日本は「世界で一番冷たい」格差社会 ・マルガリータ・E・アベ(ハーバード大)/DIAMONDonline

2013-04-17 10:53:59 | 世界
雇用環境も福祉も欧米以下!
日本は「世界で一番冷たい」格差社会


Margarita Estevez-Abe(マルガリータ・エステベス・アベ)
ハーバード大学で博士号を取得し、ミネソタ大学助教授を経て、2001年よりハーバード大学政治学部准教授。
専門は日本の政治経済、比較政治経済、比較社会政策。主な著書に『Negotiating Welfare Reforms: Actors and Institutions in Japan』 『Institutionalism and Welfare Reforms』『Welfare and Capitalism in Postwar Japan』。
2007年11月には連合総研のシンポジウムで「市場社会と福祉行政」について講演し、日本の雇用形態にも疑問を呈した。

---

日本の格差問題も英米に比べればまだまし――。そう考える人は多いことだろう。
しかし、ハーバード大学のマルガリータ・エステベス・アベ教授は、福祉機能で米国に劣り、雇用環境で欧州以下の日本こそが、先進国で一番冷たい格差社会であると警鐘を鳴らす。(聞き手/ジャーナリスト 矢部武)

---

日本で格差問題が悪化したのはアメリカ型の市場原理を導入したからではないか、との批判が高まっているが、これにはいくつかの誤解がある。

 アメリカは確かに国家の福祉機能が小さく、利潤追求と競争の市場原理を重視しているが、それがすべてというわけではない。市場原理にまったく従わない民間非営利セクターが大きな力をもち、福祉機能、すなわち社会を維持する役割を担っている。

 貧困者や市場で失敗した人たちの救済活動はその分かりやすい例だろう。

 非営利団体はホームレスのシェルター(無料宿泊所)を運営したり、食事や古着を提供したりしている。ハーバード大学の学生も忙しい勉強の合間にボランティアで恵まれない子供に勉強を教えたり、あるいはシリコンバレーで成功した人が社会貢献活動をするのがブームになったりしている。このようにアメリカには、政治に対する意識とは別に自分が社会に何を還元できるのかを考える人が多いのである。

 日本はアメリカと似て国家の福祉機能が小さく、また、「自助努力が大切だ」と考える人が多い。しかし、企業や社会にはじき出された人を守るシステムが弱く、家族に頼らなければならない。経済的に余裕のある家庭ならばよいが、問題は家庭内で解決できない時にどうするかである。

 意外に聞えるだろうが、生活保護の受給条件はじつは日本のほうが厳しい。アメリカでは個人に受給資格があればよいが、日本では家族の所得も事実上調査される。大学教授だった私の知人は裕福だが、息子は生活保護を受けている。日本だったら、まずあり得ない話だろう。日本の役所は生活保護の申請書をくれなかったりするが、他に助けてくれる所がないから行政に行っているのになかなか助けてくれない。

 ちなみに、アメリカ型の市場原理に対する批判はヨーロッパでもある。ただ、欧州先進国の多くは国家の福祉機能が大きく、「市場で失敗するのは個人だけの責任ではないので、国家が助けるのは当然だ」と考える人が多い。こうしてアメリカとヨーロッパ、日本を比べてみると、日本が一番冷たい社会のように思える。

・・・後半は「無料登録」により読むことが出来ます

http://diamond.jp/articles/-/2319


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18 コメント

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馬鹿じゃね(笑) (テル)
2013-04-17 21:35:54
もう少し勉強しろや(笑)
Unknown (Unknown)
2013-04-18 00:53:00
日本に来て日本に10年くらいすんでから発言しれ。
さらしておきます (薔薇、または陽だまりの猫)
2013-04-18 01:01:22
↑の2つの コメント あえてさらしておくことにしました。
このての連中が、安倍晋三や橋下徹などを、とても愛しておるのだ、という実例として。
そうなんですか? (へぇ…)
2013-04-18 07:06:30
なにかのリサーチの統計で日本は世界でフランスに次ぐ二番目に格差が少ない国だとかいていましたが?

どれが正しいんでしょうかねぇ(笑)
Unknown (バッジ@ネオ・トロツキスト)
2013-04-18 14:06:16
社会実態を数値・数量化して把握しようとする作風、それが社会生活のいかなる面でも可能であるかのように思い込むことは、都留重人氏たちが批判したGDP成長至上主義と同様の幻想性を帯びてしまうと思いますが、それでも国連機関やOECDが公表している各種社会指標は日本社会の全面的後進性を暴露していますね。
一度、いろいろな社会指標、生活指標の国際比較を列挙一覧化してみてはどうでしょう。ユリカゴから墓場まで、「先進国」ニッポンの国民生活条件がいかに貧しく遅れたものであるかがハッキリすると思いますよ。
日本の奨学金制度がサラ金化していることが先日酒席で話題になりましたが、「大企業栄えて民滅ぶ」や「日本の常識は世界の非常識」は一向に改善されていないのが日本社会です。

『これが先進国ニッポンの実情だ!』みたいなタイトルで、そういう国際比較を網羅して紹介する著作物が出版されることを期待しますね。
Unknown (Unknown)
2013-04-19 02:35:51
世界で一番??ありえない。海外に行くと地下鉄や道端で物乞いしてるホームレスやスラム街の酷さ、
犯罪の多さにびっくりするよ。アメリカに暮らせば、格差のひどさにがく然とする。
アメリカの福祉制度はともかく、医療保険の実態を少しても勉強すれば、この記事のデタラメさが分かるはず。
日本は世界で一番、格差が少ない国と言ってもあながち間違いではないです。
東北大震災で略奪が見られなかったと世界で絶賛された理由のひとつは、国民がみな一定以上のレベルで暮らせているから。
まあ、アフリカでも行ってみなよ。中南米でもいい。
精神科医 (宮地 達夫)
2013-04-20 18:35:55
1.2 格差拡大の要因 格差拡大の大きな要因として挙げられるのが新自由主義に基づく小さな政府路線の政策であ
1 「日本を考える~格差を超えて・番外編」『読売新聞』、2007年3月1日 2 大竹(2005)p.i.
23香川大学 経済政策研究 第4号(通巻第4号) 2008年3月
ると言えるだろう。新自由主義的な政策を続けた小泉首相(2001 年 4 月~2006 年 9 月)は「格 差が出ることが悪いとは思わない」と格差是認ととれることを述べた。これは、新自由主義、 市場経済を優先させるような経済政策を実施したら、貧富の差が拡大し、日本が格差社会にな ることを認めた発言であるといえる。
日本における新自由主義の政策の始まりは、80 年代の中曽根政権下での電電公社や国鉄の民 営化等の手段による行政改革である。その後、バブル崩壊とその後の景気低迷が続くことによ り、新自由主義的政策が進められていくことになる。
そのような新自由主義の経済政策を実施することによって市場の競争力を高め、経済成長に つなげようとしたわけだが、実際に新自由主義的政策が直接、経済成長につながったかどうか は、評価が分かれるところである。
どちらにせよ、新自由主義の経済政策は「格差」の拡大という弊害を生むことにつながった。 規制緩和による競争の激化で「勝ち組」「負け組」の格差を生むことになり、こうしたなか、日 本もアメリカのような弱肉強食の世界になり、貧富の差が拡大する、といった主張や階級社会 の到来などと結びつける論調も目立っている。
さらに、日本の格差拡大の背景として二つの要因が考えられる。ひとつは、政府の児童手当・ 失業給付・生活保護などの社会保障給付および税による所得格差の縮小策が、極めて貧弱であ ることである。ない格差拡大をめぐる論点は、大きく分けて 3 つある。第 1 の論点は事実関係をめぐる論点であ り、経済格差を示す各種の指標をみると、確かに格差拡大の方向を示しているが、はたしてそ れは人口構成の変化による「見せ掛けの格差拡大」なのか、それとも「真の格差拡大」なのか といった点にある。第 2 の論点は、原因に関するものであり、客観的な格差拡大や主観的な不 平等感の高まりは、長期にわたる景気低迷やグローバル化といった環境的な問題が要因となっ たのか、政府の規制改革による悪影響なのかという点である。そして第 3 の論点は政策に関す るものであり、政府が経済の効率性と公平性にどう対応していったらよいかという点にある11。
2.1 事実関係をめぐる論点
まず第 1 の事実関係をめぐる論点については、ある程度、決着がついたといわれている。2006 年 1 月に内閣府は、格差の拡大は統計上の「見かけ」にすぎないとする見解を公表した。日本 では 80 年代以降、ジニ係数は、格差拡大傾向を示しているが、最近の研究によると、その主た る要因は世帯主の高齢化や単身世帯など少人数世帯の増加にあることが示されている、という ことである。実際、1999 年から 2002 年にかけてのジニ係数上昇のうち、64%は世帯主年齢構 成比の変化(高齢化)により、25%は世帯員構成比の変化(単身世帯等少人数世帯の増加)に より説明され、それ以外の雇用形態の違いなどによる所得格差拡大は 1 割程度に過ぎない12。
しかし、先の格差に関する調査においてもわかるとおり、国民の多くは格差を実際に感じて いる。さらに、高齢化が格差拡大の要因であるという見解は、高齢世帯の貧困化の問題を無視 している点に注意しなければならない。もともと所得格差が大きい高齢者であるが、その中で さらに格差が広がっているとしたら、それは見せ掛けの格差ではない。ただ、2007 年現在の段 階では高齢者のジニ係数は低下傾向にある。
他方、フリーターやニートの増加によって若年層の賃金格差が拡大しており、これまでの見 せ掛けの格差が拡大しているに過ぎないという見方の根拠となっていた「同一世代内ではジニ
10 橘木(1998)pp.68,69. , 勇上(2003) p.3. 11 樋口(2006)「経済格差をめぐる三つの論点」 12 厚生労働省『所得再分配調査報告』
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係数が安定している」という状況が変わってきた。2006 年 8 月に発表された労働経済白書では、 20 歳代の若者の収入にみられる傾向として、年収 150 万円未満の層が増加するとともに、500 万円以上の層も増えていると指摘している 13 。所得の低い若年層は親と同居するケースが多く、 世帯間の所得格差はそれほど顕在化していないようだが、彼らが独立したとき、格差が一気に 拡大することも考えられる。これは確かに「見せ掛けの格差拡大」に過ぎないといえるかもし れないが、その結論にこだわらず、政策的対応が必要となる将来の格差拡大に注意を払うこと が必要である。
2.2 原因に関する論点
第 2 の原因をめぐっては、日本における戦後の所得格差の推移を見ると、景気変動や労働需 給の変化に大きく左右されており14、90 年代に入ってからの長期景気低迷が格差拡大に強く影 響していることは間違いない。ただ、諸外国同様、海外直接投資をはじめとする経済のグロー バル化やIT技術の急激な進歩は高学歴労働者の需要を拡大し、低学歴労働者の仕事を減らした ため、失業や賃金に格差が生じた可能性がある15。規制改革による影響も考えられるが、日本 ではこれに着手する以前からジニ係数は拡大をはじめており、規制改革のみによっては格差拡 大を説明することはできない。だからといって、規制緩和による競争の激化で「勝ち組」「負け 組」の格差が生まれていること、つまり、「格差が拡大していることを容認し、規制緩和や競争 促進などの政策によって、それを助長している16」ことは否定できない。これらの要因のそれ ぞれが格差拡大につながっていることは間違いない。
2.3 政策に関する論点
第 3 の政策をめぐる論議では、弱者保護の視点から社会保障の拡充によるセーフティネット の強化を求める声が強い。しかし、事後的に所得平等が保障された場合、モラルハザードを引 き起こす危険性があることには注意しなければならない。セーフティネットの強化という視点 では、能力開発や社会的職業能力評価基準の確立、資金助成や助言機能の強化といった個人の 挑戦支援策を拡充させること、すなわち、努力した者が報われ、誰もが挑戦できるような社会 を目指す政策が重要になってくるだろう。
再チャレンジ支援策
政策に関する論点に関連して、安倍政権(2006 年 9 月~2007 年 9 月)は、「再チャレンジ支 援策」として、フリーターの正社員化などを掲げた。政府が打ち立てた「再チャレンジ支援策」 の内容をいくつか挙げる。就職支援施設(ジョブカフェ)による仕事の紹介やセミナー、雇用 の年齢制限を努力義務から禁止事項に変更、職業能力の開発に主眼を置いた就業支援、原則無 償で就職を支援する日本版デュアルシステム、3 か月の試用期間を経験し、その後、双方の合
13 厚生労働省「労働経済白書」2006. 第 3 章,第 1 節. 14 大竹(2005)pp.3-5. 15 大竹(2005)pp.177-182. 16 橘木(2006)p.59.
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日本社会における格差の広がりとその対策
香川大学 経済政策研究 第4号(通巻第4号) 2008年3月
意により正社員に採用される制度であるトライアル雇用などがある。しかし、職業能力の開発 に主眼を置いた就業支援は時間や経済的な問題があり、日本版デュアルシステムは分野が限定 的であるという問題があるといったようにうまく機能しているとは言い難い。唯一、トライア ル雇用は成果をあげており、2004 年にはこの制度を利用した人の 8 割(約 3 万人)が正社員に なったという実績がある17。このような政策でフリーターの数を 2010 年までに 2006 年の数の 8 割にする方針を打ち出したわけだが、フリーターの受け入れには、企業サイドに難色を示す声 もあり、日本経団連の調査によると、35 歳以下の正社員の数が足りないと感じている企業は 78.7%であるにもかかわらず、フリーターを「積極的に採用する」と答えた企業は、わずか 1.6% に過ぎなかった18。「採用には消極的だが、経験・能力次第では採用したい」という回答が 64.0% ある19ものの、企業はフリーターの採用に否定的であるといわざるを得ない。
企業がフリーターを嫌う理由としては次のような理由が考えられる。企業が新卒者採用の選 考にあたって重視するのは、コミュニケーション能力や協調性、チャレンジ精神、主体性、責 任感といったものである20。これらの選考基準は新卒者に限らず、企業が求めている人材に必 要な能力であるといっても相違ないだろう。短時間労働中心のフリーターやスキルアップと無 関係な転職履歴の多い人は、仕事が長続きしないとか、トラブルを起こしやすいなどの偏見か ら上記の能力が欠けていると思われている可能性がある。さらに、採用にあたっては、事前に 持っている技能や潜在能力を評価するのが難しいため、フリーターまで手が回らないというこ とも考えられるだろう。
フリーターの再教育も必要だが、再教育を受けたフリーターや能力のあるフリーターに対す る企業の信頼を得ることも重要である。イメージ的な問題を解決して、企業の協力を得ること ができなければ、再チャレンジ支援策の成功は難しい。
ニートの増加
フリーターの増加も問題だが、もっと深刻なのがニートの増加である。1990 年以降、ニート は急増している。2002 年の段階でその数は 84 万 7 千人に達している。その多くは中学および 高校卒の者で、ニートと学歴は深い関係があることがわかる。高等教育を受けた経験のある者 は、仕事がなければ職を得ようと必死になり、「失業者」になれるが、進学を断念した人々は、 就職自体もあきらめてしまい、失業者にもなれない状況が広がっている。
さらに、ニートを抱えた世帯の経済状況は厳しいという実態が明らかになっている。ニート の中でも就職を希望していない者を抱える世帯で年収 300 万円未満の割合は 4 割にものぼる21。 4 節で述べる教育格差の問題とも絡んでくるが、今の状態では所得が低いから教育が受けられ ない、そしてニートが増えて格差が拡大するという悪循環に陥ってしまう恐れがある。早急な 対策が必要である。
精神科医 (宮地達夫)
2013-04-20 20:36:50
先ほどの研究は、正しくは岡山大学の倉満 智教授のものだった。原題は「日本社会における格差の広がり」である
1.2 格差拡大の要因 格差拡大の大きな要因として挙げられるのが新自由主義に基づく小さな政府路線の政策であ
1 「日本を考える~格差を超えて・番外編」『読売新聞』、2007年3月1日 2 大竹(2005)p.i.
23香川大学 経済政策研究 第4号(通巻第4号) 2008年3月
ると言えるだろう。新自由主義的な政策を続けた小泉首相(2001 年 4 月~2006 年 9 月)は「格 差が出ることが悪いとは思わない」と格差是認ととれることを述べた。これは、新自由主義、 市場経済を優先させるような経済政策を実施したら、貧富の差が拡大し、日本が格差社会にな ることを認めた発言であるといえる。
日本における新自由主義の政策の始まりは、80 年代の中曽根政権下での電電公社や国鉄の民 営化等の手段による行政改革である。その後、バブル崩壊とその後の景気低迷が続くことによ り、新自由主義的政策が進められていくことになる。
そのような新自由主義の経済政策を実施することによって市場の競争力を高め、経済成長に つなげようとしたわけだが、実際に新自由主義的政策が直接、経済成長につながったかどうか は、評価が分かれるところである。
どちらにせよ、新自由主義の経済政策は「格差」の拡大という弊害を生むことにつながった。 規制緩和による競争の激化で「勝ち組」「負け組」の格差を生むことになり、こうしたなか、日 本もアメリカのような弱肉強食の世界になり、貧富の差が拡大する、といった主張や階級社会 の到来などと結びつける論調も目立っている。
さらに、日本の格差拡大の背景として二つの要因が考えられる。ひとつは、政府の児童手当・ 失業給付・生活保護などの社会保障給付および税による所得格差の縮小策が、極めて貧弱であ ることである。
「年収が全国民の年収の中央値の半分に満たない国民の割合」で表す貧困率を見てみると、 図 1-1 の棒グラフ全体で示される税・社会保障給付を含めない再分配前所得で見た日本の貧困 率は 17%程度で主要な欧米諸国より低い3。(ドイツ、イタリア、フランスなどは 20%を超えて いる。) にもかかわらず、図 1-1 の薄い色の方のグラフで示される税・社会保障給付を含めた 可処分所得の貧困率4では日本は 15.3%(人口比率)であり、アメリカ(17.1%)を除いた他の 先進諸国の貧困率を大きく上回る結果となる。
図 1-1 OECD 諸国の貧困率(単位%)
日本社会における格差の広がりとその対策
香川大学 経済政策研究 第4号(通巻第4号) 2008年3月
税・社会保障給付を含めた可処分所得の貧困率を示している表 1-1 を見ても分かるように、 オランダ 6%、スウェーデン 5.3%、スイス 6.7%、ドイツ 10%、フランス 7%、イギリス 11.4% とその差は明らかである。
表 1-2 では貧困ラインを可処分所得の中央値の 50%に定義し、社会保障給付によって貧困ラ インを上回ることができた貧困世帯の割合を示しているわけだが、カナダ 45.6%、ドイツ 60.1%、 スウェーデン 88.4%、イギリス 43.0%、アメリカ 18.7%、日本 24.8%となっており、ここでも アメリカを除くほかの先進諸国より低いという結果が出ている5。
表 1-2
社会保障給付によって貧困ラインを上回ることができた貧困世帯の割合
カナダ(1994) ドイツ(1994) スウェーデン(1995) イギリス(1995) アメリカ(1994) 日本(1995)
(原資料)Nelson(2004) (出所)橘木・浦川(2006)
45.6% 60.1% 88.4% 43.0% 18.7% 24.8%
つまり、ヨーロッパ諸国は、税および社会保障給付によって低所得者の可処分所得を引き上 げ、貧困率を引き下げているということになる。一方、日本はその再分配機能が極めて弱く、 その結果として可処分所得が少なくなり、貧困率は高くなっているのである。他方、所得格差 を示す指標であるジニ係数を再分配前と再分配後で比べてみると、この変化率は非常に小さく、 アメリカよりも小さい6。このことからも日本の再分配機能の弱さは明らかであるといえる。
二つ目の要因は、日本における広汎な低賃金、すなわちパート賃金の存在である。OECDの ワーキングペーパーの“Income Distribution and Poverty in OECD Countries in the Second Half of the 1990s”によると、子供がいる片親世帯での貧困率の調査で、日本はトルコ、ギリシャとともに 注目すべき例外と述べられている。この三国に共通しているのは、働いていない片親世帯の貧 困率よりも働いている片親世帯の貧困率が高いということである7。図 1-2 ではそれぞれの国の 右側の棒グラフが働いている片親世帯の貧困率を示しているが、この三国以外の国は真ん中の 棒グラフの働いていない貧困世帯の貧困率が圧倒的に高い。働いていても貧困、つまり、低賃 金の労働が多く存在しているのである。生産年齢人口の中で家庭を持っている人々の貧困率の 内訳も日本は二人働き世帯の者がその 4 割弱、一人働き世帯の者が 3 割強を占め、無業者は 1 割強である。ほかの先進諸国では、無業層が中心となっている 8 ことからも日本における広汎な 低賃金労働の存在が見て取れる。このような勤労層が低所得層を形成し貧困率の高さを生み出
5 橘木・浦川(2006)pp.143-145. 6 橘木(2006)pp.192,193. 7 Michael Förster and Marco Mira d'Ercole(2005)p.34. 8 Michael Förster and Marco Mira d'Ercole(2005)p.28.
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している。先の調査の結果でも国民の多くが非正規職と正規職との賃金格差を感じていると示 されたように、日本で非正規職と正規職との賃金格差が拡大し続けているのは事実である。
国全体としてのマクロレベルでの経済成長の底上げがない状態、そして適切なマクロ経済政 策が不在といった状況のもとで規制緩和などの構造改革により、産業の効率化が推し進められ たことも格差の広がりを助長させる結果になったといえる。産業の効率化の具体例としては、 タクシー規制緩和が挙げられる。政府や運輸省は、規制を緩和すれば、サービスが多様になり、 タクシーの利用が促進されると期待したわけだが、小泉政権(2001 年 4 月~2006 年 9 月)・安 倍政権(2006 年 9 月~2007 年 9 月)下で実施された段階的な規制緩和のもとでも、タクシーの 供給過剰は深刻で運転手のくらしが破壊されているというのが実際のところである。このうえ さらに規制緩和されれば、タクシー台数はさらに増え、1台当たりの売り上げは激減、歩合給 で働くタクシー運転手の賃金がいっそう低下することになる。ハイヤー・タクシー、自動車教 習所、観光バス労働者の労働組合である自交総連は、ただでさえ平均年収 327 万円というひど い実態であるのに、これ以上労働条件が下がれば、低賃金を補うための長時間・過労運転から タクシーの安全が破壊され、運転者の質が低下から利用者も安心してタクシーに乗れなくなる という悪循環をも生み出してしまう、と指摘する9 。このようにマクロレベルでの経済成長の底 上げがない状態での産業の効率化は格差の拡大を促すことにつながる。
格差を縮小させるという観点からは、一国全体で得た利益をいかに再分配するかという視点 の検討も必要だろう。2. 格差拡大の 3 つの論点
格差拡大をめぐる論点は、大きく分けて 3 つある。第 1 の論点は事実関係をめぐる論点であ り、経済格差を示す各種の指標をみると、確かに格差拡大の方向を示しているが、はたしてそ れは人口構成の変化による「見せ掛けの格差拡大」なのか、それとも「真の格差拡大」なのか といった点にある。第 2 の論点は、原因に関するものであり、客観的な格差拡大や主観的な不 平等感の高まりは、長期にわたる景気低迷やグローバル化といった環境的な問題が要因となっ たのか、政府の規制改革による悪影響なのかという点である。そして第 3 の論点は政策に関す るものであり、政府が経済の効率性と公平性にどう対応していったらよいかという点にある11。
2.1 事実関係をめぐる論点
まず第 1 の事実関係をめぐる論点については、ある程度、決着がついたといわれている。2006 年 1 月に内閣府は、格差の拡大は統計上の「見かけ」にすぎないとする見解を公表した。日本 では 80 年代以降、ジニ係数は、格差拡大傾向を示しているが、最近の研究によると、その主た る要因は世帯主の高齢化や単身世帯など少人数世帯の増加にあることが示されている、という ことである。実際、1999 年から 2002 年にかけてのジニ係数上昇のうち、64%は世帯主年齢構 成比の変化(高齢化)により、25%は世帯員構成比の変化(単身世帯等少人数世帯の増加)に より説明され、それ以外の雇用形態の違いなどによる所得格差拡大は 1 割程度に過ぎない12。
しかし、先の格差に関する調査においてもわかるとおり、国民の多くは格差を実際に感じて いる。さらに、高齢化が格差拡大の要因であるという見解は、高齢世帯の貧困化の問題を無視 している点に注意しなければならない。もともと所得格差が大きい高齢者であるが、その中で さらに格差が広がっているとしたら、それは見せ掛けの格差ではない。ただ、2007 年現在の段 階では高齢者のジニ係数は低下傾向にある。
他方、フリーターやニートの増加によって若年層の賃金格差が拡大しており、これまでの見 せ掛けの格差が拡大しているに過ぎないという見方の根拠となっていた「同一世代内ではジニ
10 橘木(1998)pp.68,69. , 勇上(2003) p.3. 11 樋口(2006)「経済格差をめぐる三つの論点」 12 厚生労働省『所得再分配調査報告』
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係数が安定している」という状況が変わってきた。2006 年 8 月に発表された労働経済白書では、 20 歳代の若者の収入にみられる傾向として、年収 150 万円未満の層が増加するとともに、500 万円以上の層も増えていると指摘している 13 。所得の低い若年層は親と同居するケースが多く、 世帯間の所得格差はそれほど顕在化していないようだが、彼らが独立したとき、格差が一気に 拡大することも考えられる。これは確かに「見せ掛けの格差拡大」に過ぎないといえるかもし れないが、その結論にこだわらず、政策的対応が必要となる将来の格差拡大に注意を払うこと が必要である。
精神科医 (宮地達夫)
2013-04-21 03:19:00
更に格差を拡大しているのが、現在進行中のアベノミクスである。勢いはいいが要するに国債の日銀購入と、「経済再生戦略会議」による、実体資本へのてこ入れ、更に日本のメディアでは報道されていないが、G20、IMF.世界銀行からの「円安誘導」への警告にもかかわらず、為替戦争を仕掛けることである G20の声明では、日本メディアはそろって‘日本の政策容認」という見出しで報道されたが、容認ではなくて「警告」も含んでいるのに、無視である。既に韓国、米国、ベトナムからは、日本の円安政策が招いた、自国経済への悪影響が報告されており、これらの実体は報道されていない(ブルームベルグ)円安は、一部の輸出企業に有利とみられいたが
トヨタ、日産、丸紅等の総合商社などは既に、生産拠点を海外に移転しており、90年台の「輸出主導型経済」とは構造が異なっており、以外に恩恵が少ない。更に、常識でわかるように。消費者物価は高騰して、庶民の購買能力は落ち、主婦達は100円ショップに向かう。
経団連は、一時的な円安利益を企業に内部留保して、雇用と、賃金引き上げに回さないので、労働者の経済力も落ちる一方である。この10年で、平均賃金は10万円下がった。第二に、生保の数が史上最大になったにもかかわらず、生保の切り下げで、最低生活者の生活がより困難になった。インフラ整備といっても、いつ崩落するかわからない道路や、公共事業主体でこれらは、一時的な建設業者の利益にしかならない。要するに、失体事業の拡大で、これらが、デフレ脱却につながらないことは小泉改革で実証済みである。これらの事が示すのは一部
「架空資本」-証券会社、株取引業者などーの大儲けー(といっても一端国債が暴落すれば,大損になる。実際最近の国債の乱高下はこの可能性が高くなったことを示唆している)と、それと対極にある一般庶民の経済格差が、極端に拡大することであり、そういう格差の国外輸出である。馬鹿じゃね(笑) (テル)さん、もう少し勉強死して下さい 
へぇ (そうなんですか?)
2013-04-21 07:43:10
ただの馬鹿左翼のブログだったのね…

お気の毒に( ´△`)
精神科医 (宮地達夫)
2013-04-21 08:55:17
ハーバード大学のマルガリータ・エステベス・アベ教授の主張にも異論がある。「アメリカは確かに国家の福祉機能が小さく、利潤追求と競争の市場原理を重視しているが、それがすべてというわけではない。市場原理にまったく従わない民間非営利セクターが大きな力をもち、福祉機能、すなわち社会を維持する役割を担っている。貧困者や市場で失敗した人たちの救済活動はその分かりやすい例だろう。非営利団体はホームレスのシェルター(無料宿泊所)を運営したり、食事や古着を提供したりしている。ハーバード大学の学生も忙しい勉強の合間にボランティアで恵まれない子供に勉強を教えたり、あるいはシリコンバレーで成功した人が社会貢献活動をするのがブームになったりしている。このようにアメリカには、政治に対する意識とは別に自分が社会に何を還元できるのかを考える人が多いのである」
それでは、何故、ウオールストリート占拠運動がまず米国で始まったのか、1%が99%を搾取しており、保険を持たない障害者は貧乏人の泊まるアパートで飢え死にする国である。ベトナムやイラク戦争で負傷した傷病兵は、税金の無駄使いのターゲットにされて放置されている。どこに福祉機能があるのか。又日本で格差問題が悪化したのは、米国型の市場原理を導入したからではない、とされるが、小泉以来,米国新自由主義のフリードマンの経済原理を取り入れて地域経済破壊、公共の破壊、格差の拡大を深化させたのは小泉のブレーンである竹中平蔵ではなかったか 
Unknown (名無し)
2013-04-24 12:21:54
レールからはじき出された後の救済するシステム不足。
Unknown (Unknown)
2013-06-16 02:55:49
自虐史観の人たちは日本を特別視するのが大好きなんだろうね。http://www.ne.jp/asahi/manazasi/ichi/syakai/ikutumono0102.htm
に書かれてる
『「日本国」の「伝統」は「征服と侵略」といえるだろう』
なんて言葉はその典型。
記事はまともだがコメント欄が… (人)
2013-08-11 18:42:28
「日本は先進国で一番【冷たい】格差社会だ。実際の格差が大きくないのは家族への依存が当然視されるから。家族を頼れない場合は辛い」という意味の文章ですよねえ。

それを格差の「大きさ」の話だと思い込んだ人の多いこと多いこと。

他の先進国では例えばホームレスはシャワーも寝泊まりも衣服も無料で手に入るのが普通なのは最近知られてきましたね。

日本は頑張って先進国になりましたが、明治維新で弱者救済の心を捨てて、こういうところはまだまだですね。
どこで一番 (N.O.)
2013-08-12 01:50:12
記事には「先進国で一番冷たい」とありますが、タイトルは「世界で一番冷たい」になっていますね。この違いは大きいですよ。タイトルをつけたダイヤモンドなんちゃらの人は「先進国で一番冷たい」ではインパクトが小さいのでクリック数が稼げないと思ったのでしょうか。ネットの記事にはこのようにわざと内容をゆがめたタイトルが少なくないですね。タイトルの表現が一人歩きしても「記事を正確に読まないのが悪い」で済ませてしまうのでしょうか。タイトルしか目にしない人も多いのですから、できるだけ記事に近い表現を選ぶのが当然でしょう。
ネトウヨはおおまかに4分類できる (あらら)
2013-08-20 07:22:07
批判する相手を「左翼」と呼ぶのは生長の家の信者の特徴。
日本 (日本)
2013-08-20 09:08:21
日本は全然格差社会じゃないよ!とかっていってる人頭大丈夫か?日本は今急激な格差社会になってきているんですよ。ちゃんと本や新聞読んでいますか。先進国の中でもかなり悪いです。正規労働者と非正規労働者の賃金の格差なんて先進国でも誇れる一位です。
Unknown (Unknown)
2013-09-05 10:47:56
先進国で一番冷たいでも世界で一番冷たいでも
どっちにしてもインパクトはあると思うので、そんな所に突っ込む必要はないかと思います
あなたのような「自分は全て分かってる」的な人がいるからネットの居心地が悪くなるんだろうなって感じました

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