学力テストで予算に格差(東京・足立区)/心のノート ガラガラポン

2006-11-08 23:42:57 | 教育
また、足立区は「学校選択制」を採っており、これと学力テストの結果で予算に差をつけることと結合させる訳だ。まったくひどい教育行政施策だ。「教育バウチャー」をメインの教育施策とする安倍内閣の「新自由主義教育」の先取りだ。これは住民の「平等権」に反し、足立区の住民で予算の不平等配分に対して監査請求で訴えるといいと思うのだがどうだろうか。(一作)<以下、新聞記事のため転載禁止>

学力テストで予算に差 足立区教委、小中学校4ランクに
(朝日新聞 2006年11月04日08時01分)
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200611030406.html

 東京都足立区教委は、区立小中学校に配分する07年度予算で、都と区の教委がそれぞれ実施している学力テストの成績に応じて各校の予算枠に差をつける方針を固めた。小学校計72校、中学校計37校をそれぞれ4段階にランク分けし、最上位は約500万(中学)~約400万円(小学)、最下位は約200万円にする予定。都のテストで同区が低迷していることなどから、学校間競争をさらに促す必要があると判断した。

 区教委によると、差をつけるのは各校の自主的な取り組みを支援する「特色づくり予算」の金額。各校の申請をもとに配分し、外国人講師や補習指導ボランティアの派遣費用などに使われている。07年度は前年度比約1億5000万円増の約4億1000万円を予定している。

 ランクづけの大きな根拠は、年1回実施される都の学力テスト(小5と中2の全員が対象)と区のテスト(小2以上の全学年全員が対象)。都テストで、各校の平均正答率が、都平均と区平均以上の科目がそれぞれいくつあるか▽区テストの成績が前年度からどれだけ伸びたか――などの項目を設けて査定する。

 これらの成績と校長からのヒアリング結果を8対2の比率で数値化し、各校の「実績」とする。満点は小学校が165点、中学校が170点で、上位から順にA(全体の1割)、B(同2割)、C(同3割)、D(同4割)のランクに区分けする。

 予算枠はAランクの中学校で約500万円、小学校で約400万円。B、Cと減らし、Dランクは小中学校ともに約200万円にする。各校が「特色づくり予算」について申請すると、ランクの枠内で認める。

 教材費や光熱費など学校運営の必要経費は、従来通り児童・生徒数やクラス数などの「基礎数」に応じて配分する。これまで中学校は1校あたり平均で約1000万円、小学校は約850万円を配分してきた。07年度はこの経費にむだがないかどうかを厳しく精査して圧縮し、「特色づくり予算」の増額分に振り分ける方針だ。

 同区は02年度に区全域の小中学校で学校選択制を導入。都と区のテスト結果については、教科別まで各校の平均正答率をホームページなどで公表している。人気中学校の多くが学力テストの平均点が高い傾向がある。今回のランクづけは公表しない。

 04年2月に初めて実施された都のテストで、同区の成績は23区中23位だった。今年1月の都のテストでは中学校は22位、小学校は21位と順位を上げた。

 内藤博道・区教育長は「頑張った学校に報い、校長と教員の意欲を高めることが、区全体の基礎基本の学力向上につながる。これまでも希望に応じて非常勤講師を追加配置するなどの対策をとっており、成績のよい学校ばかり優遇するわけではない」と話している。

 文部科学省の担当者は「学力テストの結果を予算に反映する例は聞いたことがない」と話している

学力調査、効果と弊害 「全国」40年ぶり復活
(朝日新聞 2006年10月30日11時57分)
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200610300141.html

 来春、小6と中3の児童生徒全員を対象にした国の「全国学力調査」が約40年ぶりに復活する。「学力向上」のかけ声のもと、多くの自治体はすでに独自の学力テストを活用している。国に先行する教育現場を取材すると、取り組みの成果とともに、その速さに対する戸惑いや結果公表の弊害を指摘する声が上がっていた。

●東京・足立区 「最下位」に対応加速

 東京都足立区のある区立中学校。この秋開かれた小学6年生の保護者向けの学校説明会で保護者の一人が校長に質問した。

 「学力テストの成績は上位ですか、中位ですか、下位ですか?」

 校長は、足立区のホームページを見たり、区教委に問い合わせたりすることで調べられると説明し、答えなかった。

 足立区では、住んでいる住所にかかわらず入学する区立中学校を選ぶことができる。「学力が高い中学校に行かせたいという親のプレッシャーがあるのでしょう。でもペーパーテストの結果で分かる学力は一部なんですが」と校長は言う。

 足立区が、学力向上策を加速させたきっかけは、04年2月に東京都教委が初めて実施した中学2年生全員への学力テストだ。同年6月、都教委は市区町村別の平均正答率を発表。足立区は23区中23位。区は「地域や保護者への説明責任」という理由で全37中学校の平均正答率を公表した。

 「高い順位だとは予想していなかったが、23位はショックでした」と内藤博道教育長は言う。教育改革推進課を中心に学力向上策を考え、翌05年度、同課は「学力向上推進室」と名を変えた。

 05年度から、各校で各教科の「授業改善計画」の作成を義務づけた。少人数授業のため「ステップアップ講師」の派遣も始めた。今年の春休みと夏休みは、三つの中学校に学習塾の講師を派遣して補習をした。来年度からは小中全校で夏休みを5日間短縮する。

 春夏ともに塾講師の補習があった花畑中学の渡辺敏校長は長所と短所があるとした上で「部活動と勉強を両立させての学力を求めたい。『学力向上』の4文字だけを追いかけるのはしのびない」。

 ある中学校の校長は次々に新しい施策が打ち出されることに対して「あまり急がない方がいい」と語る。急激な学力向上対策は子どもや学校現場が惑う、と心配する。

 今年1月に行われた都の学力テストで足立区は、小、中ともに前年度の23区最下位を脱却。中学校は22位、小学校は21位と順位を上げた。

 内藤教育長は「願いはすべての子どもが基礎基本を身につけて卒業すること」と話し、都の学力テストで都全体の平均に届くことが目標という。(以下、略))

東京・足立区:学力テストの結果で予算配分に差 小中学校
(毎日新聞 2006年11月4日 18時11分)

 東京都足立区教委は07年度、区内の公立小中学校(72小学校、37中学校)で実施した学力テストの結果を基に、予算配分に差をつける方針を決めた。最大約300万円の差がつく。「地域格差の拡大につながる懸念がある」との意見もあり、論議を呼びそうだ。

 同区教委教育政策課によると、学校独自の取り組みを支援する「特色ある学校づくり予算」(04年度導入)の一環。都と区がそれぞれ年1回実施する学力テストの平均点などを中心に、学校独自の計画などを加味し、A~Dにランク分けする。Aランクは全体の1割で最大約500万円、Dランクは全体の4割で約200万円を配分する。

 これとは別に、必要経費として中学校は約1000万円、小学校は約850万円を配分してきたが、区教委は「予算の執行がない部分がある」として、その分を「特色づくり予算」に移し、外国人講師や部活動指導者などの費用に充てることを見込んでいる。

 足立区は04年度の都実施の学力テストで小中学校とも23区中最下位。一方、保護者らが教員人事に関与できる「コミュニティー・スクール」を全国初導入、経営コスト改善など「学校経営改革」を実施し、今回も改革の一つと位置づける。

 根本優・同課長は「学校の裁量権を増やしたい。成績優秀校に予算が手厚くなるが、それ以外の学校には別の予算で講師補充など支援をしたい」と話す。

 公立学校の政策に詳しい葉養正明・東京学芸大学教授(学校政策論)は「それぞれの学校を活性化させる観点では理解できるが、テストの結果を利用するのはどうか。テスト結果の背後に潜む所得格差など社会要因を十分考えなければ、地域格差の拡大という社会問題に広がる懸念がある」と話した。【森禎行】


http://homepage3.nifty.com/gakuronet-takatsuki/gakko_061108.html


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