TUP速報640号/トム・エンゲルハート「ハイジャック機アメリカ号のイラク突入」(1)

2006-10-15 23:04:52 | 世界

日本ジャーナリスト会議のメールマガジン「JCJふらっしゅ」9月23日号1》によれば、9・11事件5周年にあたる9月11日、ブッシュ大統領はホワイトハウスからのテレビ演説で「テロとの戦いに勝利しなければ、中東に核武装したテロ国家や急進的な独裁国家が出現する」と警告し、その前日の10日には、チェイニー副大統領も「ブッシュ政権が主導してきた対テロ戦で米国はより安全になった」と強調しています。ライス国務長官も「ザルカウィと旧フセイン政権との関係があった」と述べ、正副大統領を擁護したそうです。昨今のメディア報道に伝え聞くかぎりでも、アメリカ国民の大半はこうした言説を信じなくなったようですが、ここで、情報の断片のなかに真実――細部に悪魔――を見るジャーナリスト、トム・エンゲルハートによる分析を読むのは、現況を整理して知るうえで有益であると考えます。 本稿は、9・11事件5周年を期して発表されたものですが、1か月以上も経過した今になっても、色褪せていないと思います。ただし、英国の有力 “医学誌”ランセット(The Lancet)オンライン版《2》が「イラク戦争によるイラク人の死者数は65万5000人以上」とする疫学調査論文《3》を10月11日付けで公表するなど、事態は予想以上に大きく動いています。井上

☆ブッシュ政権の嘘と現実★

1 http://blog.mag2.com/m/log/0000102032/107729343.html
2 http://www.thelancet.com/

http://www.thelancet.com/webfiles/images/journals/lancet/s0140673606694919.pdf
[関連記事]朝日新聞オンライン版
http://www2.asahi.com/special/iraq/TKY200610120195.html
シバレイのたたかう!ジャーナリスト宣言
http://www.actiblog.com/shiba/17584

凡例:(原注)[訳注]《リンク》〈ルビ〉

トム通信: ハイジャック機アメリカ号のイラク突入
抗マスメディア毒・常設サイト「トムディスパッチ」
2006年9月12日

(読者の皆さんへ: マザー・ジョーンズのウェブサイトに新設されたばか
りの新企画「嘘また嘘(Lie by Lie)」《1》をお見逃しなく。これはクロ
スリファレンス[関連項目の相互リンク]の行き届いた年表であり、ブッ
シュ政権が、戦争に至るまでの間、また戦争が始まって以後、ついてきた嘘
と情報操作のすべてを網羅している最中である。まだ工事中だが、重要なサ
イトである。ブックマーク[または「お気に入り」登録]をお忘れなく。そ
れに、私がイラクの最新動向を知るのにお世話になっている情報源として、
特に次の3つのサイトに感謝したい。ホアン・コールのブログ、インフォー
ムド・コメント[情報通評論]《2》は、いつもながら欠かせない。アンチ
ウォー[反戦]コム《3》は、他では見つけられない記事を満載している。
ウォー・イン・コンテクスト[文脈のなかで読む戦争]《4》は、重要な記
事を発掘する編集者の眼力が冴〈さ〉えている。トム)
1 http://www.motherjones.com/bush_war_timeline/
2 http://www.juancole.com/
3 http://www.antiwar.com/
4 http://warincontext.org/

9・11とイラクの真の関連、ついに明るみに
――トム・エンゲルハート

2001年9月11日の事件とイラクとには関連がある――これは皆さんが
大統領および副大統領から、さまざまな形で何度も聞かされてきたことだ。
これを真剣に考えて、二つの間にあるつながりというものを見てみよう。

数字は語る

●7月の間に少なくとも3438人《1》のイラク国民が暴力的手段により
死亡した(6月と8月にも、ほぼ同数の人びとが亡くなった)。これは、2
001年9月11日の攻撃による死者の数、2973人《2》よりもかなり
多い。
1 http://www.thestate.com/mld/thestate/news/nation/15466519.htm
2 http://en.wikipedia.org/wiki/September_11%2C_2001

●バグダッドの遺体公示所が公表した修正値によれば、8月にバグダッドだ
けで1536人のイラク人が死亡した。1か月の間に、単一の都市で9・1
1の犠牲者数の半分を超える死者数に達したことになり、これがますます普
通になっている。ワシントン・ポストによれば《*》、この死者数は、自爆
攻撃による犠牲者、その他の市内の病院に収容された人びとを含んでいない
し、首都近傍の町の死者も含んでいない。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2006/09/07/AR2006090700768_pf.html

●9月になるまでに、2974名の米軍人《1》が、イラク国内、その他の
ブッシュ政権の対テロ世界戦争で死亡しているが、これは9・11攻撃の死
者数よりも多い。(9月はじめの9日間で、さらに22名の米兵がイラクで
死亡し《2》、アフガニスタンでは、少なくとも3名が落命している
《3》)
1 http://edition.cnn.com/2006/WORLD/meast/09/03/death.toll/
2 http://antiwar.com/casualties/list.php
3 http://icasualties.org/oef/Afghanistan.aspx

●英紙インディペンデントのエミリー・ゴスデンとデイヴィッド・ランドー
ルによれば《1》、ブッシュ政権の対テロ世界戦争は、5年目で少なく見積
もっても9・11の死者数の20倍の死者を出すという結果を招き、多く見
積もると、60倍に達する。対テロ世界戦争は「最低6万2006人の人び
とを直接に殺し、450万人の難民を発生させ、世界中の貧困国の債務を償
還できる額を超える財政負担を米国にかけている。その他の数字にされてい
ない死者――抵抗勢力、2003年侵略戦争さなかのイラク軍将兵、欧米メ
ディアに個別事例として記録されない人びと、負傷により亡くなった人びと
――の推定値を勘定に入れれば、死者数は18万人に達するかもしれな
い」。オーストラリア人ジャーナリスト、ポール・マグーによれば《2》、
イラク政府当局(その他《3》)は、同国における2003年以降の死者数
は「5万人――対人口比で換算すれば、アメリカの57万人に匹敵する規模
――またはそれ以上に達する」と見積もっている。
1 http://www.truthout.org/docs_2006/091006A.shtml
2 http://fairuse.100webcustomers.com/fairenough/age25.html
3 http://www.iraqbodycount.net/

●先週、米国上院がイラクとアフガニスタンの軍事作戦のために630億ド
ルの追加予算《1》を承認したが、今年になってから現時点までの両国にお
ける軍事活動にかかった経費は、月平均100億ドルである。これでブッ
シュの戦争の(納税者負担による)経費は現時点までに約4690億ドルに
達し、なおも膨らみつづけている。これは、グラウンド・ゼロ記念物の予想
経費の総額プラス超過分《2》がすべて認められた場合の金額の469倍に
相当するものであり、最近訂正されたように記念事業の予算が5億ドルに縮
小するなら、さらにその2倍になる。(忘れないでほしいが、これら2つの
戦争の見積経費には、兆億ドル単位になるはずの退役兵のための医療《3》
をはじめ、将来に必ず発生するさまざまな経費は含まれていないのである)

http://www.signonsandiego.com/news/nation/20060907-1543-defensespending.html
2.http://www.tomdispatch.com/index.mhtml?pid=83814
3 http://www.tomdispatch.com/index.mhtml?pid=62903

●2003年、イラク侵略の完了時、ブッシュ政権がイラクに駐留させてい
た兵力は15万人だった《1》。それから3年半近く、太平洋における第二
次世界大戦に勝利を収めるのに要したのとほぼ同じ期間が経過したいま、し
かもマスメディアが来るべき兵力の「削減」についてさかんに報じているに
もかかわらず、米軍兵力は現実に増大しつつある――先月の例では、1万5
000人が増派された。現時点の兵力は14万5000人《2》で、占領開
始時のそれよりもたった5000人少ないだけである。(侵略開始前、ポー
ル・ウォルフォウィッツ国防次官[当時]ら政権幹部たちは、バグダッド占
領から3か月以内に駐留兵力を3万人ていどに削減できるに違いないと見て
いた)

http://www.usatoday.com/news/washington/2003-06-02-white-usat_x.htm

http://news.yahoo.com/s/ap/20060907/ap_on_go_ca_st_pe/us_iraq_troops

再建の実態

アメリカ国民は、9・11を記憶にとどめるために、マンハッタンのグラウ
ンド・ゼロに壮大な超高層ビル4棟を建て、巨大でやたらとコスト高な記念
の窪地を造ろうと計画している《1》が、バグダッド市民が考えることはも
う少し現実的である。彼らが乏しい財源をはたいて作ろうとしているのは、
遺体公示所の支所(冷凍装置完備)2か所なのだ《2》。そこに、いまあの
国で一番潤沢にあるもの、死体を収容するために。これで市内の死体公示所
の収容能力が一日あたり250体に増やせる。フル稼働すれば、月に750
0体。考えてみてほしいが、これが今後ますます深刻化する事態に備える対
応である。

http://www.nytimes.com/2006/09/11/arts/design/11zero.html?_r=1&oref=slogin&pagewanted=print

http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2006/09/07/AR2006090700768_pf.html

ニューヨークでは、係争や経費超過のために、各種記念物の建設は軌道に乗
せることができない一方、バグダッドのどまんなかには、本来ならグラウン
ド・ゼロの本当のアメリカの記念物として考えられたものかもしれないもの
が建てられつつある。しかもそれは、マンハッタンに建つ予定の建築物やイ
ラクで提案されている他の建設プロジェクトのどれとも違って、予定どおり
に進行している。前記のポール・マグーによれば《*》、7億8700万ド
ルをかけた21階建て「大使館」――要塞化された(首都の救いようのない
電力や水道に頼らない)総合ビル――は、作り付けの地対空ミサイル発射装
置の他、スターバックスやクリスピー・クリーム[ドーナッツ]店、美容
院、水泳プール、スポーツ・センターまで備え、投資金額以上のお値打ちも
の。予告のとおり控えめに3500人ものスタッフを擁するこの「大使館」
は、基本的に「ワシントンの延長」なのであり、ブッシュ政権のありったけ
の傲慢さを見せつけながら、われわれはここから出ていかない、断じて出て
いかないというメッセージを放っているのだ。
http://fairuse.100webcustomers.com/fairenough/age25.html

記録破りの月日

●路傍爆弾(またの名、即席爆破装置)、すなわち「米軍兵士にとって一番
の殺人兵器」による攻撃は、今年の夏、記録的な数にまで増えた――ワシン
トン・ポストによれば《*》、8月の件数は1200であり、2004年1
月に比べて4倍に達した。その一方、イラク国民による爆弾や攻撃の通告は
急激に減っている。その数は4月に5900件だったのが、7月には370
0件に落ちこんだ。(「通りへ出ることが、それほど命懸けでなくできるよ
うになれば、状況は好転するだろう」というのが、即席爆弾対策統合機関
[米陸軍参謀本部付]の局長、モントゴメリー・C・メグス退役陸軍大将が
述べた希望的観測の弁だった)
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2006/09/07/AR2006090701372.html

●このほど公表された、ペンタゴンが議会に四半期ごとの提出を義務づけら
れている評価報告によれば《*》、昨季のイラク国民犠牲者数は51パーセ
ントという記録的な急増を見せていて、たった2年間で4倍に膨れあがって
いる。
http://www.uslaboragainstwar.org/article.php?id=11505

●同報告によれば、米軍とそれに連携するイラク政府軍に対する月間の攻撃
数は約800件に達し、2004年初期に比べて倍増している。スンニ派反
抗勢力の中核地帯、アンバル州(海兵隊の「非常に悲観的な《*》」秘密評
価報告が「われわれは軍事的に敗北していないが、政治的には敗北している
――この地では、戦いは一進一退である……」と述べている地域)では、攻
撃数が一日平均30件になっている。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2006/09/10/AR2006091001204.html

●対テロ戦争には、本筋の欄外にこんな記録もある――アフガニスタンです
でにそうとう大規模になっていたアヘンの生産量が、今年は少なくとも50
パーセント増大して、世界供給量の92パーセントという驚異的なシェアを
占めることになると予測される《1》。国連薬物犯罪事務所のアントニオ・
マリア・コスタ事務局長によれば、これは世界の麻薬消費量を30パーセン
ト上回ることになる――他にも、同様な記録が不気味に浮上している。(一
方、ワシントン・ポストによれば《2》、オサマ・ビン=ラディンの所在の
探索は最低の成績を記録している。彼の足跡は「杳〈よう〉として知れ
ず……オサマ・ビン=ラディンの捕捉または殺害を任務とするアメリカの特
殊部隊は、2年以上にもわたって、信用するに足る情報をひとつも得ていな
い」)

http://news.yahoo.com/s/afp/20060902/wl_asia_afp/afghanistandrugscrimeun

http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2006/09/09/AR2006090901105_pf.html

 

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