佐賀知事古川康 九電動員の指摘、07年も放置 黙認疑惑も/朝日新聞

2011-08-01 16:46:26 | 社会
九州電力の「やらせメール」を結果的に誘発した古川康・佐賀県知事は、2005年に県が開いた公開討論会についても九電の大量動員を指摘されながら調査せず、放置していた。7月30日の記者会見で「調べる必要はないと県として判断した」と明言。九電のやらせ疑惑を黙認してきた疑いを指摘する声も出ている。

 問題の公開討論会は05年12月、佐賀県唐津市で県が開催。九電玄海原発(同県玄海町)3号機へのプルサーマル導入に先立ち、住民の理解を得る場だった。だが、九電が国に提出した調査報告書によると、参加者782人の半数近い366人(46.8%)を九電が動員していた。

 開催当時、九電関係の参加者が多いと気付いた地元県議は、九電による動員を疑い、07年1月の県議会で「県は実態把握をしたのか」と質問。古川知事は「私たちには検証のしようがない」と答えていた。

 やらせメールの発端は、九電幹部への古川知事の発言だったことが明らかになった今年7月30日。釈明会見で、07年1月議会の指摘を受けて調査したのか、と問われた知事は「九電に遠慮して調べなかったということではなく、参加者の住所や氏、素性を調べる必要はないと、県として判断した。私一人で判断したことではない」と述べた。

 やらせメールの舞台となった今年6月26日の国のテレビ番組は、玄海原発の安全性を説明する機会だった。放送直前の同日朝。九電が社員や関係会社に賛成メールの投稿を指示する文書を入手した武藤明美県議(共産)が、会場で県の担当者に、やらせの存在を伝え、番組の中止を求めた。だが、県は国に情報を伝えず、そのまま放送された。

 九電が、やらせメール問題の調査結果を発表し、組織的関与を認めた今年7月14日。番組前のやらせ指摘を放置したことについて古川知事は定例会見で「(県議から)話を聞いた職員も、具体的な証拠を見せられたわけでなく、直ちに対応を求めるのは無理があった」と主張し、県に責任はないとの考えを示した。

 「(九電に)事実関係の確認を求め、報告に来るよう求めている」とも説明。県独自に調査する意向を問われると「ない。国主催の上、九電の所管官庁の経済産業省が責任を持って対応するので、対応を注目している」と話していた。

 古川知事は同月30日の会見で「公開討論会などでは、疑いの入らないようなやり方が求められる」と運営方法の見直しに言及。だが、やらせを指摘した武藤県議は「知事は確信犯で放置した。なれ合った県と九電に、原発は安全と言われても納得できない」と憤る。

■知事は無責任

 〈上脇博之・神戸学院大法科大学院教授(憲法学)の話〉 県民の生活や健康を守るべき知事が、九電による動員の情報をたびたび耳にしながら調査に乗り出さないのは無責任だ。事後でも動員の有無を確かめるべきだった。知事は最初から九電側に立っていたとしか思えない。

佐賀知事「メールやネットもある」 九電幹部に伝える

 九州電力玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)2、3号機の運転再開を巡る国のテレビ番組への「やらせメール」問題で、古川康・佐賀県知事が番組放送前に九電の副社長(当時)らと会談し「経済界にある再開容認の声も出すべきだ」と促した際、「声の出し方としてメールやネットという方法もある」と伝えていたことが分かった。知事が1日、取材に対して認めた。

 古川知事は「(自分の発言が、やらせメールの)引き金になったかどうかは、九電の受け止め方がどうだったかなので、私は言及できない」と釈明した。

 だが、番組放送5日前の6月21日に知事と会談した九電幹部の一人は「知事発言が発端になったとは思わないが、全く影響がなかったとも言えない」。少なくとも知事発言が、やらせメールを誘発した結果責任は免れないと見られる。

 7月30日の記者会見で古川知事は「やらせメールを依頼したことは全くない」「九電として何かやってほしいという意味ではなかった」と釈明。九電幹部との会談でメールやネットという意見の出し方まで伝えたことには触れなかった。

 同月8日、九電の松尾新吾会長から「賛成メールを送るよう要請したのか」との問い合わせがあり「要請した事実はない」と回答していたことも明かした。

 やらせメール問題を調査している九電の第三者委員会の郷原信郎委員長は、30日の記者会見で、九電幹部が作っていた古川知事との会談メモには、知事の発言として「インターネットを通じて、賛成意見も集まるようにしてほしい」と記されていたことを公表。「知事の発言は結果的に、やらせメールの引き金になった」と指摘した。一方でメモ内容と知事の説明とに食い違いがあるため、事実確認を進めるとしていた。

 古川知事と九電幹部3人の会談は6月21日朝。3人は佐賀市内で昼食を取りながら協議し、番組への賛成投稿を増やす必要があるとの認識で一致。その一人が知事との会談内容を記したメモは社内で、番組への賛成意見投稿を要請したメールに添付する形で社員約100人に配信された。また、その幹部から対応を指示された佐賀支社の3部長が、賛成メールを投稿するよう支社の取引先26社に働きかけることを決めた。

2011.8.1 朝日新聞



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