ドイツ、「核の時代」終焉へ-再生エネルギーに変遷 「原子力を禁じる初の先進国になる予定」AP通信

2011-03-25 14:56:27 | 世界
「インターナショナル・ビジネス・二ュース」というビジネス誌の記事です。日本でも震災復興や破壊された電力インフラ復興のために今後、数十兆円が投入されますが、再び原子力依存の社会に復帰するために原発の修理や原発の新設にそうした巨額の資金が使われるのではなく、再び被曝の脅威にさらされることの無い希望の未来を切り開くために、ドイツのように再生可能エネルギー分野へこそそうしたお金を使ってほしいものです。

(IBTニュースより)
ドイツ、「核の時代」終焉へ-再生エネルギーに変遷
http://jp.ibtimes.com/articles/16479/20110324/240596.htm

 原子力保安院の西山英彦審議官は、「原子力の代わりは「停電」だ」(西山審議官は、大幅な原子力抑制は大規模な停電を意味すると警告。しかし、「そうは言っても電気のない生活も考えられない」)と発言しています。原発事故の責任者自身が、居直り強盗かペテン師のように、「原子力容認」か「停電」か、停電で不便しているだろう、今の豊かな生活を維持したかったら原子力しかないんだぞ、と国民を「恫喝」するキャンペーンを始めています。西山審議官は、「原発推進の動きは後退していない」と断言しています。

原発推進の動きに後退みられず=保安院の西山審議官
http://jp.wsj.com/Japan/node_208551

 こうした発言に「正気か」と疑われる方も多いと思われますが、日本経団連の会長などは「津波に耐えた日本の原子力行政は胸を張るべき」とまで言っています。彼らは国内で20万人の原発難民を生み出し国際社会に衝撃と脅威を与えた今回の深刻な原発爆発事故から何も学ぼうとしていないのです。

「「現実的に、いかにこういう非常事態にも対応できるものを作っていくか、ということでいくしかないと思う」との考えを示した。日本、および日本の原発業界は、そうした事象に対するバックアップ電源や冷却システムの耐性を強める必要があるという。
 審議官の見解は、官僚制度のトップに立つ役人の立場を反映するものだ。経済産業省は、原子力業界の規制と推進の両方を担っている。
 同省は、海外で原子炉建設の契約獲得を狙う国内電力会社を支援している。背景には、原子力や高速鉄道など日本の「インフラ技術」を海外で積極的に売り込む、より広範な戦略がある。
 西山審議官は、経済産業省が原子力安全・保安院の領域に干渉することはない、と述べた。日本は内閣府に原子力安全委員会という第2の機関を設置することで、原子力安全・保安院の独立性を確かにしているという。
 その上で、「保安院と東京電力が癒着していたから今回の事態が起きてしまったということではまったくない」と発言。今の原子力安全委員会と原子力安全・保安院のダブルチェック体制はベストだと思われる形だ、と述べた」

 西山審議官が「ベストの体制」という現在の体制こそが今回の事故を引き起こしたのであり、発言自体が支離滅裂です。

 こうした人たちに私たちの未来を託せるのかどうか、今回の統一地方選では、「原発を抱える北海道、福井、島根、佐賀」で知事選が行われます(現職はいずれも原発容認派)。福島第一原発爆発事故とその後の放射能漏れによる各地での水道水や土壌、食べ物からの放射性物質の検出、20万人の原発事故避難者(原発難民化)の発生など、事態は予断を許さない中で行われる今回の統一地方選挙の大きな争点の一つが「原発(エネルギー政策)」となっています。

【朝日】知事選も原発焦点 統一選スタート
http://www.asahi.com/politics/update/0325/TKY201103240506.html

【毎日】選挙:統一地方選スタート 12知事選告示 「原発」「防災」も争点http://mainichi.jp/select/seiji/2011local/news/20110324dde001010024000c.html

 「原子力の代わりは『停電』だ」という政府・財界からの恫喝に対しては、市民の側からはっきりと「原子力の代わりは再生可能エネルギーだ」と反論することが問われています。膨大な復興資金は再生可能な自然エネルギーにこそ使われるべきです。その実例こそがここに紹介されているドイツの事例です(最近行われた州議選で脱原発を掲げる「緑の党」が議席を倍増させました)。「核の無い日本は可能だ!」「原子力に依存しない真の豊かさと安全を!」の声を今こそあげていきましょう。

*蛇足ですが、ドイツにおける反核意識の高さには、以下のような文学作品なども影響していると思われます。
『みえない雲』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%BF%E3%81%88%E3%81%AA%E3%81%84%E9%9B%B2
『最後の子どもたち』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%80%E5%BE%8C%E3%81%AE%E5%AD%90%E3%81%A9%E3%82%82%E3%81%9F%E3%81%A1
この本は、次の印象的な警告を伝えるための戒めの物語として明確に書かれたものである。
"hinterher solle niemand sagen können, wir hätten es nicht gewusst."
(「我々は知らなかった」とは、今後言わせてはいけない)

内富一
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(IBTニュースより)
ドイツ、「核の時代」終焉へ-再生エネルギーに変遷
http://jp.ibtimes.com/articles/16479/20110324/240596.htm
ドイツは、原子力を禁じる初の先進国になる予定だという。AP通信が伝えた。

(写真)原子力発電所に反対するデモ隊。原発前で。2011年3月20日。

 ドイツは石炭など安価だが環境を汚す資源から、環境にやさしい再生可能エネルギー利用への変遷をかかげ、再生可能エネルギーに積極的に投資してきており、環境税などもさまざまな種類のものを設けている。この変遷は当初、25年かかる計画だったが、メルケル独首相は、地震・津波で被災した福島第一原子力発電所の状況を見て、同計画を早める方針を決めた。

 ドイツ政府では2001年、原子力発電の利用を2021年までに止める方針を打ち出していた。メルケル政権は、その計画を12年先延ばしとしていた。しかし今年3月11日に発生した東日本大震災で、福島原発が深刻な状況に陥ったことから、ドイツ政府は同国内の原子力発電所のインフラ設備を再点検する方針を打ち立てた。

 世界原子力協会のデータによると、ドイツの電力供給のうち、原子力が占める割合は約25%である。日本では約29%、米国では約20%と比較的小規模であるが、フランスでは70%超などとなっており、国によって原子力依存度はまちまちだ。世界全ての国が原子力から離れようとしているわけではない。

 ドイツでの原発人気が揺らいだのは、1986年にチェルノブイリ原発事故が起こり、放射能汚染が同国にも広がったときだ。放射能による死者は出ず、疾病もなかったが、この出来事により原発関連事故の深刻さが印象付けられた。

 原子力発電所を止める場合、ドイツは代替エネルギー源を確保するために少なくとも1500億ユーロ(約17兆円)の投資が必要となってくる。ドイツ政府によると、昨年、同国政府が再生可能エネルギー分野に投資した金額は260億ユーロ(約3兆円)を超え、これによりおよそ37万人の雇用を守ったという。

 ドイツは電力供給の17%を再生可能エネルギーで、13%を天然ガスで、40%以上を石炭でまかなっている。同国の環境相によると、今後10年間で、再生可能エネルギーの占める割合は40%に上昇する計画を立てているという。

 核の危険とは無縁とはいえ、再生可能エネルギーは原子力よりも高額だ。しかしドイツ国民は、日本の福島原発の惨状を目の当たりにしながら、そのコストを喜んで支払う心持ちになったのかもしれない。再生可能エネルギー発電施設を提供するLichtblickの広報担当者Ralph Kampwirthは、福島原発が被災して以来、通常時の3倍近くの新顧客を得るようになったと語った。


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