| マグヌス |
シルヴィー・ジェルマン 辻由美 訳 四六判・222頁 定価2730円(本体2600円) ISBN4-622-07255-6 C0097 2006.11.10 MAGNUS by Sylvie Germain |
マグヌスは、ぬいぐるみのクマの名前。五歳で記憶喪失におちいった男の子は、このクマを肌身離さず持っていた。ナチス党員の父親は、敗戦後も逃げのびて、単身メキシコへ逃亡、自殺を遂げる。そして生活に疲れた母もまた……。しかし、大人の都合で何度か名前を変えさせられた男の子の過去は、嘘とつくり話で塗り固められたものだった。そこから彼の長い旅がはじまる。舞台はドイツからイギリス、さらにメキシコ、アメリカへ。 驚異的な記憶力をもち、数ヶ国語をあやつる彼だが、自分はいったい誰で、どこからきたのかもわからず、本当の名前を知らない。マグヌスだけが唯一の過去の証し。読む者の予想を裏切りながら、ドラマチックに進んでゆく物語の底には、さまざまな小説的興奮が潜んでいて、「小さな本なのに、十冊も読んだようなこの印象はどこからくるのだろう」と評されている。ますます注目される《高校生ゴンクール賞》を2005年に受けた、ベテラン作家シルヴィー・ジェルマンの最新作。 |
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シルヴィー・ジェルマン(Sylvie Germain) |
| 1954年生まれ。フランスの作家。エマニュエル・レヴィナスのもとソルボンヌで哲学を専攻し、哲学博士号を得る。文化省勤務のかたわら創作活動に入る。1985年に発表した処女作『夜の本』は書評家たちの絶賛をあつめ、グレヴィス賞をはじめ六つの文学賞を受賞。1986年から1993年にかけてプラハに住む。作品に『怒りの日々』(1989、フェミナ賞)、『愛うすき人びとの歌』『無限大』など、いずれも高い評価をうけて、20数カ国語に翻訳されている。 |
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辻 由美(つじ・ゆみ) |
| 翻訳家・作家。著書『翻訳史のプロムナード』(1993、みすず書房)『世界の翻訳家たち』(1995、新評論、日本エッセイストクラブ賞)『カルト教団太陽寺院事件』(1998、みすず書房)『図書館で遊ぼう』(1999、講談社現代新書)『若き祖父と老いた孫の物語――東京・ストラスブール・マルセイユ』(2002、新評論)『火の女シャトレ侯爵夫人――18世紀フランス、希代の科学者の生涯』(2004、新評論)『街のサンドイッチマン――作詞家宮川哲夫の夢』(2005、筑摩書房)ほか。訳書 ジャコブ『内なる肖像』(1989、みすず書房)ダルモン『性的不能者裁判』(1990、新評論)ヴァカン『メアリ・シェリーとフランケンシュタイン』(1991、パピルス)メイエール『中国女性の歴史』(1995、白水社)ほか。 |
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| 双書 時代のカルテ | ||
| 失われた書を求めて | ||
| 石川 九楊 | ||
筆先が白紙に接する「書」の一瞬──言葉をつむぎ,意識に骨組みを与え,文体をつちかった宇宙的行為の再生に向けて.書の経験から遠ざかることで失ったものとは何か.かつて置き忘れた生存の根とは何か.リアルにして一回的な書の宇宙に,現代の実存と社会の命運のすべてを映し,廃棄すべき貧困と戦争の文体を明るみに出す |
| ヒトは着衣することによって人間と化した.この着衣とは腰紐,帯,ベルトを指す.人間はパンツをはいたサルではない.紐を腰に巻きつけることによって自己の輪郭を確定した,腰紐を巻いたサルなのである. 自然自体として輪廻しえたであろうヒトが,いかなる偶然の積重なりか,あるいはいかなる必然か,また何の悪戯か,聖書の禁断の果実の喩えさながらに,自然から分かれ,言葉をつくってしまった以上,人間は限りなくエデンの東への旅を続けなければならない. エデンの東は楽園ではありえぬ荒野ではあるが,別段,無間の地獄であるわけでもない. そこには大いなる希望が横たわっているのである. (本書より) |
| 石川九楊(いしかわ きゅうよう) |
| 1945年,福井県生まれ.書家.京都精華大学教授. 著書:『書の終焉――近代書史論』(同朋社出版,サントリー学芸賞受賞),『書とはどういう芸術か――筆蝕の美学』(中公新書),『日本語の手ざわり』(新潮選書),『書に通ず』(新潮選書),『日本書史』(名古屋大学出版会,毎日出版文化賞受賞),『中國書史』(京都大学学術出版会),『筆蝕の構造』(筑摩書房),『「二重言語国家・日本」の歴史』(青灯社),『書――筆蝕の宇宙を読み解く』(中央公論新社),『日本語とはどういう言語か』(中央公論新社)ほか. |
| 予断・診断・独断 書字――場に生起する劇について |
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| 白紙(ブランク)=黒紙(ブランク) もうひとつの世界 垂直と水平 余白 沈黙 普遍 | ||
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| 武具と文具 筆鋒 柄または軸 触覚 摩擦 筆画 起筆 送筆 終筆 筆蝕の劇 ふるまい 代行書字 字画と文字 | ||
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| 言葉と意識 意識 意識と言葉 言葉と幻像 性 比喩 発語と吃音 語彙 文体 倣う 逆く | ||
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| 言葉と文体 スタイルの共通性 文体 文体と書体 文体の未成熟 | ||
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| 「さわり」と「しこり」 幻像 痕跡 「さわり」と痕跡の対話 作品の誕生 抽象 美 | ||
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| 私 社会 歴史 法 国家 戦争 民族 東の文体,西の文体 逆数 | ||
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結びに代えて 言葉なんかおぼえるんじゃなかった
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マグヌスは、ぬいぐるみのクマの名前。五歳で記憶喪失におちいった男の子は、このクマを肌身離さず持っていた。ナチス党員の父親は、敗戦後も逃げのびて、単身メキシコへ逃亡、自殺を遂げる。そして生活に疲れた母もまた……。しかし、大人の都合で何度か名前を変えさせられた男の子の過去は、嘘とつくり話で塗り固められたものだった。そこから彼の長い旅がはじまる。舞台はドイツからイギリス、さらにメキシコ、アメリカへ。









