの多い、騒がしい男の子たちに振り回されていないか。黙って
授業を受けていて、手のかからない女の子たちに気を配っているか、等々。自分
自身を省みて、思い当たるところが多々あるだろう。男の子は元気で活発、威勢
がよく、女の子はおとなしく、静かでやさしいのが当たり前と、実は心のそこで
思っていたりするのに気づく。勝負はまさにこれからである。

 個々の教師の自分への問いかけが全ての始まりであったこれまでと同じように、
厳しい自己点検と現場での話し合い、討議を積み重ねていかなければならない。
更に、教室の中での教師と子どもたちの有り様を、ジェンダーの視点で客観的に
チェックする方法論を確立したい。そこで教師間の相互批判が可能になれば、学
校の中の風通しは飛躍的に良くなるだろう。こうして、「私」から友達に、クラ
スから学校全体に、同時に等身大の組合運動の中でというふうに、隠れたカリキュ
ラムについて問題提起をしていきたい。

 どんな奇妙な、或いは非人間的な慣習も、その日常の中で生活し慣れ親しんで
しまうと、ひどいと感じられなくなることは歴史の示すとおりだ。世界で例の少
ない男女別名簿は、男女差別名簿である。その名簿という奇習と決別するために、
国立という小さな町から日本全国に向けメッセージを送りたい。混合名簿は女の
子の状況を変える。そして女の子の状況を変えることは、日本を変え世界を変え
ることだと。

 この活動報告集が、学校の中の女の子の状況を変えたいと考えている現場の教
師たちと、女の現在に異議を持ち、女の未来を変えたいと願っているたくさんの
人たちの役に立ちますように。


┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  最後までお読みいただきありがとうございました。
 ……………………………………………………………………………………………
  ★ご意見・情報提供などはこちらまで(suruke@m13.alpha-net.ne.jp
  ★バックナンバーはブログをご覧下さい(http://blog.livedoor.jp/suruke

      *****【カンパ歓迎です】*****
     ●郵便口座:00210-3-131811
     ●口座名 :「日の丸・君が代」強制反対市民運動ネット
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 「日の丸・君が代」強制に反対する市民運動ネットワークは、「日の丸・君が
 代」強制に抗する各地域・団体などの取り組みをつなげていこうと、2001年1
 月につくられました。総理大臣宛ての署名提出、教育委員会への申し入れなど
 行ってきました。

   +*+============================================================+*+  
*****************************************

 

ジャンル:
東京都
キーワード
ジェンダーフリー 男女混合名簿 南日本新聞 ジェンダー 教育委員会 教職員組合 隠れたカリキュラム 鹿児島県議会 東京都教育委員会 クラブ活動 新しい歴史教科書 性別役割分業 女に生まれて 男女平等バカ 神奈川新聞 南日本新聞社 県議会議員 労働委員会 性別役割分担
コメント (0) |  トラックバック (0) |  この記事についてブログを書く
Messenger この記事をはてなブックマークに追加 mixiチェック シェア
« 「ハマース大勝」... | トップ | 新たな「不起立」... »

コメント

コメントはありません。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。
 ※ 
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。
※文字化け等の原因になりますので、顔文字の利用はお控えください。
下記数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。この数字を読み取っていただくことで自動化されたプログラムによる投稿でないことを確認させていただいております。
数字4桁

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
ブログ作成者から承認されるまでトラックバックは反映されません。

あわせて読む