若者雇用政策めぐり、フランス全土でスト突入

2006-03-28 23:32:36 | 世界

仏の雇用紛争で全国スト入り オペラ座も臨時休演

2006年03月28日朝日新聞

マルセイユでデモ行進する人々=AP

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 若者向け雇用制度(CPE)の撤回を求めるフランスの労働組合や大学生、高校生は28日、全国でストやデモを繰り広げた。デモは各地で動員記録を塗り替え、労働総同盟(CGT)のチボー事務局長は「全仏で300万人が参加した」と語った。だが、パリでは参加者に紛れた暴徒が沿道の飲食店を壊すなど、混乱も起きた。ドビルパン首相は同日の国民議会(下院)で「最後通告は共和国になじまない」と、労組や学生団体を批判した。

 28日のストは、労組5団体と学生組織が全国行動日として呼びかけた。国鉄では28%の職員がストに参加、TGV(新幹線)の3分の1、在来線のほぼ半分が運休した。主要都市の地下鉄やバスも大幅な間引き運転。航空も管制官のストで国内便の約3分の1が欠航した。公立校では教員の43%がストに参加した。

 パリの国立オペラ座は新旧両館とも28日夜のバレエ公演を臨時休演し、国立シャイヨー宮劇場、フランス座もスタッフのスト参加により週内の一部公演を休止する。フィガロなど主要全国紙は印刷所のストでネット上のみの「発行」。公共ラジオも通常の番組を音楽などに切り替えた。

 AFP通信によると、午後に始まったパリのデモ行進では先頭付近に紛れていた覆面姿の約100人が、沿道のスーパーに侵入しようとして機動隊と衝突した。暴徒は営業中のカフェのガラスを割るなどした後、走って逃げたという。

 一方、ドビルパン首相が提案した29日のCPE修正協議は全労組から拒否された。首相は下院の答弁で労組や学生団体の姿勢を批判し、CPEの撤回には応じない考えを示した。

 28日付ルモンド紙の世論調査(25日実施)によると、50%がCPEの「修正」、44%が「撤回」を求めている。シラク大統領や首相は28日のデモの動員数とともに、CPEの合憲性をめぐる憲法評議会裁定(30日)を見極め、次の一手を練ることになりそうだ。

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【パリ=牧真一郎】フランスの若者雇用策「初回雇用契約」(CPE)の撤回を求めて抗議を続けている労働団体や学生団体が二十八日、全国一斉ストライキと各地でデモを実施した。一連の抗議活動でストは初めて。労働団体側は、政府の対応次第でゼネスト実施を検討するもようで、事態収拾の見通しは立っていない。

 公共交通機関は、二十八日朝から地下鉄やバスなどが間引き運転を行った。国鉄は二十七日夜から既にストに突入している。

 このほか学校や病院、メディアなど官民の幅広い業種の職員がストに参加し、市民生活は大きく混乱している。

 デモは全国百三十五カ所で行われた。最近のCPE抗議デモでは一部が暴徒化したり、デモに乗じて車などを壊す「破壊屋」が出没しているため、治安当局はパリだけで約四千人の警察官らを配置して警戒に当たらせた。

 一方、先週末にドビルパン首相と労働団体との対話が初めて行われたが、団体側が「撤回しなければ交渉に応じない」と通告したにとどまった。首相が対話を呼び掛けた学生団体のうち主要な団体は応じなかった。首相は制度の一部手直しの可能性も示唆しているが、具体的な方策は示していない。

 シラク大統領の後継者と目される首相は、右派勢力の最大ライバルで与党・国民運動連合(UMP)党首のサルコジ内相への対抗上、CPEによる「成果」を早く出したい意向とされる。内相はCPEの一時停止も視野に労組側との協調路線を提唱しており、来春の大統領選をにらんで与党内の亀裂も出始めている。

 ○…CPEをめぐる対立が長期化、先鋭化している背景には、働く者の権利を重視した「フランスモデル」が行き詰まりを見せる中で、雇用側に自由裁量を与え、英米流の市場原理主義を一部導入しようとする仏社会の最近の流れに対する労組側の警戒感がある。

 同国の労働者保護策は欧州でもトップクラス。週法定労働時間は三十五時間で、バカンスは年間五週間を義務付けられている。試用期間(最長でも六カ月)後の解雇は極めて困難になる制度だ。

 企業側にとって即戦力とはいえない若年者の雇用を控える傾向があり、二十五歳未満の失業率は、フランス全体の失業率の約二倍に上る約20%。高学歴者や資格取得者でも就職できない状況を生み出してきた。

 こうした中で、労働者の権利をある程度制限し、自己責任の中で経済や社会を活性化すべきだとする新自由主義の流れも出てきた。労組は伝統的に強い力を持ち、さまざまな権利を勝ち取ってきたが、近年組織率は落ち込んでいる。政策転換は弱体化に追い打ちをかける恐れもあると、危機感を抱いた。

 抗議活動が広がりを持った理由を、仏国立政治生活研究所のカップビエイユ教授は「労組は、政府がCPEを皮切りに、すべての面で、法律を雇用側寄りに変えると考えている」と説明する。

 ある調査では、将来に希望を持つフランスの若者は全体の一割にすぎない。「フランスモデル」の影がもたらした被害者とも言える若者の絶望感が、労組の警戒感と結び付く形で反発の声が増幅してきたと言える。 (パリ・牧真一郎)

ジャンル:
ヨーロッパ
キーワード
ドビルパン 間引き運転 シラク大統領 市場原理主義 法定労働時間 新自由主義 国民運動連合 公共交通機関 フランス座 マルセイユ
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