米国とイラク国民に対する二大政党の提携による陰謀/アラビアニュース

2006-10-21 21:42:52 | イラク
議会から委託された主要な共和党と民主党議員からなる委員会であるイラク検討グループ(ISG)が作成中のアメリカ政策の「選択肢」に対する報告は、「アメリカとイラク国民の双方に対する陰謀」と表現するのが最適だろう。戦略的、政治的大災害に直面して、アメリカ支配エリート層の有力な部会がアメリカ合衆国における反戦感情を鈍らせる為に、イラクと中東におけるアメリカの利害に梃入れしながら、戦術的な「進路変更」をする手段として登場してきている。(イラク検討グループISG/ワールド・ソーシャリスト・ウェブ・サイト 2006年10月17日  ジェームズ・コーガン)

ISGの形成を支えているのは、イラク侵略がアメリカ帝国主義にとっての大失敗となったという否定できない事実だ。3年半、アメリカは高くつく占領にはまりこみ、占領はイラク支配層の中のスンナ派、シーア派とクルド族というライバル間の血まみれの内戦に陥りつつある。国内的には、ブッシュのホワイトハウスは、アメリカ史上で恐らく間違いなしに、最も嫌われている政権だ。アメリカ中のコミュニティが軍国主義の嘘と計画に対する苦い代価を支払っている。

アメリカ支配体制の内部には、現状から生じかねない途方もない危機を敏感に懸念している政界の連中がいるのだ。民衆の反対が非常に強く、運動が二大政党制度の外で広がり始めつつあり、イラクでの戦争のみならず、彼らの利益の為にこそ戦争が遂行されている、当の企業・金融支配エリートに対して異議を申し立てている現状だ。

ISGは、有力な共和党議員と民主党議員双方の合意を得ており、イラクを政治論争の対象から外すことを狙う進路訂正の為の仕組みだ。その共同議長はジェームズ・ベーカーIII、レーガン政権の主要メンバーで、ブッシュ大統領の父親のもとで国務長官だった人物だ。ワシントン・マンスリーの9月号で、情報筋はジャーナリストのロバート・ドレィフュスに「ベーカーの主な動機は、戦場ではなく、アメリカ国内で万事が崩壊するような国内における戦いを避けたいという熱望だ。彼はアメリカ政治の休戦を狙っているのだ」

ベーカーが中心になって動いていることが、ホワイトハウスに、議会が支援するイラク政策の再検討は、政権を脅かすのではなく、支援策を探究しているという安心感を与えている。ブッシュ一家との30年以上にわたる彼の密接な関係に加え、ベーカーは2000年の困難な選挙時に、ジョージ・W・ブッシュの最高法律顧問として働き、フロリダで投票の数え直しをさせないようにするキャンペーンを主導していた。

ISGの使命宣言は、ブッシュ政権に対する批判は全く行わないことを明言している。イラク検討グループISGは「イラクという現場での現在と将来の状況、周辺地域に対するその影響、及びアメリカの利害に対する結果について、前向きの、独自の評価」。つまり、その目的は、誰かが、主権国家に対する違法な侵略や、「大量破壊兵器」や9/11とイラクとのつながりに関してアメリカ国民に語られた嘘や、それによって引き起こされた死亡や破壊、あるいは、中東一面に戦争がもたらした緊張に対して責任があるとすることではないのだ。アメリカのマスコミにベーカーが語ったように「過ぎ去ったことをあれこれ考える」つもりは無いのだ。

民主党は進んで援助にはせ参じた。共和党のフランク・ウルフが3月に、ジョセフ・ビンデン上院議員等の主要な民主党議員の支持を得てISG設立を議会に提案した。ビルとヒラリー・クリントンによる強力な支援も享受している。クリントン時代中、議会の中心人物だったリー・ハミルトンは、ISGの民主党側共同議長となって欲しいという誘いを受け入れた。ハミルトンは当然の選択だ。彼は、あの大災害におけるブッシュ政権の役割を隠蔽してくれた9/11委員会の共同議長だったから、イラクでも同じ事をしてくれることが期待できる。

10人委員会の他の主要な民主党議員は、クリントンの国防長官ウイリアム・ペリー、クリントンの主席補佐官レオン・パネッタ、クリントンの親友バーノン・ジョーダン、それにチャールズ・ロブ元上院議員だ。ベーカーに加え、共和党の代表は、元CIA長官ロバート・ゲーツ、元最高裁判事サンドラ・デイ・オコナー、レーガン政権の司法長官エドウイン・メッス、そしてアラン・シンプソン元上院議員だ。

民主党議員がそのような組織に進んで参加することが、現代アメリカ政治の基本的な真実を強調している。民主党も共和党と全く同様に、中東とその石油資源に対するアメリカの支配を保持し、拡張する事を固く決心している。世界政治と経済に対する沈み行くアメリカの支配に対するいかなる挑戦をも軍事力を用いて阻止するという考え方を両党とも同様に強く支持している。何百万人ものアメリカ人が暴力の終焉を望んでいるが、アメリカの支配階級は、最も差し迫った標的を挙げるだけでも、イラン、シリアや北朝鮮に対する新たな戦争を企んでいる。一方で、ワシントンにはイラクにおける状況は制御しなければならないという合意がある。

ISGがこれをどのように提案しようとしているかという大きな構図が先週マスコミに漏れた。ニューヨーク・サンは「安定第一」と題する一つの選択肢を報道し、これは「軍はバグダッドの安定化に集中すべきであるが、アメリカ大使館は反乱側との政治的和解に向かって努力すべきだ」という。その過程では、「イラクにおける民主主義の育成という目標は撤回される」という。

ロサンゼルス・タイムズは他の選択肢を報道した。 題して「再配備と封じ込め」で「 地域内のテロリスト組織に対して攻撃することが可能なイラク外の基地
への、アメリカ軍の漸進的、段階的撤退」を提案している。ロサンゼルス・タイムズはイラク検討グループは「迅速な米軍撤退」を迫るような選択肢には「あまり関心がない」と報道した。

ベーカーはインタビューで「安定第一」案を好んでいることを示した。その意味するところは身も凍るような、残忍なものだ。アメリカ軍に対する反乱は大半が旧イラク軍のスンナ派メンバーによって行われている。「反乱側との政治的和解」は、サダム・フセインのバース党政権下で権力を保持していた、大部分スンナ派アラブ人の支配層エリートと、アメリカとの取引の婉曲な表現としてしか受け取られない。彼らとのいかなる妥協も、国会で最大の党派を形成するシーア派の党派による強烈な反対を受けるだろう。

しかも、もし「バグダッドの安定化」が、スンナ派を基本とする反乱派の抑圧をも含むのでなければ、それは市内の大半を支配しているシーア派民兵、特に聖職者ムクタダ・アル-サドルのマフディ軍団に対するアメリカ主導の攻撃を意味するに過ぎない。シーア派が多数を占めるヌリ・アル-マリキ首相の政府は、ほぼ確実にそのような動きに抵抗するだろう。したがって、イラクにおける民主主義の必要性は「放棄」せざるを得ない。

ISGがその所見を準備するあいだ、アメリカのマスコミは繰り返し来月のアメリカ選挙後、イラク軍事政権の押しつけをほのめかしている。デビッド・イグナティウスは10月13日のワシントン・ポストに書いている。「イラク諜報機関の幹部が、ヌリ・アル-マリキ首相は引退し、5人制支配評議会に権力を譲り、評議会は国会を閉鎖し、戒厳令を宣言し、旧イラク軍将校の一部を呼び戻すという計画について議論した」。有力なスンナ政治家で旧バース党の表看板と見なされているサレーフ・アル-ムトラクが、アメリカの占領に協力して支配するバース党型政権の為に、スンナ派アラブ政権の再構築に対する支持を得るべく中東諸国を歴訪していると言われている。

これは、ベーカーもシリアやイランを含む中東の各政府と議論したというISGの提案で明らかにされたものとぴったり符合する。

10月8日のABCニューズの番組「This Week」で 、ベーカーは、撤退は「選択肢ではない」と言明し、クルド人政党とイラク・イスラム革命シーア派最高会議(SCIRI)の主な要求である、イラクを三つあるいはそれ以上の小国家に区分けする案に対する反対を表明した。イラク政府が直面している「最大の問題」はシーア派民兵であると彼は宣言し、イラクにおける成功は「代議制の政府の実現によるものであり、必ずしも民主主義ではない」とあからさまに述べた。

ベーカーはイランとシリアは自分の計画に協力するよう説得が可能だと信じていると述べた。彼は述べた。「シリア人もイラン人も混沌状況のイラクを望んではいない..。そこで、これらの国々から反対以外の何かを得る可能性があるかも知れない。」「安定第一」オプションは「イラクの安定化は、イランとシリアからのより大きな協力なしには不可能だ」と主張するものだという。

要するに、ベーカーは1991年、湾岸戦争の後に彼が提示したのと同じ立場を主張しているのだ。当時、サダム・フセイン政権を転覆することに彼は辛辣に反対していた。彼の1995年の回想録で、バース党独裁政権を除去すれば、アメリカは「無期限の軍事占領という不愉快な見通し」と直面せざるを得なくなり、「米国内での政治的な抗議の嵐」に至り、イラクは「予想のできない形で分裂し、イランのムラーの手に落ちる」だろうという見通しを述べていた。2003年3月以来の成り行きで、彼は明らかに自分自身の正当性は立証されていると考えている。

ただし、ベーカーのシリアとイランとの対話への呼びかけは、ブッシュ政権内部党派のテヘランとダマスカスにおける「体制転覆」という野望とは食い違っている。困難に陥っているアメリカ占領のてこ入れに役立つイラク隣国からの大いなる支援は、必然的に相当な代償を伴おう。ただし、今のところ、ブッシュ政権はどんなワラもつかもうとはしていない。

圧倒的なアメリカ国内の反対を十分に意識して、議会選挙への準備としてブッシュはいつものやりかたから踏み出し、イラク政策を変更する意思を強調した。10月11日彼はマスコミに言っていた。「戦術変更が必要になれば、戦術は変更する」し「していることがうまくいっていなかったら、それはしない、というのが私のやり方だ。変更だ」

イラクにとって、この「進路変換」は事実上、むき出しの警察国家支配体制と見なすことができ、イラク国民に対する更にひどい暴力であろう。

以下も参照のこと。:
なぜニューヨークタイムズは膨大なイラク人死亡者数について沈黙を守っているのか?
ビル・ケラーに対する質問
[16 October 2006]
なぜアメリカのマスコミは655,000人のイラク人死亡という報告に沈黙しているのか?
[13 October 2006]
新たな研究は、アメリカの戦争で655,000人のイラク人が殺されたと述べている。

[12 October 2006]
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属国は憲法破壊の為、小選挙区を導入し、二大政党への道をまっしぐら。
小泉のあまりのひどさに、小沢の活躍を期待する声がある。
「小選挙区を導入し、二大政党への道をまっしぐら」に進めている傀儡こそ彼だろうに。

http://www.wsws.org/articles/2006/oct2006/isg-o17.shtml
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goose さんの労訳とコメントです。

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